遠隔死亡診断補助加算は2024年度診療報酬改定により新設された加算です。新設されたため、どのような場合に加算ができるのかあまり知られていません。
そこでこの記事では遠隔死亡診断補助加算の算定要件などについてまとめました。遠隔死亡診断補助加算について知りたい人は、ぜひ参考にしてみてください。
目次
遠隔死亡診断補助加算は、2024年度に診療報酬改定で新設された加算のことをいいます。情報通信機器を用いた在宅での看取りにかかる研修を受けた看護師が、主治医の指示に基づき情報通信機器を用いて医師の死亡診断の補助を行った際に算定できる加算です。算定額は150単位/回であるため、加算額は1,500円となります。
遠隔死亡診断補助加算は業務のデジタル化を図り、在宅ターミナルケア加算によりICTを活用を目的とした加算でもあります。在宅での看取りに際し医師が行う死亡診断を、訪問看護師がICTを活用して遠隔での補助をしたときの評価となります。
この加算には医師の負担軽減など3つの目的があり、新設されました。ここではそれぞれの目的について詳しく見ていきます。
在宅医療におけるICTを用いた医療DXも大きな特徴であり、オンライン資格確認による医療情報活用やオンライン診療など、さまざまなICTツールが登場しています。
これらを上手に活用することで医師をはじめとした医療従事者の負担の軽減が可能となりました。従来の死亡診断は医師が患者の自宅などに出向いて行う必要がありました。しかし、ICTツールを活用することで、研修を受けた看護師の医師への補助が可能となり、結果として医師の負担軽減に繋がりました。
そのため遠隔死亡診断補助加算の導入をすることで、医師の負担を減らすことができるようになったのです。
遠隔死亡診断補助加算は、利用者が厚生労働省の定める離島や過疎地域、豪雪地帯に居住しているため、死亡時に医師が訪問できない利用者のために、訪問看護師が情報通信機器を用いることで医師の死亡診断の補助をすることで加算できます。
従来は在宅での看取りを希望する患者が増加傾向にあったとしても、医師不足や医療従事者の不足で在宅での死亡診断が難しいケースが多々ありました。しかしICTの活用により医師が遠隔地にいる患者の在宅での看取りが可能となりました。
そのため遠隔地であり、医師の訪問が難しい地域で在宅での看取りを希望する患者のニーズにこたえられるようになりました。
団塊の世代が後期高齢者となる2025年を目前に控えている今、医療従事者の確保及び医療提供の確保が急務となっています。特に遠隔地などの医師不足や医療従事者が不足しやすい地域における死亡診断は、従来は困難でした。
ICTツールを活用した医療提供を行うことで、地域による医療格差の是正が可能となり、遠隔地であったとしても自宅での看取りが可能となりました。
遠隔死亡診断補助加算の算定要件はいくつかの条件を満たすことで算定できます。ここでは算定要件の項目について個々にみていきましょう。
患者の死亡時、医師が患者の元を訪れることができないときなどビデオ通話などのICTを活用し、死亡診断を下すことが条件となってます。そのため遠隔地であり、医師が直接訪問できない場合でも、ICT活用により死亡診断を下すことができます。
ICTを活用して医師が患者の死亡判断を下すとき、研修を受けた訪問看護師が医師の補助をすることが定められています。看護師はあらかじめ研修を受けたものであり、ICTを駆使して医師の補助を務めます。
遠隔死亡診断補助加算を算定するには、次にあげる疾病などに該当している患者であることが条件としてあげられます。それでは、どのような疾病が条件なのでしょうか。
次の項目で該当する疾病について紹介していきます。
特定疾病とは、長期特定疾病のことであり、健康保険法で定められている制度になります。該当する疾病は、長期的な療養が必要な疾病です。
その対象となるのが血友病や人工透析を必要とするものであり、腎不全や血液製剤によるHIV感染症の患者が、該当します。
指定難病とは日本に存在する難病患者数が一定(人口換算で0.1%程度)に達しておらず、客観的な診断基準やそれに準ずるものが確立していない病を指定難病といいます。指定難病は長期的な療養が必要であることから、経済的負担が大きいです。そのため国の定める基準に基づく医療費の助成制度を受けることが可能です。
遠隔死亡診断補助加算に該当する地域は次にあげられるものが該当します。
この条件に該当している患者に対し、遠隔死亡診断補助加算が算定されます。
訪問介護ターミナルケア療養費は次にあげる項目に該当していることで算定されます。
この4項目を満たすことで、ターミナルケア療養費を算定できます。
遠隔死亡診断補助加算には次にあげる注意点があります。
これらの注意点のもと、遠隔死亡診断補助加算は算定されます。
遠隔死亡診断補助加算はICTを活用し、研修を受けた訪問看護師の補助を受けながら医師が死亡診断を下せます。そのため医師自らが訪問できない遠隔地など医療不足が深刻な地域では、重要な役割を担う加算です。
また、ICTの活用により医療人材の不足も補えるため、加算を検討している事業所などは積極的に取り入れてみてはいかがでしょうか。