2024年の介護報酬改定によって、高齢者虐待防止措置未実施減算が新設されました。高齢者虐待防止措置未実施減算の算定要件や単位数などについて詳しく知りたい経営者の方も多いのではないでしょうか。
この記事では、高齢者虐待防止措置未実施減算の算定要件や単位数、新設された背景などについてわかりやすく解説します。
目次
高齢者虐待防止措置未実施減算とは、利用者の人権の擁護や虐待防止を強化する観点から、虐待の発生と虐待の再発を防止するための措置が講じられていない場合に、基本報酬を減算するものです。
近年、高齢者虐待に関する通報や判断件数が増加していることから、高齢者虐待防止措置未実施減算が創設されました。
厚生労働省の資料「その他【高齢者虐待の防止、送迎】(改定の方向性)」では、利用者の人権の擁護、虐待の防止等を強化する必要があることが論点となっています。
令和3年の介護報酬改定より3年の経過措置期間を経て、令和6年4月から高齢者虐待防止措置未実施減算が新設されました。
高齢者虐待防止措置未実施減算の算定要件として、職員の虐待に関する知識や虐待を防ぐための意識を持ってもらうために、虐待防止の委員会を開催することなどが含まれています。
ここでは、高齢者虐待防止措置未実施減算の適用要件と単位数について解説します。
高齢者虐待防止措置未実施減算は、居宅療養管理指導と特定福祉用具販売を除いた全サービスが対象です。
高齢者虐待防止措置未実施減算の算定要件 | |
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引用:厚生労働省「令和6年度介護報酬改定の主な事項について」
この4つの算定要件のうち1つでも実施できていなければ減算の対象となります。4つをまとめて1つの適応要件であると考えましょう。
高齢者虐待防止措置未実施減算の単位数は、各サービスの所定単位数から、その100分の1に相当する単位数が減算されます。
万が一、適用要件の4つの措置を講じられていない場合には、速やかに改善計画を都道府県知事への提出が必要です。また、事実が生じた月から3ヶ月後に改善計画に基づく改善状況を都道府県知事に報告します。
事実が生じた月の翌月から改善が認められた月までの間について、利用者全員の所定単位数から減算します。
高齢者虐待防止措置未実施減算について、利用者への虐待が実際に発生していなかった場合の適用要件や、減算が適用されるタイミングなどについては注意する必要があります。
ここでは、高齢者虐待防止措置未実施減算に関するよくある質問について解説します。
高齢者虐待防止措置未実施減算は、実際に高齢者虐待が発生していなくても減算の適用となります。
高齢者への虐待が発生していなかったとしても、4つの防止措置のうち1つでも講じられていなければ減算の対象になるため注意しましょう。
運営指導等によって高齢者虐待防止措置が講じられていない事実を発見したとしても、過去に遡って減算を適用することはできません。事実が生じた月を基準にして、その月が減算されます。
高齢者虐待防止措置未実施減算は、職員が利用者に対する人権意識や虐待防止の意識を強く持つことを目的に創設されました。
日々の業務をこなしながら、委員会や研修を実施するのは大変ですが、確実に実施することで、減算の適用を避けながら高齢者への虐待防止にもつなげられます。
高齢者虐待防止措置未実施減算の適用要件の内容を理解し、高齢者虐待防止措置未実施減算の対象にならないように注意しましょう。