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医療連携強化加算とは?算定要件や必要書類まで徹底解説!

2024-08-16

元山 ゆず香

監修者

介護福祉士

元山 ゆず香

大学を卒業後、特別養護老人ホームにて現場業務に従事。その後、福祉系大手企業に入社し、エリアマネージャーとして、施設介護事業・居宅介護事業・障害福祉サービス事業でのエリアマネジメント・行政対応を経験。また、法人本部に異動し教育部門・監査担当部門の部長を歴任。現在は全国の介護・障害福祉事業所の支援やセミナーの開催、DXO株式会社での介護関連事業の支援などを実施。

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短期入所生活介護は、利用者が可能な限り自立した日常生活を営むことができるよう、短期間入所して、日常生活支援を受けるサービスです。厚生労働省によると、令和4年度の要介護度別の短期入所利用割合は、要介護1,2の方がおよそ40%であるのに対し、要介護3~5の方はおよそ60%にのぼります。そのような重度利用者の増加に対応するべく、短期入所生活介護では医療連携強化加算を算定することが出来ます。

今回は、医療連携強化加算の概要や算定要件について詳しく解説していきます。

医療連携強化加算とは?

医療連携強化加算とは、短期入所生活介護における重度利用者の増加に対応するべく、サービス対象者に対して、看護職員による定期的な巡回や医療機関と緊急時対応に関わる取り決めをおこなっている事業所を評価するための加算です。

厚生労働省が定める利用者に対して、サービス利用時に文書で同意を得て、緊急時の対応方法などを取り決め、看護職員が巡回やバイタルサインを測定をすることによって算定することができます。

医療連携強化加算の対象事業所

加算の対象となる事業所は、短期入所生活介護のみになります。

医療連携強化加算の単位数と算定要件

医療連携強化加算の単位数と算定要件をそれぞれ見ていきましょう。

医療連携強化加算の単位数

医療連携強化加算は、算定要件を満たし都道府県知事に届出をした指定短期入所生活介護において、1日につき58単位を算定することができます。しかし、在宅中重度者受け入れ加算を算定している場合には、算定が出来ませんので注意しましょう。

医療連携強化加算の算定要件

事業所要件

医療連携強化加算を算定するにあたり、事業所側が満たさなければならない条件が厚生労働省によって定められています。以下の4つを全て満たす必要があります。

  1. 看護体制加算(Ⅱ)を算定していること
  2. 利用者の急変の予測や、早期発見のため、看護職員による定期的な巡回をおこなっていること。(1日3回以上巡回し、バイタルサインや状態変化を確認する)
  3. 主治医と連絡が取れない等の場合に備えて、予め協力医療機関を定め、緊急やむをえない場合の対応に係る取り決めをおこなっていること
  4. 急変時の医療提供の方針について利用者から合意を得ていること

利用者要件

医療連携強化加算の算定においては、利用者が満たさなければならない条件もあります。以下のいずれかに該当する状態であることが必要です。

  1. 喀痰吸引を実施している
  2. 呼吸障害等により人工呼吸器を使用している
  3. 中心静脈注射を実施している
  4. 人工腎臓を実施している
  5. 重篤な心機能障害,呼吸障害等により常時モニター測定を実施している ・人工膀胱または人工肛門の処置を実施している
  6. 経鼻胃管や胃瘻等の経腸栄養がおこなわれている
  7. 褥瘡に対する治療を実施している ・気管切開がおこなわれている

医療連携強化加算の算定において必要な書類

医療連携強化加算の算定のためには、算定予定の月の前月15日までに各都道府県への届出が必要です。届け出をするためには必要な書類が2つあります。

  1. 介護給付費算定に関する届出書
    各都道府県のホームページに届出の様式がありますので、そちらをご確認ください。届出によって事業所側の要件、利用者側の要件を満たしていることを証明します。

    参考:四日市市「介護給付費算定に係る体制等に関する届出(体制届)について(基準該当サービス事業)

  2. 協力医療機関に関する届出書
    協力医療機関との契約の内容が分かるもの、緊急時に医療提供をおこなう医療機関がどこであるのか、協力内容がわかるような書類(協定書等)を添付する必要があります。

    参考:広島県「協力医療機関に関する届出書について

また、届出の根拠となる書類が必要になる場合です。以下のようなものが挙げられます。都道府県によって必要書類は異なりますので、都道府県の担当団体に確認してください。

  • 同意書
  • 看護職員による巡回の記録(巡回ルート表など、定期的な巡回の状況が分かる書類)
  • 急変時の医療提供の方針

医療連携強化加算についてのQ&A

ここからは、医療連携強化加算について、よくある質問についてご紹介します。

看護職員による定期的な巡視は、看護職員が不在となる夜間や休日にはおこなわれなくても良いの?

医療連携強化加算を算定するためには、看護職員による定期的な巡視がおおむね1日3回以上おこなわれる必要があります。夜間や休日であっても、3回以上の巡回がおこなえていない日については、医療連携強化加算を算定することは出来ません。

協力医療機関との間でおこなう取り決めは、利用者ごとにおこなう必要があるの?

利用者ごとに取り決めをおこなう必要はありません。事業所と協力医療機関との間で全体としての方針を固めましょう。1年に1回以上、協力医療機関との間で、利用者の急変時などの対応を確認するとともに、その協力医療機関の名称などを指定権者へ届け出るように定められています。

医療的な処置において、医療連携強化加算では利用者の主治医や協力医療機関に優先的に連絡を取ることが求められているの?

必要な医療の提供については、利用者ごとに判断され、おこなわなければなりません。医療連携強化加算では、急変のリスクの高い利用者に対して、緊急時に必要な医療がより確実に提供される体制が評価されます。そのため、利用者が急変した場合などには、配置されている医師が対応するとともに、必要に応じて、主治医や、協力医療機関との連携を図っていく必要があります。

医療連携強化加算の算定要件の「緊急やむを得ない場合の対応」や「急変時の医療提供」とは、具体的にどういうことなの?

「緊急やむを得ない場合の対応」とは、利用者が急変した場合などにおいて、協力医療機関へ搬送するべき状態や、搬送方法、協力医療機関からの往診の実施の有無などの対応を取り決めておくことをさします。これらについて、協力医療機関と協定を結ぶことが必要です。

「緊急時の医療提供」とは、短期入所生活介護事業所の配置医師を含めて、主治医との連携や、協力医療機関への搬送などを意味します。これらについて、利用者に説明をおこない、合意を得ることが必要です。

加算を算定できる利用者の細かい要件はあるの?

医療連携強化加算を算定するために、看護体制加算(Ⅱ)を算定していることが要件の1つになっています。看護体制加算についても、算定要件が明確に定められていますので、厚生労働省による「指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(短期入所サービス及び特定施設入居者生活介護に係る部分)及び指定施設サービス等に要する費用の額の算定に関する基準の制定に伴う実施上の留意事項について」などをご参照ください。

まとめ

今回は、医療連携強化加算について解説しました。医療連携強化加算は、短期入所生活介護事業所にとって収益アップに繋がるだけでなく、医療機関と連携していることで、いかなるときでも適切な医療を提供する事業所であることをアピールすることができます。また利用者にとっても安心、安全に過ごすことができる環境は心強いでしょう。医療連携強化加算の算定を是非ご検討ください。

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