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栄養マネジメント強化加算とは?対象サービス・単位数・算定要件まで詳しく解説

2024-08-06

元山 ゆず香

監修者

介護福祉士

元山 ゆず香

大学を卒業後、特別養護老人ホームにて現場業務に従事。その後、福祉系大手企業に入社し、エリアマネージャーとして、施設介護事業・居宅介護事業・障害福祉サービス事業でのエリアマネジメント・行政対応を経験。また、法人本部に異動し教育部門・監査担当部門の部長を歴任。現在は全国の介護・障害福祉事業所の支援やセミナーの開催、DXO株式会社での介護関連事業の支援などを実施。

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栄養マネジメント強化加算は、介護施設における利用者の栄養状態の改善・維持を目指し、適切な栄養ケア体制を整えるために導入された制度で、令和3年度の介護報酬改定において新設され、特に栄養ケア・マネジメントの強化を目的としています。

今回は、栄養マネジメント強化加算の概論だけでなく、対象サービス・単位数・算定要件まで詳しく解説します。ぜひ、最後までお読みください。

栄養マネジメント強化加算とは?

栄養マネジメント強化加算は、利用者の栄養状態の改善・維持を目指すための体制や、ミールラウンドの実施などにおいて、利用者の栄養ケアを適切におこなっている施設系サービスが算定できる加算で、介護施設における栄養ケア・マネジメントの強化を目的に、令和3年度の介護報酬改定で新設されました。

以前から介護保険施設における低栄養状態の割合の多さが問題となっていました。この問題を解決するために、平成30年度の介護報酬改定時に低栄養リスク改善加算が新設されました。さらに低栄養リスク改善加算の算定率が低いと判断され、より算定しやすい栄養マネジメント強化加算が新設されました。

栄養マネジメント強化加算の対象サービス

栄養マネジメント強化加算の取得対象となるサービスは下記の通りです。

  • 介護老人福祉施設
  • 介護老人保健施設
  • 介護医療院
  • 地域密着介護老人福祉施設

栄養マネジメント強化加算の算定単位数

栄養マネジメント強化加算の算定単位数は11単位/日です。

栄養マネジメント強化加算の算定要件

栄養マネジメント強化加算の算定要件は下記の通りです。

  • 管理栄養士を常勤換算方式で入所者の数を50(施設に常勤栄養士を1人以上配置し、給食管理をおこなっている場合は70)で除して得た数以上配置すること
  • 低栄養状態のリスクが高い入所者に対し、医師、管理栄養士、看護師等が共同して作成した栄養ケア計画に従い、食事の観察(ミールラウンド)を週3回以上おこない、入所者ごとの栄養状態、嗜好等を踏まえた食事の調整等を実施すること入所者が、退所する場合において、管理栄養士が退所後の食事に関する相談支援をおこなうこと
  • 低栄養状態のリスクが低い入所者にも、食事の際に変化を把握し、問題がある場合は、早期に対応すること
  • 入所者ごとの栄養状態等の情報を厚生労働省に提出し、継続的な栄養管理の実施に当たって、当該情報その他継続的な栄養管理の適切かつ有効な実施のために必要な情報を活用していること(CHASEへのデータ提出とフィードバックの活用)

参考:厚生労働省「令和3年度介護報酬改定の概要(栄養関連)」

なお、現在のデータ提出とフィードバックの活用は、CHASEではなくLIFEでおこなうように変更されています。

管理栄養士の人員配置について

栄養マネジメント強化加算を算定するためには、管理栄養士を利用者50名につき、常勤換算で1名以上配置する必要があります。利用者数は現時点での人数ではなく、前年度の実績を用いるため、前年度の平均入所者数を50で割って常勤換算数を計算します。

例えば昨年の平均利用者数が80人の場合は、80÷50=1.6人になるため、管理栄養士を1日あたり1.6人分配置する必要がある計算です。ただ、調理業務を委託している場合は、委託先の管理栄養士は、栄養マネジメント強化加算における人員配置の対象にはならないので注意が必要です。

ミールラウンドの具体的な方法

ミールラウンドは食事の場面を多職種で観察し、実際の食事の食べ方を確認して、しっかりと食べて飲み込めているかなどを評価します。なお、低栄養状態のリスクが、中〜高リスクに該当する利用者に対しては、管理栄養士などが下記の通りで対応をおこなうように推奨しています。

  1. 基本サービスとして、医師、歯科医師、管理栄養士、看護師、介護支援専門員その他の職種の者が共同して作成する栄養ケア計画に、低栄養状態の改善等をおこなうための栄養管理方法や食事の観察の際に特に確認すべき点等を示すこと。

  2. 当該栄養ケア計画に基づき、食事の観察を週3回以上おこない、当該入所者の栄養状態、食事摂取量、摂食・嚥下の状況、食欲・食事の満足感、嗜好を踏まえた食事の調整や、姿勢、食具、食事の介助方法等の食事環境の整備等を実施すること。食事の観察については、管理栄養士がおこなうことを基本とし、必要に応じ、関連する職種と連携しておこなうこと。やむを得ない事情により、管理栄養士が実施できない場合は、介護職員等の他の職種の者が実施することも差し支えないが、観察した結果については、管理栄養士に報告すること。なお、経口維持加算を算定している場合は、当該加算算定に係る食事の観察を兼ねても差し支えない。

  3. 食事の観察の際に、問題点が見られた場合は、速やかに関連する職種と情報共有をおこない、必要に応じて栄養ケア計画を見直し、見直し後の計画に基づき対応すること。

  4. 当該入所者が退所し、居宅での生活に移行する場合は、入所者又はその家族に対し、管理栄養士が退所後の食事に関する相談支援をおこなうこと。また、他の介護保険施設や医療機関に入所(入院)する場合は、入所中の栄養管理に関する情報(必要栄養量、食事摂取量、嚥下調整食の必要性(嚥下食コード)、食事上の留意事項等)を入所先(入院先)に提供すること。

参考:広島県公式ホームページ「指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(短期入所サービス及び特定施設入居者生活介護に係る部分)及び指定施設サービス等に要する費用の額の算定に関する基準の制定に伴う実施上の留意事項について」

LIFEへの提出方法

LIFEに提出が必要な情報は下記の通りです。

  • 要介護度
  • 実施日
  • 低栄養状態のリスクレベル
  • 低栄養状態のリスク(状況)
  • 食生活状況等
  • 多職種による栄養ケアの課題(低栄養関連問題)
  • 総合評価
  • 計画変更

上記に加えて、経口維持加算Ⅰ・Ⅱを算定している事業所は、摂食・嚥下の課題、食事の観察、多職種会議の項目も合わせて提出する必要があります。

栄養マネジメント強化加算を取得して、低栄養の利用者への栄養状態の改善を図ろう

栄養マネジメント強化加算は、介護施設において利用者の栄養状態の改善・維持を目指す体制やミールラウンドの実施を適切におこなっている施設に対して支給される加算で、令和3年度の介護報酬改定で新設されました。

この栄養分野は、近年では注目が増しており、令和6年度の医療・介護同時改定の内容で、リハ・口腔・栄養の一体的な取り組みが改定内容の1つの柱になりましたが、この傾向は、高齢化が進む国内において、重要性はより高まると予測されています。

ぜひ、今回の内容を参考に、栄養マネジメント強化加算を取得して、低栄養の利用者への栄養状態の改善を図りましょう。

お役立ち資料:加算取得を目指す方へ

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