口腔衛生管理加算は、施設の利用者に対して歯科衛生士が口腔ケアを実施することで評価される加算項目です。2024年4月から、施設系サービスにおける口腔衛生管理業務の提供が義務化されました。
本記事では、口腔衛生管理加算の概要や対象サービス・単位数・算定要件について詳しく解説し、利用者の口腔ケアの重要性を説明します。ぜひ、最後までお読みください。
目次
口腔衛生管理加算とは、歯科医師の指示を受けた歯科衛生士が入所者に対して口腔ケアを実施することを評価する加算項目のことです。
令和3年度の介護報酬改定で、口腔衛生管理体制加算が廃止され、運営基準において基本サービスとして、口腔衛生管理の強化が義務化されました。ただ、この改正には、3年間の努力義務という経過措置が設けられていましたが、令和6年4月からはその経過期間も終了となっています。
なお、運営基準の記載内容は下記の通りです。
入所者の口腔の健康の保持を図り、自立した日常生活を営むことができるよう、口腔衛生の管理体制を整備し、各入所者の状態に応じた口腔衛生の管理を計画的におこなわなければならない。
※「計画的に」とは、歯科医師又は歯科医師の指示を受けた歯科衛生士が、介護職員に対する口腔衛生に係る技術的助言及び指導を年2回以上実施することとする。
口腔衛生管理加算の対象事業者は下記の通りです。
口腔衛生管理加算は(Ⅰ)(Ⅱ)に分類されており、それぞれの単位数は下記の通りです。
口腔衛生管理加算の算定要件は厚生労働省より、下記のように発表されています。
口腔衛生管理加算(Ⅰ)の算定要件は下記の通りです。
- 歯科医師又は歯科医師の指示を受けた歯科衛生士の技術的助言及び指導に基づき、入所者の口腔衛生等の管理に係る計画が作成されていること。
- 歯科医師の指示を受けた歯科衛生士が、入所者に対し、口腔衛生等の管理を月二回以上おこなうこと。
- 歯科衛生士が、(1)における入所者に係る口腔衛生等の管理について、介護職員に対し、具体的な技術的助言及び指導をおこなうこと。
- 歯科衛生士が、(1)における入所者の口腔に関する介護職員からの相談等に必要に応じ対応すること。
- 通所介護費等算定方法第十号、第十二号、第十三号及び第十五号に規定する基準のいずれにも該当しないこと。
引用:公益社団法人 全国老人保健施設協会「施設系サービスにおける口腔衛生管理の強化」
続いて、口腔衛生管理加算(Ⅱ)の算定要件は下記の通りです。
- 口腔衛生管理加算(Ⅰ)の算定要件の(1)から(5)までに掲げる基準のいずれにも適合すること。
- 入所者ごとの口腔衛生等の管理に係る情報を厚生労働省に提出し、口腔衛生の管理の実施に当たって、当該情報その他口腔衛生の管理の適切かつ有効な実施のために必要な情報を活用していること。
引用:公益社団法人 全国老人保健施設協会「施設系サービスにおける口腔衛生管理の強化」
なお、口腔衛生管理加算(Ⅱ)の算定にあたっては、
上記の2つが必要であるとともに、あらかじめ、体制等に関する届出書と、体制等状況一覧表を都道府県知事に届け出る必要があります。
口腔衛生管理加算とは、歯科医師の指示を受けた歯科衛生士が施設の利用者に対して口腔ケアを実施することで評価される加算項目です。
令和3年度の介護報酬改定により、口腔衛生管理体制加算が廃止され、口腔衛生管理の強化が義務化され、2024年4月からは経過措置の終了に伴い、施設系サービスでは口腔衛生管理業務を基本サービスとして提供することが義務化されます。
口腔衛生管理加算を取得し、口腔内のケアも積極的におこなうことで、利用者の生活の質をさらに向上できるはずです。ぜひ、今回の内容をきっかけに口腔衛生管理加算の取得を検討しましょう。