協力医療機関連携加算は、令和6年介護報酬改定で新設された加算で、協力医療機関との共同会議を定期的に開催することで算定できる加算です。協力医療機関連携加算の算定に向けて、算定要件や単位数について詳しく知りたい施設経営者も多いのではないでしょうか。
本記事では、協力医療機関連携加算の算定要件や単位数について詳しく解説します。
目次
協力医療連携加算は、医療機関と実効性のある連携体制を構築して、利用者の健康管理をさらに効果的におこなう目的で創設されました。この加算は、介護施設が強力医療機関と定期的に会議を開催して、入所者または入居者の現病歴などの情報共有をおこなうことで算定できます。
協力医療機関とは、介護施設の利用者が体調不良を起こした際などに協力する医療機関のことです。
令和6年介護報酬改定では、介護老人福祉施設や介護老人保健施設などで、3年間の猶予期間を設けた上で協力医療機関を定めることが義務化されました。協力医療機関の要件については、以下の3点を満たすこととされています。
協力医療機関の条件
- 入所者の病状が急変した場合等において、医師又は看護職員が相談対応を行う体制を常時確保していること。
- 診療の求めがあった場合において、診療を行う体制を常時確保していること。
- 入所者の病状の急変が生じた場合等において、当該施設の医師又は協力医療機関その他の医療機関の医師が診療を行 い、入院を要すると認められた入所者の入院を原則として受け入れる体制を確保していること。
引用:厚生労働省「令和6年度介護報酬改定における改定事項について」
特定施設入居者生活介護や地域密着型特定施設入居者生活介護、認知症対応型共同生活介護では、上記の(1)と(2)だけが協力医療機関の要件となるため注意しましょう。
令和6年介護報酬改定において協力医療機関連携加算が導入された理由は、各施設で定めている協力医療機関との連携が十分に機能していなかったためと考えられます。
厚生労働省の資料「高齢者施設等と医療機関の連携強化(改定の方向性)」では、入所者の急変時などの対応について統一性がないなどが指摘されています。また、多くの患者が入院をしている医療機関について、当該医療機関が提供する医療の内容と、要介護者などの高齢者が求める医療内容に大きな違いがある点についても指摘されていました。これらの問題点を改善するために新設された加算が、協力医療機関連携加算です。
協力医療機関連携加算の算定要件や単位数は、施設の種類によって内容が異なります。また、時期によって単位数が変更される場合もあるため注意が必要です。
ここでは、協力医療機関連携加算の算定要件と単位数について詳しく解説します。
厚生労働省の資料では、協力医療機関連携加算の算定要件について以下のように記載されています。
協力医療機関連携加算の算定要件等
協力医療機関との間で、入所者等の同意を得て、当該入所者等の病歴等の情報を共有する会議を定期的に開催していること。
引用:厚生労働省「令和6年度介護報酬改定における改定事項について」
また、会議の開催頻度などの詳細な条件について厚生労働省の解釈通知によると、以下のように記載されています。
報酬改定の解釈通知の概要 |
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協力医療機関連携加算の対象施設は、以下の通りです。
主な算定対象施設は入所施設ですが、各施設ごとに単位数や算定要件が異なる点には注意しましょう。
協力医療機関連携加算を算定する場合、上記の条件から、施設の種類に応じた条件を満たす医療機関との連携強化が求められます。各施設の協力医療機関の条件と単位数については以下の通りです。
対象施設 | 協力医療機関の条件 | 単位数 |
介護老人福祉施設 | (1)、(2)、(3) | <3つの算定要件を満たす場合> |
特定施設入居者生活介護 | (1)、(2) | <2つの算定要件を満たす場合> |
認知症対応型共同生活介護 | (1)、(2) | <2つの算定要件を満たす場合> |
参考:厚生労働省「令和6年度介護報酬改定における改定事項について」
施設の種類に応じて、協力医療機関の条件や単位数が異なります。また、介護老人福祉施設などの場合、令和7年度から単位数が異なる点にも注意しましょう。
協力医療機関連携加算は、算定単位数が今後変更される点や、適用時期について注意が必要です。ここでは、協力医療機関連携加算の注意点について詳しく解説します。
協力医療機関連携加算を算定できる施設の中でも、以下の施設は令和7年から単位数が変更されるため注意しておきましょう。
令和6年までは、1ヵ月あたり100単位の加算を算定できますが、令和7年からは50単位に変更される予定です。単位数変更などの予定も理解した上で算定することをおすすめします。
以下の4施設については、2024年の介護報酬改定で協力医療機関を定めることが義務付けられました。
しかし、同時に2027年まで3年間の猶予期間も設けられています。2027年以降は完全に義務化されるため、上記の4施設は完全義務化までに3つの条件を満たした協力医療機関を定めましょう。
協力医療機関連携加算に関するQ&Aでは、グループホームのショートステイ利用者や要支援の算定要件などに関する内容が挙げられていました。ここでは、協力医療機関連携加算に関するQ&Aについて詳しく解説します。
グループホームのショートステイ利用者に対する協力医療機関連携加算について、厚生労働省の資料では、以下のように記載しています。
協力医療機関連携加算について
本加算制度は協力医療機関と利用者の現病歴等の情報共有を行う会議を定期的に開催することを評価するものである。ショートステイ等既に居宅サービスを利用している者の情報共有は居宅サービスのケアマネジャー等が行うものであるため、当該加算の対象とはならない。
引用:厚生労働省「令和6年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.1)(令和6年3月15日)の送付について」
ショートステイなどの居宅サービスを利用している利用者の場合、原則としてケアマネジャーが情報連携をおこないます。そのため、協力医療機関連携加算の算定対象とならないため注意しましょう。
要支援2の方に対する協力医療機関連携加算について、厚生労働省の資料では、以下のように記載しています。
協力医療機関連携加算について
要支援者については、「介護予防認知症対応型共同生活介護費」の対象となるが、これについては、協力医療機関連携加算は設けていないことから、算定できない。
引用:厚生労働省「令和6年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.1)(令和6年3月15日)の送付について」
要支援の利用者は、介護予防認知症対応型共同生活介護費の対象となります。要介護の方と算定構造が異なるため、協力医療機関連携加算が設けられていません。同じ施設の利用者でも、要支援2の方は加算の算定対象外となるため注意しておきましょう。
協力医療機関連携加算は、介護施設と協力医療機関との連携を強化する目的で令和6年の介護報酬改定で新設された加算です。
協力医療機関に指定できる医療機関には3つの条件が定められており、各施設ごとに条件を満たす医療機関を設定し、定期的に状況共有のための会議を開催することで算定できます。また、一部の施設は、令和7年以降に単位数が異なるため注意しましょう。
今回の介護報酬改定で、介護老人福祉施設などで3つの条件を満たした協力医療機関を設定することが義務化されます。3年間の猶予期間が設けられていますが、2027年以降には完全義務化されるため、算定の有無に関わらず早めに協力医療機関を定めることも大切です。