要介護度が高い利用者を受け入れて、継続的な医学的処置をおこなっている事業所では重度療養管理加算を算定することができ、収益アップが見込めます。重度療養管理加算とは、通所リハビリテーションや短期入所療養介護において、医学的管理を必要とする利用者に対して、計画的な医学的管理や療養上必要な処置をおこなうことを評価する加算のことです。
今回の記事では重度療養管理加算の概要、単位数、算定要件などを詳しく解説し、加算取得を目指す事業所の方に有益な情報をお届けします。
重度療養管理加算とは、通所リハビリテーションや短期入所療養介護において、厚生労働省が示す継続的に医学的管理が必要な対象者に向けて、計画的な医学的管理と療養上必要な処置をおこなうことで算定できる加算のことです。
対象事業者は通所リハビリテーション、短期入所療養介護の2つです。
通所リハビリテーションでは、医学的管理を必要とする要介護3~5の利用者が対象になります。短期入所療養介護では、要介護4,5で手厚い医療が必要な状態である利用者を受け入れ、計画的な医学管理を継続し、療養上必要な処置をおこなった場合に算定できます。
重度療養管理加算の算定については、通所リハビリテーション、短期入所療養介護ともに申請の届け出は不要です。実施した内容を診療録に記載します。
通所リハビリテーション、短期入所療養介護について、それぞれの単位数と算定要件を見ていきましょう。
通所リハビリテーション・短期入所療養介護における重度療養管理加算の単位数は、それぞれ下記の通りです。
通所リハビリテーション | 短期入所療養介護 | |
単位数 | 1日につき100単位 |
|
対象者 | 要介護3,4,5の者 | 要介護4,5の者 |
通所リハビリテーション、短期入所療養介護のどちらにおいても、対象者が厚生労働省の定める状態(利用者等告示十八に定められる状態)にあることが必要です。該当する状態は下記の通りです。
- 常時頻回の喀痰吸引を実施している状態。(1日8回以上の日が1ヵ月で20日以上ある)
- 呼吸障害等により人工呼吸器を使用している状態。(1ヵ月につき1週間以上人工呼吸又は間歇的陽圧呼吸をおこなっている)
- 中心静脈注射を実施している状態。
- 人工腎臓を実施しており、かつ、重篤な合併症を有する状態。(人工腎臓を各週2日以上実施している)
- 重篤な心機能障害、呼吸障害等により、常時モニター測定を実施している状態。
- 膀胱または直腸の機能障害の程度が身体障害者4級以上に該当し、かつ、ストーマの処置を実施している状態。
- 経鼻胃管や胃瘻等の経腸栄養がおこなわれている状態。
- 褥瘡に対する治療を実施している状態。
- 気管切開がおこなわれている状態。
これらのいずれかの状態が一定の期間や頻度で継続していることが重度療養管理加算の算定条件になります。
算定にあたっては、医学的管理の内容について診療録に記載すること、請求明細書の適用欄に該当する状態(1)~(9)のいずれかを記載する必要があります。複数の状態にあてはまる場合には、主な状態のみを記載します。
重度療養管理加算について、よくある質問を見ていきましょう。
医師や看護師によって状態を継続的に観察し、必要であれば医療的な措置を施すことが医学的管理になります。また、医学的管理等の内容は診療録に記載しておくことが必要です。
喀痰吸引を1日に8回以上実施している日が20日以上ある場合をさします。
在宅酸素は、人工呼吸には含まれません。
具体的な疾病名は下記の通りです。
重度療養管理加算を算定する場合は、請求書の摘要欄に該当する状態を記載しましょう。疾病名の確認は医師の情報提供書は不要ですが、確認した医師名・日付・内容等も記載しておくことが必要です。
褥瘡の状態については、以下の分類で3度以上に該当するもので、褥瘡に対して必要な処置がおこなわれた場合に加算対象となります。
分類 | 褥瘡に対して必要な処置 |
第1度 | 皮膚の発赤が持続している部分があり、圧迫を取り除いても消失しない(皮膚の損傷はない) |
第2度 | 皮膚層の部分的消失(びらん、水疱、浅いくぼみとして表れるもの) |
第3度 | 皮膚層がなくなり、潰瘍が皮下組織にまで及ぶ、深いくぼみとして表れ、隣接組織まで及んでいることもあれば、及んでいないこともある |
第4度 | 皮膚層と皮下組織が失われ、筋肉や骨が露出している |
重度療養管理加算は、治療が終了した場合には算定できません。また、医師による情報提供書は不要ですが、聞き取り内容等を診療録に記載しておくことが必要です。
今回は重度療養管理加算について解説しました。重度療養管理加算は、手厚い医療が必要な状態である利用者にとって、計画的な医学的なケアを受けながらも在宅での自立した日常生活を送り、生活の質を向上させることに繋がります。事業所にとっても、手厚いケアを実施していることを地域にアピールできることに加え、収益アップも見込める加算ですので、重度療養管理加算の算定を是非ご検討ください。