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短期集中個別リハビリテーション実施加算とは?算定要件や算定例を詳しく解説!

2024-08-21

元山 ゆず香

監修者

介護福祉士

元山 ゆず香

大学を卒業後、特別養護老人ホームにて現場業務に従事。その後、福祉系大手企業に入社し、エリアマネージャーとして、施設介護事業・居宅介護事業・障害福祉サービス事業でのエリアマネジメント・行政対応を経験。また、法人本部に異動し教育部門・監査担当部門の部長を歴任。現在は全国の介護・障害福祉事業所の支援やセミナーの開催、DXO株式会社での介護関連事業の支援などを実施。

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短期集中個別リハビリテーション実施加算とは、医療機関や介護保険施設からの退院(所)後の利用者へ、一定期間集中的なリハビリテーションを実施した場合の加算です。

入院をした場合、入院中にリハビリテーションを受けていた方は退院後に運動能力が低下する傾向があります。しかし、退院後にもリハビリを受けていただくことで、運動機能低下を防ぐことが可能です。

この記事では、短期集中個別リハビリテーション実施加算について詳しく解説をしていきます。ぜひ、参考にしてみてください。

短期集中個別リハビリテーション実施加算とは

短期集中個別リハビリテーション実施加算とは、退院後や要介護認定を受けた介護保険サービス利用者に対して、通所リハビリテーション事業所が、一定期間集中的な個別リハビリテーションをおこなうことで取得できる加算です。

対象事業所

短期集中個別リハビリテーション実施加算の対象事業所は「通所リハビリテーション」のみとなります。

短期集中個別リハビリテーション実施加算の単位数・算定要件

短期集中個別リハビリテーション実施加算の単位数や算定要件については、以下の通りです。

単位数

短期集中個別リハビリテーション実施加算の算定単位数は、110単位/日となっています。

算定要件

短期集中個別リハビリテーション実施加算の算定要件は以下の通りです。

  • 利用者の状態に応じて、基本的動作能力・応用的動作能力を向上させ、身体機能を回復するための集中的なリハビリテーションを実施すること
  • 退院・退所日、要介護認定日から起算して3ヵ月以内の期間に、1週間におおむね2日以上、一日当たり40分以上、リハビリテーションを実施すること

注意)認知症短期集中リハビリテーション実施加算、または生活行為向上リハビリテーション実施加算を算定している場合は算定できない

短期集中リハビリテーション実施加算との違い

短期集中個別リハビリテーション実施加算に似た加算として「短期集中リハビリテーション実施加算」があります。2つの加算の違いは、以下の表の通りです。

 短期集中個別リハビリテーション実施加算短期集中リハビリテーション実施加算
対象事業所通所リハ通所リハ訪問リハ老健
算定期間退院(所)日又は認定日から、3ヵ月以内入所日から3ヵ月以内
リハビリ実施頻度・時間2日以上*¹
40分以上*²
2日以上*¹
40分以上*²
2日以上*¹
20分以上*²
3日以上*¹
20分以上*²
その他要件リハビリテーションマネジメント加算の算定リハビリテーションマネジメント加算の算定
  • 月1回以上のADL評価・LIFE提出
  • 入所者が過去3ヵ月間、介護老人保健施設に入所していない

*¹:1週間あたりのおおむね日数
*²:1日あたりの時間
*³:以下の場合は例外として算定可能
・4週間以上入院した後に、再び介護施設に入所し、早期にリハビリテーションをおこなう場合
・4週間未満の入院後に介護施設に再入所して、脳梗塞や脳出血など、特定の状態である利用者の場合
参考:全国介護保険・高齢者保健福祉担当課長会議「平成27年度介護報酬改定の概要(案)」

以上が両加算の違いとなります。短期集中リハビリテーション実施加算の単位数や詳細の算定要件については、以下の記事で解説しておりますので、併せてご覧ください。

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【2024年改定対応】短期集中リハビリテーション実施加算とは?算定要件や報酬改定の見直しポイントについて解説

短期集中個別リハビリテーション実施加算の算定可能例

短期集中個別リハビリテーション実施加算は、状況によって算定できる場合と、算定できない場合があります。以下では、算定可能な場合の算定例を紹介します。ぜひ参考にしてみてください。

退院日から連続して3月間リハビリテーションを利用した場合

退院後、連続して3ヵ月間リハビリテーションを利用した場合は、退院日から3ヵ月後までの期間内で、短期集中個別リハビリテーション実施加算を算定することが可能です。

【算定事例】
10月15日に退院し、短期集中個別リハビリテーション実施加算が算定開始。その後3ヵ月間連続してリハビリテーションを利用した場合

・算定可能期間:退院日(10月15日)~3ヵ月間(1月14日まで)

