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高齢者施設等感染対策向上加算とは?対象施設や単位数・算定要件について徹底解説!

2024-08-30

元山 ゆず香

監修者

介護福祉士

元山 ゆず香

大学を卒業後、特別養護老人ホームにて現場業務に従事。その後、福祉系大手企業に入社し、エリアマネージャーとして、施設介護事業・居宅介護事業・障害福祉サービス事業でのエリアマネジメント・行政対応を経験。また、法人本部に異動し教育部門・監査担当部門の部長を歴任。現在は全国の介護・障害福祉事業所の支援やセミナーの開催、DXO株式会社での介護関連事業の支援などを実施。

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新型コロナウイルス感染症が蔓延した際、医療機関ではなく介護施設などでの療養のケースが多数見られました。医療機関と連携し、感染症拡大を防ぐなどの対応が必要でしたが、施設内に感染症に精通した職員が少ないため、感染症予防などの面で多くの課題がありました。そこで感染症対策や感染症発生に備えた研修や訓練が令和6年度より義務化されました。

今回は令和6年度に新設された介護・医療間での連携体制の構築などを評価する「高齢者施設等感染対策向上加算」について紹介していきます。この記事を参考に加算がつくよう施設の整備などに取り組みましょう。

高齢者施設等感染対策向上加算とは

高齢者等施設では、施設内で新型コロナウイルスなどの感染者が出た場合、感染者の対応をしなくてはいけません。その場合、医療機関と連携を取ったうえで施設内で感染者の療養などをおこなうこと、ほかの利用者から新たな感染者が出ないよう対処することが求められました。その対応を評価するために高齢者施設等感染対策向上加算が新設されました。

高齢者施設等感染対策向上加算の対象施設

高齢者施設等感染対策向上加算の対象となる施設は下記の通りです。

  1. 特定施設入居者生活介護(有料老人ホームなどが対象)
  2. 地域密着型特定施設入居者生活介護
  3. 認知症対応型共同生活介護(グループホーム)
  4. 介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)
  5. 地域密着型介護老人福祉施設入居者生活介護
  6. 介護老人保健施設
  7. 介護医療院

高齢者施設等感染対策向上加算の単位数

高齢者施設等感染対策向上加算の単位数は次の通りです。

  • 高齢者施設等感染対策向上加算(Ⅰ):10単位/月
  • 高齢者施設等感染対策向上加算(Ⅱ):5単位/月

高齢者施設等感染対策向上加算の算定要件

高齢者施設等感染対策向上加算は(Ⅰ)と(Ⅱ)に分けられます。次から(Ⅰ)と(Ⅱ)の違いについてみていきましょう。

高齢者施設等感染対策向上加算(Ⅰ)の算定要件

高齢者施設等感染対策向上加算(Ⅰ)の算定要件は、下記の通りです。

  • 感染症法第6条第17項に規定する第二種協定指定医療機関との間で、新興感染症の発生時等の対応をおこなう体制を確保すること
  • 協力医療機関等の間で、感染症の発生時等の対応を取り決めるとともに、感染症の発生時に等に、協力医療機関等と連携し適切に対応していること
  • 診療報酬における感染対策向上加算もしくは、外来感染対策向上加算にかかる届け出をおこなった医療機関又は地域の医師会が開催する院内感染対策に関する研修または訓練に年1回参加すること
    ※研修もしくは訓練の際にビデオ通話が可能な機器を用いて参加しても、差し支えないとされています。

高齢者施設等感染対策向上加算(Ⅱ)の算定要件

高齢者施設等感染対策向上加算(Ⅱ)の算定要件は、下記の通りです。

  • 診療報酬における感染対策向上加算の届出をおこなった医療機関から、3年に1回以上施設内で、感染者が発生した場合の感染制御等の実地指導を受けていること

感染制御等の「実地指導での確認事項例」とは

感染対策向上加算の詳しい実地指導の内容は以下の通りです。単に施設等で机上の研修のみをおこなう場合には、算定されれません。

  • 施設等の感染対策の現状の把握、確認(施設等の建物内の巡回等)
  • 施設等の感染対策状況に関する助言、質疑応答
  • 個人防護具の着脱方法の実演、演習、指導等
  • 感染疑い等が発生した場合の施設等での対応方法(ゾーニング等)に関する説明、助言及び質疑応答
  • その他、施設等のニーズに応じた内容

高齢者施設等感染対策向上加算(Ⅰ)と(Ⅱ)は併算定可能

高齢者施設等感染対策向上加算(Ⅰ)は、令和7年3月までに実施見込みがあれば算定ができます。高齢者施設等感染対策向上加算(Ⅱ)の起算日は運営指導または実地研修を受けた日と規定されています。そのため両者の併用算定は可能です。

高齢者施設等感染対策向上加算に関するQ&A

ここでは主な高齢者施設等感染対策向上加算に関するQ&Aについて記載していきますので、参考にしてみてください。

第二種協定指定医療機関について、都道府県との医措置協定の締結の済む令和6年9月末までの間の連携はどうしたらよいか?

令和6年9月末までの間は、現に感染対策向上加算又は外来感染対策向上加算の届出を行っている医療機関と連携することでも差し支えない。なお、令和6年10月以降については、第二種協定指定医療機関と連携することが必要であることから留意すること。

引用:厚生労働省「令和6年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.1)

医療機関がおこなう感染対策の研修や訓練、カンファレンスの具体例は?

  • 感染対策向上加算又は外来感染対策向上加算の届出を行った医療機関において、感染制御チーム(外来感染対策向上加算にあっては、院内感染管理者。)により、職員を対象として、定期的に行う研修
  • 感染対策向上加算1に係る届出を行った保険医療機関が、保健所及び地域の医師会と連携し、感染対策向上加算2又は3に係る届出を行った保険医療機関と合同で、定期的に行う院内感染対策に関するカンファレンスや新興感染症の発生時等を想定した訓練
  • 地域の医師会が定期的に主催する院内感染対策に関するカンファレンスや新興感染症の発生時等を想定した訓練

引用:厚生労働省「令和6年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.1)

高齢者施設等感染対策向上加算は、令和7年3月31日まではこれから研修や訓練に参加する場合も算定できるのか?

医療機関等に研修又は訓練の実施予定日を確認し、高齢者施設等の職員の参加の可否を確認した上で令和7年3月31日までに当該研修又は訓練に参加できる目処があれば算定してよい。

引用:厚生労働省「令和6年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.1)

高齢者施設等感染対策向上加算を算定して利用者が安心できる施設を目指しましょう

高齢者施設等感染対策向上加算は、協力医療機関などと連携することで、高齢者施設内で感染症への適切な対応ができることで算定可能な加算です。感染症への日頃からの備えが重要であるため、感染症拡大を未然に防ぐためにも加算を検討し、感染症に備えるようにしましょう。

お役立ち資料:加算取得を目指す方へ

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