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【2024年改定対応】居宅介護の運営基準減算とは?算定要件や単位数について解説

2024-08-01

元山 ゆず香

監修者

介護福祉士

元山 ゆず香

大学を卒業後、特別養護老人ホームにて現場業務に従事。その後、福祉系大手企業に入社し、エリアマネージャーとして、施設介護事業・居宅介護事業・障害福祉サービス事業でのエリアマネジメント・行政対応を経験。また、法人本部に異動し教育部門・監査担当部門の部長を歴任。現在は全国の介護・障害福祉事業所の支援やセミナーの開催、DXO株式会社での介護関連事業の支援などを実施。

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居宅介護支援の運営基準減算とは、居宅介護支援事業の運営基準を遵守していない場合に適用される減算です。居宅介護支援事業所の収益に大きく影響するため、算定要件や減算される単位数について詳しく知りたい方も多いのではないでしょうか。

本記事では、居宅介護の運営基準減算の算定要件や単位数について詳しく解説します。

運営基準減算とは?

居宅介護支援事業における運営基準減算とは、指定居宅介護支援事業者が運営基準を遵守していない場合に、介護報酬から減額されるものです。この減算制度は、利用者の適切な居宅介護サービスの利用を確保し、事業者の質の向上を図ることを目的としています。

運営基準減算の算定要件

運営基準減算には、4つの算定要件があります。各算定要件については、以下の通りです。

  1. 居宅介護支援の提供開始時に文書交付と説明が不足
  2. 居宅サービス計画の新規作成・変更時に必要な手続きができていない
  3. やむを得ない場合を除いて担当者会議を開催していない
  4. 特段の事情がないにも関わらずモニタリング等ができていない

上記要件のうち、いずれか1つが該当すると運営基準減算が適用されます。そのため、各算定要件について正しく理解したうえで、事業所を運営することが重要です。ここでは、運営基準減算の各算定要件について詳しく解説します。

居宅介護支援の提供開始時に際した文書交付と説明が不足

居宅介護支援サービスを提供する際には、開始前にサービス内容について説明し、文書を交付しなければいけません。仮に、説明や文書交付が不足していた場合、運営基準減算が適用されます。具体的に説明しなければいけない内容については以下の通りです。

居宅介護支援の提供開始時に説明すべき内容

  1. 利用者は複数の指定居宅サービス事業者等を紹介するよう求めることができること
  2. 利用者は居宅サービス計画に位置付けた指定居宅サービス事業者等の選定理由の説明を求めることができること

引用:那須塩原市「運営基準減算について(令和6年度版)」

2024年の介護報酬改定で、前6ヵ月間に作成したケアプランにおける訪問介護等の各サービス利用割合及び訪問介護等の各サービスの同一事業者によって提供されたものの割合についての説明は、努力義務に変更されました。報酬改定によって細かい適用条件が変わっている点には注意しましょう。

居宅サービス計画の新規作成・変更時に必要な手続きができていない

居宅介護支援専門員は、居宅サービス計画を新規作成する際や内容を変更する際には、本人及び家族への説明や担当者会議の開催などを実施する必要があります。それらの必要な手続きが実施できていない場合、運営基準減算の算定対象となるため注意しましょう。

居宅サービス変更時に運営基準減算が適用される条件については以下の通りです。

居宅サービス計画変更時に必要な手続き

  1. 介護支援専門員が、利用者の居宅を訪問し、利用者・家族に面接していない場合
  2. 介護支援専門員が、サービス担当者会議の開催等を行っていない場合(やむを得ない事情がある場合を除く)
  3. 介護支援専門員が、次の手順を経て居宅サービス計画を利用者・担当者に交付していない場合
  1. 計画の原案の内容について利用者・その家族に対し説明。
  2. 文書により利用者の同意を得る。
    ⇒ 当該月(当該居宅サービス計画に係る月)から当該状態が解消された月の前月まで減算

引用:那須塩原市「運営基準減算について(令和6年度版)」

やむを得ない場合を除いて必要時に担当者会議を開催していない

居宅サービス計画書を作成した際や要介護区分が変更された際には、原則として担当者会議を開催する必要があります。やむを得ない場合を除いて、担当者会議を開催すべきタイミングで開催できていない場合は、運営基準減算が適用されます。

詳しい要件については、以下の表をご覧ください。

必要時に担当者会議を開催していない

  1. 居宅サービス計画を新規に作成した場合
  2. 要介護認定を受けている利用者が要介護更新認定を受けた場合
  3. 要介護認定を受けている利用者が要介護状態区分の変更の認定を受けた場合
    ⇒ 当該月から当該状態が解消された月の前月まで減算。

引用:那須塩原市「運営基準減算について(令和6年度版)」

特段の事情がないにも関わらずモニタリング等ができていない

原則として、居宅介護支援専門員は1月に1回以上は利用者の居宅を訪問して、生活の状況などをモニタリングする必要があります。モニタリングを実施していない場合も、運営基準減算の対象となるため注意しましょう。

詳細な要件については、以下の表をご覧ください。

定期的なモニタリングが実施できていない

  1. 介護支援専門員が1月に利用者の居宅を訪問し、利用者に面接していない場合
    ※厚生労働省が定める基準を満たせば、テレビ電話装置等を活用して、利用者に面接できる。(テレビ電話装置等を活用する場合においても1月に1回は居宅を訪問する必要がある)
  2. 介護支援専門員がモニタリングの結果を記録していない状態が1か月以上継続する場合
    ⇒ その月から当該状態が解消された月の前月まで減算。

引用:那須塩原市「運営基準減算について(令和6年度版)」

モニタリングの方法について、テレビ電話等を活用することも認められていますが、テレビ電話等を活用した場合でも1月に1回は居宅を直接訪問する必要があるため注意しましょう。

運営基準減算の単位数

運営基準減算の単位数は、所定単位数の50/100です。

また、運営基準減算が2ヵ月以上継続している場合は、所定単位数も算定できません。
運営基準減算が適用されるだけで報酬が半分になってしまうため、事業所運営に大きな影響を及ぼします。4つの要件を正しく理解して、運営基準減算が適用されないように注意しましょう。

2024年報酬改定で特定事業所加算の要件から削除

2024年介護報酬改定において、特定事業所加算の算定要件から運営基準減算が削除されています。報酬改定前は、居宅介護支援における特定事業所加算の算定要件として「運営基準減算の適用を受けていないこと」という内容が含まれていました。

しかし、2024年の介護報酬改定で、多様化・複雑化する課題に対応する取り組みを促進する観点から特定事業所加算の算定要件が見直され、その見直しのひとつとして「運営基準減算適用の有無」が削除されました。この報酬改定によって、運営基準減算の対象になった事業所でも特定事業所加算を算定しやすくなっています。

まとめ:運営基準減算の対象にならないように4つの条件に注意しましょう

居宅介護支援の運営基準減算は、居宅介護支援事業を運営するために必要な4つの要件を満たさなかった場合に適用される減算です。運営基準減算が適用されると所定の単位数が半分になってしまうため、運営基準減算が適用されないように注意することが大切です。

4つの条件のうち、1つでも該当すると減算されるため、各条件を正しく理解して事業所を運営しましょう。

お役立ち資料:加算取得を目指す方へ

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