退院後3月の間で入退院が発生しており、リハビリを要する原因疾患が同じ場合

退院後3ヵ月の間で入退院が発生し、リハビリを要する原因疾患が同じとなる場合は、最初の退院日から3ヵ月後までの期間内で、入院期間中を除いて短期集中個別リハビリテーション実施加算を算定することが可能です。

【算定事例】
腰痛で入院となり、10月15日に退院。その後11月10日~12月5日まで、再び腰痛で入院した場合

・算定可能期間:最初の退院日(10月15日)~3ヵ月間(
1月14日まで)
 ※入院期間中は算定不可

退院後3月の間で入退院が発生しており、リハビリを要する原因疾患が異なる場合

退院後3ヵ月の間で入退院が発生し、リハビリを要する原因疾患が異なる場合は、それぞれの原因疾患の退院日ごとで加算起算日とし、短期集中個別リハビリテーション実施加算を算定することが可能です。そのため、算定終了日は「最後の原因疾患となるリハビリ加算の起算日から3ヵ月後まで」の期間となります。

【算定事例】
腰痛で入院となり、10月15日に退院。その後11月10日~12月5日の期間中、骨折で入院。12月5日に退院後3ヵ月連続してリハビリテーションを利用した場合

・算定可能期間①:腰痛での退院日(10月15日)~次の入院日までの期間(11月10日)
・算定可能期間②:骨折での退院日(12月5日)~3ヵ月後(3月4日まで)

参考:静岡県国民健康保険団体連合会「介護保険だより(平成28年11月1日発行)」

短期集中個別リハビリテーション実施加算を算定できない例

短期集中個別リハビリテーション実施加算は、状況により算定できない場合もあります。下記では、算定できない場合の事例を紹介します。

退院日から3ヵ月以内の利用者が、本人や家族の希望・支給限度額の関係で週1日しか通所リハを利用しなかった場合

1週につき、おおむね2回以上、1日あたり40分以上の個別リハビリテーションをおこなう必要があることから、算定はできません。集中的なリハビリテーションが必要な利用者であれば、居宅サービス計画において通所リハビリテーションの利用を優先して位置付けることが想定されます。

参考:新潟県福祉保健部高齢福祉保健課「通所系サービスに関するQ&A(令和3年9月)」

短期集中個別リハビリテーション実施加算に関するQ&A

短期集中個別リハビリテーション実施加算において、よくある質問を2つ紹介します

短期集中個別リハビリテーション実施加算の起算日となる「退院(所)日」には2,3日程度の入院や検査入院からの退院を含む?

退所(所)日とは利用者がリハビリテーションを必要とする状態の原因となった疾病の治療等のための入院(所)から退院(所)した日とされています。そのため、利用者の状態により加算の可否が判断されます。

入院(所)期間の長短は要件とされていませんが、これまで実施されていたリハビリテーションに影響を及ぼさず、入院前と同計画でリハビリテーションを実施できる場合に、新たに起算することは不適切になります。

通所リハビリテーション事業所で短期集中個別リハビリテーション実施加算を算定する場合、居宅サービス計画(ケアプラン)の変更は必要?

リハビリテーションカンファレンスの結果、居宅サービス計画の変更が必要と判断された場合は、居宅サービス計画の変更を依頼する必要があります。その場合は、利用者の担当介護支援専門員と通して、他の居宅サービス事業者に対してリハビリテーションに関する情報伝達や連携を図る必要があります。

短期集中個別リハビリテーション実施加算を正しく算定して、事業所の質を高めましょう

短期集中個別リハビリテーション実施加算の算定要件は、短期集中リハビリテーション実施加算と比べて算定要件が緩和されているため、比較的取得しやすく、算定率も高い加算とされています。ただし、加算の起算日やリハビリ頻度・時間・併用不可の加算などについては、見落とすことの無いようにしっかりと確認したうえで、加算取得をおこなう必要があるでしょう。

老老介護や家族介護が日本全体の問題となっていますが、高齢者を支える介護事業者はなくてはならないものです。今回のように介護報酬改定の改定により介護士の処遇改善、働き手を確保していくことも今後の課題になっています。改定がおこなわれても事前の対応など、早くに動き出すことも必要となります。

今後、高齢化社会が進むにつれて、拡大されていく需要に応えていくために、しっかりとした知識を身につけておくことが大切です。

お役立ち資料:加算取得を目指す方へ

訪問介護の事業者向けに、各種加算と減算の要件や、優先的に取得するべき加算などについて、わかりやすくまとめました。
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