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【2024年改定対応】看取り連携体制加算とは?訪問入浴やショートステイでの算定要件を解説

元山 ゆず香

監修者

介護福祉士

元山 ゆず香

大学を卒業後、特別養護老人ホームにて現場業務に従事。その後、福祉系大手企業に入社し、エリアマネージャーとして、施設介護事業・居宅介護事業・障害福祉サービス事業でのエリアマネジメント・行政対応を経験。また、法人本部に異動し教育部門・監査担当部門の部長を歴任。現在は全国の介護・障害福祉事業所の支援やセミナーの開催、DXO株式会社での介護関連事業の支援などを実施。

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看取り連携体制加算とは、看取り期の利用者に対してサービスの提供を行うことで加算されます。病院や診療所、訪問看護ステーションなどとの連携により、利用者の状況に応じた連携体制を確保しています。

この記事では看取り連携体制加算とは何かについて詳しく解説していきますので、加算導入を検討している事業者は、ぜひ参考にしてみてください。

看取り連携体制加算とは?

ここでは看取り連携体制加算の概要から対象事業所などを紹介していきます。看取り連携体制加算の基本的な内容をそれぞれ見ていきましょう。

看取り連携体制加算の概要

看取り連携体制加算とは、看取り時期の対応についての方針を決定し、利用者とその家族の同意を得ている場合に算定できる加算です。

質の良い介護サービスを提供している事業者を評価する加算であり、国が定める条件をクリアしたうえで、届け出を出すことで算定可能となります。

看取り連携体制加算の対象事業者

看取り連携体制加算の対象事業者は次にあげる3つの事業者です。

  • 訪問入浴介護
  • 小規模多機能型居宅介護
  • 短期入所生活介護

2024年の報酬改定から訪問入浴介護と短期入所生活介護も対象に含まれるようになりました。

看取り連携体制加算の対象利用者

看取り連携体制加算の対象者は次にあげる条件全てに該当している利用者となります。

  1. 医師が一般に認められる医学的知見に基づき回復の見込みがないと判断した者
  2. 看取り期における対応方針に基づき、利用者の状況や家族の求めなどに応じ、介護職員、看護職員などの介護記録などの利用者に関する記録を活用し行われるサービスについての説明を受け、同意したうえでサービスを受けている者

このように医師の判断や利用者やその家族の同意を得た人が対象者となります。

看取り連携体制加算の単位数

看取り連携体制加算の1日の単位数は64単位/日です。ただし注意点が2つあります。

1つ目の注意点は、死亡日及び死亡日以前30日以下において1回に限り算定することです。2つ目の注意点は、短期入所は死亡日及び死亡日以前30日以下について7日を限度として算定可能な点です。いまあげた注意点に気を付けて算定を行いましょう。

看取り連携体制加算の算定率と算定事業所数

看取り連携体制加算の算定率と算定事業所数は次の通りです。

提供しているサービスは看護小規模多機能、その算定率は0.37%、算定事業所数は20となっています。算定率と算定事業所数が少ないことで算定難易度が高いことがわかります。

看取り連携体制加算の算定要件

看取り連携体制加算の算定要件は、提供しているサービスにより異なります。ここではそれぞれのサービスごとに詳しい内容を見ていきましょう。

訪問入浴介護における看取り連携体制加算の算定要件

訪問入浴介護における看取り連携体制加算の要件には利用者基準と事業所基準がそれぞれ決まっています。

まずは利用者基準から見ていきます。

  1. 医師が一般に認めている医学的知見に基づき回復の見込みがないと判定した者
  2. 看取り期における対応方針に基づき、利用者の状況や家族の求めなどに応じて、介護職員、看護職員などの介護記録など利用者に関する記録活用して行われるサービスについての説明を受け、同意したうえでサービスを受けている者(家族が説明を受けて同意している場合も含む)であること

この2点が定められています。

次に事業所基準。

  1. 病院や診療所、訪問看護ステーションなどとの連携により、利用者の状況に応じた対応ができる連絡体制を確保し、必要に応じて訪問看護ステーションなどにより訪問看護などが提供できるように、訪問入浴介護を行う日時を訪問看護ステーションなどとの調整を行っていること
  2. 看取り期における対応方針を定め、利用開始の際に利用者やその家族に対して、当該対応方針の内容を説明し、同意を得ていること
  3. 看取りに関する職員研修を行っていること

