利用者が快適に生活できるようサービスを充実させるためにも、事業所の増収を図りサービスの向上を目指す施設は多いです。そのために活用できる加算はないか検討していくことでしょう。その中で入所前後訪問加算の算定を検討する施設も出てきます。しかし、算定要件などを熟知していなくては加算の導入ができません。
そこでこの記事では入所前後訪問指導加算を算定できる施設はどこかから、その算定要件などについて紹介していきます。この記事を参考に施設で加算を導入していきましょう。
目次
入所前後訪問指導加算を一言でいうと、施設退所後に居宅する場所を訪問し、退所を目的とした計画を策定したうえで算定可能となる加算のことをいいます。
入所前後訪問指導加算を算定できる対象施設は、介護老人保健施設となっています。
入所前後訪問指導加算の単位数と算定要件は次の通りになります。
入所前後訪問指導加算には(Ⅰ)と(Ⅱ)があり、それぞれで加算単位数は異なります。
- 入所前後訪問指導加算(Ⅰ):450単位
- 入所前後訪問指導加算(Ⅱ):480単位
入所前後訪問指導加算の算定要件は以下の通りです。入所期間が1ヵ月を超えると見込まれる者の入所予定日前30日以内又は入所後7日以内に当該者が退所後生活する居宅を訪問し、退所を目的とした施設サービス計画の策定及び診療方針の決定をおこなった場合に、次に掲げる区分に応じ、入所中1回を限度として算定する。
当該者が退所後にその居宅でなく、他の社会福祉施設等に入所する場合であって、当該者の同意を得て、当該社会福祉施設等を訪問し、退所を目的とした施設サービス計画の策定及び診療方針の決定をおこなった場合も、同様に算定する。また入所前後訪問指導加算(Ⅰ)と(Ⅱ)でも算定要件は異なります。
退所を目的とした施設サービス計画の策定及び診療方針の決定をおこなった場合
退所を目的とした施設サービス計画の策定及び診療方針の決定にあたり、生活機能の具体的な改善目標を定めるとともに、退所後の生活に係る支援計画を策定した場合
参考:高崎市福祉部介護保険課「介護報酬の算定上の留意点について」
ここでは入所前後訪問指導加算でよくある質問とその答えについて紹介していきます。
同一日の訪問について、退所後訪問指導加算と入所前後訪問指導加算の両方を算定することはできない。また、再入所にあたって再度訪問した場合であっても、退所後訪問指導加算を算定した日から1月間は入所前後訪問指導加算を算定できない。なお退所前訪問指導加算を算定した日から1月間についても同様の取扱いである。
引用:厚生労働省「介護サービス関係Q&A」
他の社会福祉施設等とは、病院、診療所、及び介護保険施設を含まず、有料老人ホーム、養護老人ホーム、軽費老人ホーム、認知症高齢者グループホームを指す。なお、退所(院)後訪問指導加算(退所後訪問相談援助加算)、退所(院)時情報提供加算、入所前後訪問指導加算においても同様の取扱いである。
引用:厚生労働省「介護サービス関係Q&A」
職種は問わないが、入所者の施設サービス計画を作成する者が訪問することが望ましい。なお、退所(院)前訪問指導(相談援助)加算、退所(院)後訪問指導(相談援助)加算についても同様の取扱いである。
引用:厚生労働省「介護サービス関係Q&A」
入所前後訪問指導加算は、利用者の退所を目的とした施設サービス計画の策定及び診療方針決定により算定ができ、入所前後訪問指導が可能なのは医師や看護職員などとなっています。
1回に限り算定可能ですが、加算を導入することで施設の収益は増加します。利用者により良いサービスを提供するためにも、加算を導入していきましょう。