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経口移行加算とは?対象サービス・単位数・算定要件まで詳しく解説

2024-08-07

元山 ゆず香

監修者

介護福祉士

元山 ゆず香

大学を卒業後、特別養護老人ホームにて現場業務に従事。その後、福祉系大手企業に入社し、エリアマネージャーとして、施設介護事業・居宅介護事業・障害福祉サービス事業でのエリアマネジメント・行政対応を経験。また、法人本部に異動し教育部門・監査担当部門の部長を歴任。現在は全国の介護・障害福祉事業所の支援やセミナーの開催、DXO株式会社での介護関連事業の支援などを実施。

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経口移行加算は、経管栄養から経口摂取へ移行する利用者を支援するために設けられた加算項目です。この加算により、利用者の食事摂取方法を改善し、生活の質を向上させる取り組みが推進されます。

本記事では、経口移行加算の概論・対象サービス・単位数・算定要件まで詳しく解説します。ぜひ、最後までお読みください。

経口移行加算とは?

現在経管での食事を摂っている介護保険施設利用者を対象に、再度経口での食事を摂ってもらえるように、医師や専門職などが共同して計画書の作成と計画の実施をおこなっている事業所を評価する加算です。

経口移行加算は、医師の指示に基づき、医師や管理栄養士が共同して計画を作成し、計画に基づいて入所者へ支援がおこなわれた場合に算定できます。

経口移行加算の対象サービス一覧

経口移行加算が算定できるサービスは下記の通りです。

  • 施設サービス:介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)、介護老人保健施設、介護医療院
  • 地域密着型サービス:地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護
  • 障がいサービス:施設入所支援

経口移行加算の算定要件

経口移行加算の算定要件は下記のように厚生労働省は発表していますが、介護保険分野と障がい福祉分野では少し異なります。まず、介護保険分野における経口移行加算の算定要件は下記の通りです。

【介護保険】経口移行加算の算定要件

医師の指示に基づき、医師、歯科医師、管理栄養士、看護師、介護支援専門員その他の職種の者が共同して、現に経管により食事を摂取している入所者ごとに経口による食事の摂取を進めるための経口移行計画を作成している場合であって、当該計画に従い、医師の指示を受けた管理栄養士又は栄養士による栄養管理及び言語聴覚士又は看護職員による支援がおこなわれた場合は、当該計画が作成された日から起算して180日以内の期間に限り、1日につき所定単位数を加算する。

引用:厚生労働省「指定施設サービス等に要する費用の額の算定に関する基準」

上記のように、経口移行加算は基本的に180日以内の期間に限り算定が可能ですが、下記の条件の場合は、180日を超えても引き続き算定できます。

経口による食事の摂取を進めるための経口移行計画に基づき、管理栄養士又は栄養士がおこなう栄養管理及び言語聴覚士又は看護職員がおこなう支援が、当該計画が作成された日から起算して180日を超えた期間におこなわれた場合であっても、経口による食事の摂取が一部可能な者であって、医師の指示に基づき継続して経口による食事の摂取を進めるための栄養管理及び支援が必要とされるものに対しては、引き続き当該加算を算定できるものとする。

引用:厚生労働省「指定施設サービス等に要する費用の額の算定に関する基準」

【障がい福祉】経口移行加算の算定要件

  • 医師、管理栄養士、看護職員、サービス管理責任者その他の職種の者が共同して、経口による食事の摂取を進めるための栄養管理の方法等を示した経口移行計画を作成すること
  • 当該計画に基づき、栄養管理を実施すること。経口移行加算の算定期間は、経口からの食事の摂取が可能となり経管による食事の摂取を終了した日までの期間とするが、その期間は入所者又はその家族の同意を得た日から起算して 180 日以内の期間に限るものとし、それを超えた場合においては、原則として当該加算は算定しないこと

引用:厚生労働省「障害者自立支援法に基づく指定障害福祉サービス等及び基準該当障害福祉サービスに要する費 用の額の算定関する基準等の制定に伴う実施上の留意事 項について」

障がい福祉分野でも、経口移行加算の算定期間は基本的に180日以内ですが、下記の場合は180日を超えても算定ができます。

経口による食事の摂取を進めるための栄養管理が、入所者又はその家族の同意を得られた日から起算して、180 日を超えて実施される場合でも、経口による食事の摂取が一部可能なものであって、医師の指示に基づき、継続して経口による食事の摂取を進めるための栄養管理が必要とされる場合にあっては、引き続き当該加算を算定できるものとすること。ただし、この場合において、医師の指示は概ね二週間ごとに受けるものとすること。