これらの要件を満たすことで算定可能となります。

短期入所(ショートステイ)における看取り連携体制加算の算定要件

短期入所における看取り連携体制加算は次にあげる1もしくは2に該当し、さらに3〜9を実施していることが要件となります。

  1. 看護体制加算(Ⅱ)または(Ⅳ)イもしくはロを算定している
  2. 看護体制加算(Ⅰ)または(Ⅲ)イもしくはロを算定しており、かつ短期入所生活介護事業所の看護職員により、または病院や診療所、訪問看護ステーションもしくは本体施設の看護職員との連携により24時間連絡できる体制を整えている
  3. 管理者を中心とし、介護職員や看護職員、介護支援専門員などによる協議のうえ、「看取り期における対応方針」が定められている
  4. 看取り期の利用者に対するケアカンファレンス、看取り期における対応の実践を振り返るなど、看取り期における対応方針の内容とその他看取り期におけるサービス提供体制について、適宜見直しを行うこと
  5. 短期入所生活介護事業所などから医療機関へ入院した月と死亡した月が異なる場合でも算定可能であるが、看取り連携体制加算は死亡月にまとめて算定を行うため、利用者にとっては短期入所生活介護を終了した翌月についても自己負担を請求されることになる。そのため利用者が入院する際に入院した翌月に亡くなった場合、前月分の看取り連携体制加算にかかる一部負担の請求を行う場合があることを説明し、文書にて同意を得ること
  6. 事業所が入院する医療機関などに利用者の状況を尋ねた時、当該医療機関が事業所に対して本人の状況を説明することについて、入院の際に本人もしくは家族に説明をし、文書にて同意を得ていること
  7. 看取りを行う際には個室もしくは静養室を利用するなど、プライバシーの確保及び家族などへの配慮を十分に留意すること
  8. 厚生労働省の「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」などを参考にし、本人の意思を尊重した医療やケアの方針が実施できるように、多職種が連携し、本人や家族に対して必要な情報の共有に努めること
  9. 看取り期における対応方針を定め、利用開始の際に利用者またはその家族に対し当該対応方針の内容を説明し、同意を得ていること

ここであげたことに該当することで、看取り連携体制加算の算定が可能となります。

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小規模多機能型居宅介護における看取り連携体制加算の算定要件

次にあげる項目に該当することで、看取り連携体制加算要件を満たします。

  • 看護師により24時間連絡できる体制を整えていること
  • 看取り期における対応方針を定めていること
  • 利用者や家族に内容を説明し、同意を得ていること

看取り介護に関するこれからの課題

看取り介護に関しては、職員の心のケアなど抱えている問題があります。ここでは特に大きな問題となっていることを2つみていきましょう。

職員の心のケア

看取りをすることで精神的なダメージを受けるのは家族だけではありません。身近な家族の死に直面したことのない職員にとって、自分の知っている人の死に直面することで精神的に大きなダメージを受けることになります。

そのため家族だけではなく職員に対しても、看取りに関する心構えや看取りを終えた後の心のケアを十分に行うことを考慮しておく必要があります。

介護現場での人材確保

介護現場における職員の確保は重大な問題となっています。精神的にも肉体的にも大きな苦痛を伴う介護職員は、人材確保が急務ですが決して容易なことではありません。日頃から看取りについて研修を実施し、介護の質を高めることが人材不足を補える要となるでしょう。

看取り連携体制加算についてのよくある質問

看取り連携体制加算には多くの疑問があるため、質問も多く寄せられます。ここでは主な質問をいくつか紹介していきましょう。

看取り期における対応方針の協議には医師も含まれる?

医師の意見も含まれます。

看取り期における対応方針を定める「協議」とは?

看取り期における対応方針の「協議」について、必ずしもカンファレンスなどの会議の場で行われる必要はありません。通常の業務中に主治医や看護師、介護支援専門員などの意見を把握し、これに基づいて対応方針の策定が行われている場合、本加算の算定要件を満たすことになります。

同一利用者が同一時間帯に訪問入浴介護と訪問看護を利用できる?

利用者が同一時間帯に利用できる訪問サービスは一つであると原則で定められています。しかし例外もあります。例えば家庭の浴槽で全身入浴の介助をする場合などは訪問介護と訪問看護、または訪問介護と訪問リハビリテーションを同一利用者が同一時間帯に利用する場合、利用者の状況や介護に応じて利用する時間帯が同じでもサービスが必要と判断された場合、それぞれのサービスについてそれぞれの所定単位数が加算されます。

看取り期の利用者本人またはその家族に対する随時の説明とは?

看取り期における対応に基づき、利用者の状態や家族の求めに応じ、介護職員や看護職員などから介護記録などの利用者の記録を活用することで行われるサービスについての説明のことを指します。

適宜利用者等に理解しやすい資料を作成し代替するとは具体的に何?

質の高い看取り介護をするためには、多職種連携により利用者などに対し十分な説明をし、理解を得ることが重要です。このため利用者本人もしくはその家族に介護記録などの開示もしくは写しの提供を行うことで、利用者やその家族の理解を支援する目的で、補完的に理解しやすい書類を作成し、これを用いて説明することが可能です。なおその際に介護記録などの開示を求められた場合は提供することが必要となります。

看取り連携体制加算の取得に役立つICTツールは何?

看取り連携体制加算の取得におすすめなICTツールは介護ソフトです。複雑な算定要件や計算式であったとしても、簡単な操作で請求データの作成やエラーチェックが可能となります。

しかし介護ソフトにより操作など異なるため、取り入れるソフトの選定は重要です。そのため、現在取り入れているソフトであったとしても操作などで不満がある時は、見直しすることをおすすめします。

まとめ:看取り連携体制加算の算定要件を確認し利用しよう

看取り連携体制加算の算定要件は難しいものがあり、実際に取り入れている施設が少ないことが現状です。しかし、加算を取り入れることで今以上の質の良いサービスを利用者に提供できます。

算定要件を満たせそうな場合は、積極的に加算を取り入れ、今以上に質の良いサービスを提供できるように努めていきましょう。

お役立ち資料:加算取得を目指す方へ

訪問介護の事業者向けに、各種加算と減算の要件や、優先的に取得するべき加算などについて、わかりやすくまとめました。
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