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若年性認知症利用者受入加算とは?サービス種別ごとの単位数や算定要件を詳しく解説!

2024-07-29

元山 ゆず香

監修者

介護福祉士

元山 ゆず香

大学を卒業後、特別養護老人ホームにて現場業務に従事。その後、福祉系大手企業に入社し、エリアマネージャーとして、施設介護事業・居宅介護事業・障害福祉サービス事業でのエリアマネジメント・行政対応を経験。また、法人本部に異動し教育部門・監査担当部門の部長を歴任。現在は全国の介護・障害福祉事業所の支援やセミナーの開催、DXO株式会社での介護関連事業の支援などを実施。

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認知症というと一般的に高齢者をイメージされますが、65歳未満で認知症を発症する若年性認知症の方もいます。介護保険サービスでは、若年性認知症の利用者を受け入れることもあり、適切な支援が求められます。現在、若年性認知症の利用者に対して専門性の高いケアを提供できる事業所は限られています。
介護保険制度では、若年性認知症の利用者の受け入れ実績のある事業所を高く評価する仕組みを通じて、多くの事業所での受け入れを促しています。

本記事では、若年性認知症利用者受入加算について解説します。

若年性認知症利用者受入加算とは

若年性認知症利用者受入加算とは、若年性認知症の利用者を受け入れる施設・事業所を評価するために設けられた介護保険制度の報酬加算です。若年性認知症の利用者の支援をするために導入されました。

若年性認知症とは

若年性認知症は、65歳未満で発症する認知症です。アルツハイマー型認知症や脳血管性認知症など、基礎疾患に関係なく、65歳未満であることが条件となります。厚生労働省(厚生労働省若年性認知症実態調査:令和2年3月)によると、日本全国には若年性認知症に該当する方が3.57万人いると推計されています。18歳から64歳までの人口の中の有病率は50.9人となり、18歳から64歳のうち、およそ50人に1人は若年性認知症に該当します。

若年性認知症利用者受入加算では、若年性認知症特有のニーズを理解し、若年性認知症利用者本人とその家族の希望に応じたケアを提供することが求められます。

若年性認知症利用者受入加算の対象事業所

対象となるサービス種別は以下の通りです。

  • 介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)
  • 介護老人保健施設
  • 介護医療院
  • 通所介護(デイサービス)
  • 認知症対応型通所介護
  • 地域密着型通所介護
  • 通所リハビリテーション
  • 短期入所生活介護(ショートステイ)
  • 短期入所療養介護(ショートステイ)
  • 特定施設入居者生活介護(介護付有料老人ホームなど)
  • 小規模多機能型居宅介護
  • 看護小規模多機能型居宅介護
  • 認知症対応型共同生活介護(グループホーム)

入所・入居系サービスから通所系サービス全般、短期入所など、幅広いサービス事業所が対象となります。要支援の方を対象とする介護予防サービスに関しても算定対象となります。しかし、算定対象サービス種別が多いものの算定率は低く、厚生労働省介護給付費分科会資料によると、若年性認知症の利用者の受け入れ数が少なく、受け入れをおこなっている事業所はわずか1%以下となります。

参照:厚生労働省「若年性認知症実態調査令和2年3月」
参照:厚生労働省「介護給付費分科会第180回」

若年性認知症利用者受入加算の算定要件と単位数

若年性認知症利用者受入加算の単位数

2024年現在、サービス種別ごとの単位数は以下の通りとなります。

サービス種別

単位数

備考

介護老人福祉施設

120単位/日

地域密着型も含む
注1

介護老人保健施設

120単位/日

注1

介護医療院

120単位/日

通所介護

60単位/日

注2

認知症対応型通所介護

60単位/日

地域密着型通所介護

60単位/日

通所リハビリテーション

60単位/日

介護予防通所リハビリテーションは
240単位/月

短期入所生活介護

120単位/日

注1

短期入所療養介護

120単位/日

注1

特定施設入居者生活介護

120単位/日

地域密着型も含む

小規模多機能型居宅介護

800単位/月

小規模多機能型居宅
介護費を算定する場合のみ

看護小規模多機能型居宅介護

800単位/月

看護小規模多機能型
居宅介護費を算定する場合のみ

認知症対応型共同生活介護

120単位/日

注1:認知症行動・心理症状緊急対応加算との併算定は不可
注2:認知症加算との併算定は不可

加算の算定単位は基本的には該当者の利用日ごとの算定となります。ただし、小規模多機能型居宅介護・看護小規模多機能型居宅介護と介護予防通所リハビリテーションは、基本の介護報酬が月額の包括報酬になるため、それに合わせて月単位で算定します。

若年性認知症利用者受入加算の算定要件

算定要件は、全てのサービス種別に共通しており、以下の通りです。

【対象者】

  • 40歳以上65歳未満(65歳の誕生日の前々日まで)の方
  • 認知症の診断を受けている方

【算定要件】

  • 受け入れた若年性認知症入所者ごとに、施設や事業所の介護職員の中から個別の担当者を定めていること
    ※人数や資格等の要件はなし
  • 個別の担当者が中心となって、利用者のニーズに応じたサービスを提供していること
  • 利用者の要介護、要支援認定における主治医の意見書に、認知症という記載されていること

若年性認知症利用者受入加算のQ&A

個別の担当者は、担当利用者がサービス提供を受ける日に必ず出勤する必要はある?

個別の担当者は、当該利用者の特性やニーズに応じたサービス提供をおこなう上で中心的な役割を果たすものであるが、当該利用者へのサービス提供時に必ずしも出勤している必要はないです。担当者は個別的なサービスの中心的な役割を担う存在ではあるが、対象者の利用当日に出勤していなくても、算定することは可能です。

一度本加算制度の対象者となった場合、65歳以上になっても継続して対象となる?

65歳の誕生日の前々日までは対象です。65歳の前日を迎えた時点で利用者は若年性認知症利用者受入加算の対象外になります。

介護予防通所介護のように月単位の報酬が設定されている場合、65歳の誕生日の前々日が含まれる月はどのように取り扱う?

65歳の誕生日の前々日が含まれる月は加算の算定対象としています。65歳の誕生日の前々日が4月にあれば、4月分は若年性認知症利用者受入加算の240単位/月が算定できます。

ただし、誕生日の前々日までにサービスの提供がなければ加算の対象外となることもあります。
例として、誕生日が4月5日の利用者であれば、誕生日の前々日は4月3日です。その日までにサービス利用があれば加算の対象ですが、その月の初回の利用日が4月4日だった場合は、4月は若年性認知症利用者受入加算の対象外となります。

まとめ

若年性認知症となった方は、社会からも孤立しやすく、本人・家族を含め周囲の人は多くの混乱に直面します。若年性認知症に特化したデイサービスもありますが、まだまだ数は少ないのが現状です。利用者や家族を支える存在になることで、地域に信頼される存在になるでしょう。

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