引用:厚生労働省「障害者自立支援法に基づく指定障害福祉サービス等及び基準該当障害福祉サービスに要する費 用の額の算定関する基準等の制定に伴う実施上の留意事 項について」

また、障がい福祉分野の場合は、経管栄養法から経口栄養法への移行は、場合によっては、誤嚥性肺炎の危険もあるため、下記の内容を評価したうえでおこなう必要があります。

  1. 全身状態が安定していること(血圧、呼吸、体温が安定しており、現疾患の病態が安定していること)
  2.  刺激しなくても覚醒を保っていられること
  3.  嚥下反射が見られること(唾液嚥下や口腔、咽頭への刺激による喉頭挙上が認められること)
  4.  咽頭内容物を吸引した後は唾液を嚥下しても「むせ」がないこと

介護保険分野と障がい福祉分野での算定要件の違い

介護保険分野・障がい福祉分野ともに、基本的な算定要件は同じですが、下記の内容で異なります。

  • 介護保険分野では、経口移行計画の作成後は、管理栄養士、栄養士による栄養管理、および言語聴覚士または看護職員による支援をおこなった場合で算定かだが、障がい福祉分野では、経口移行計画の作成後は、管理栄養士、栄養士による栄養管理をおこなった場合のみ。
  • 経口移行加算を180日を超えても算定する場合、障がい福祉分野では医師の指示は概ね2週間ごとに受ける必要がある。
  • 障がい福祉分野では経管栄養法から経口栄養法への移行は、場合によっては、誤嚥性肺炎の危険もあるため、決められた評価をおこなう必要がある。

主にこれらの内容が、介護保険分野と障がい福祉分野で異なります。

介護福祉施設サービスの場合は、施設サービス計画の記載内容が経口移行計画の代わりとなる

介護福祉施設サービスの場合は、褥瘡ケア計画書や、排せつ支援計画書などと同じように、経口移行計画に相当する内容を施設サービス計画に書いてあれば施設サービス計画が経口移行計画の代わりになります。

経口移行加算の取得単位

経口移行加算の取得単位は介護保険分野、障がい福祉分野ともに28単位/日となっています。

経口移行加算に関してのよくある質問

ここでは経口移行加算を算定するにあたってよくある質問をお伝えします。

Q1.経口移行加算の算定に当たっては、管理栄養士の配置は必須なのか

管理栄養士の配置は必須ではありませんが、栄養管理に係る減算に該当する場合は、算定できません。

Q2.経口移行加算について、180日の起算はどこからなのか

経口移行計画を作成したあとに、利用者や家族に説明し、その同意を得た日が起算日になります。

Q3.180日時点で経口摂取が一切認められない場合、算定不可となるのか

医師が経口による食事の摂取を進めるための栄養管理が引き続き必要と判断する必要性があるため、経口移行がこれ以上進まないと判断した利用者に対しては算定できません。

Q4.180日加算を算定したが、経口摂取に移行できなかった場合に、期間をあけて再度経口摂取に移行するための栄養管理を実施する場合には、再度180日を限度として加算を算定可能か

利用者1人につき、1入所1度のみの算定のため、再度加算を算定することはできません。

Q5.すべて経口に移行して、順調に食べ続けていても加算の算定は可能か

算定期間は、経口からの食事が可能となって、経管栄養を終了した日までの期間となります。

Q6.180日以降も一部経口摂取可能であり継続して栄養管理が必要な者は引き続き算定可能とあるが、その場合は無期限に算定可能なのか

経口移行が進むと医師が判断する期間中は算定が可能です。

経口移行加算を取得して、経管での食事を少しでも減らそう

経口移行加算は、介護保険施設利用者が経管栄養から経口摂取へ移行するための計画と支援をおこなう事業所を評価する加算項目です。

具体的な算定方法は、医師や管理栄養士、看護職員などが共同して経口移行計画を作成し、その計画に基づき支援が実施された場合に算定でき、利用者が再び経口での食事を摂取できるよう支援するために重要な役割を果たします。

ぜひ、今回の内容を参考に経口移行加算を取得して、経管で食事する利用者を少しでも減らしましょう。

お役立ち資料:加算取得を目指す方へ

訪問介護の事業者向けに、各種加算と減算の要件や、優先的に取得するべき加算などについて、わかりやすくまとめました。
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