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【2024年改定対応】退院支援指導加算の概要と算定要件について徹底解説!

2024-06-19

元山 ゆず香

監修者

介護福祉士

元山 ゆず香

大学を卒業後、特別養護老人ホームにて現場業務に従事。その後、福祉系大手企業に入社し、エリアマネージャーとして、施設介護事業・居宅介護事業・障害福祉サービス事業でのエリアマネジメント・行政対応を経験。また、法人本部に異動し教育部門・監査担当部門の部長を歴任。現在は全国の介護・障害福祉事業所の支援やセミナーの開催、DXO株式会社での介護関連事業の支援などを実施。

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退院支援指導加算は、訪問看護ステーションが医療機関の退院日に利用者や家族へ療養上必要な指導を行うことで算定できる医療保険上の加算です。算定対象者に該当し、さまざまな算定要件を満たすことによって算定できます。

しかし、「退院支援指導加算の算定対象者や算定要件をくわしく知りたい」「算定する場合、注意すべきポイントはあるのか?」と疑問に思う訪問看護ステーションも多いのではないでしょうか。

今回は、退院支援指導加算の概要や算定要件を中心に、退院時共同支援加算との違いなどもあわせて解説します。これから退院支援指導加算の算定を検討している訪問看護ステーションの担当者は、ぜひ参考にしてください。

退院支援指導加算とは?

退院支援指導加算とは、訪問看護ステーションが医療機関の退院日に、利用者や家族へ在宅での療養上必要な指導を行うことで算定できる加算です。退院日当日は入院期間として扱うため、訪問看護療養費を算定できません。そのため、退院日の翌日以降で初回の訪問看護を利用した際の訪問看護管理療養費に合わせて算定できます。

退院支援指導加算の算定額は?

退院支援指導加算の基本的な算定額は以下のとおりです。

算定回数算定額
1回につき6,000円

令和4年度の報酬改定で、長時間の訪問を要する人に90分以上の訪問を行った場合、以下の算定額が設定されました。

算定回数算定額
1回につき8,400円

しかし、算定できる対象者が決まっており、以下のようになります。

【長時間の訪問の要する者】

  • 15歳未満の超重症児または準超重症児共
  • 特別管理加算の対象者
  • 特別訪問看護指示書に係る訪問看護を受けている者

そのため、退院支援指導加算を算定する際は、訪問時間や対象者に注意しましょう。

退院支援指導加算の算定対象者は?

退院支援指導加算の算定対象者は以下のとおりです。

【算定対象者】

  • 病院・診療所・介護老人保健施設・介護医療院から退院・退所する人
  • 厚生労働大臣が定める疾病等の者 
  • 特別管理加算の対象者 
  • 退院日の訪問看護が必要であると認められた者

また、長時間の訪問を要する者で90分以上の訪問を行った場合の算定対象者は以下のとおりです。

【長時間の訪問を要する者で90分以上の訪問を行った場合の算定対象者】

  • 15歳未満の超重症児または準超重症児共
  • 特別管理加算の対象者
  • 特別訪問看護指示書に係る訪問看護を受けている者

上記の対象者に該当し、退院指導支援を行った場合は加算を算定できます。ちなみに、厚生労働大臣が定める疾病等の者とは、以下の疾病にかかっている人を指します。

【厚生労働大臣が定める疾病等の者】

  • 末期の悪性腫瘍
  • 多発性硬化症
  • 重症筋無力症
  • スモン
  • 筋萎縮性側索硬化症
  • 脊髄小脳変性症
  • ハンチントン病
  • 進行性筋ジストロフィー症
  • パーキンソン病関連疾患
    (進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症及びパーキンソン病(ホーエン・ヤールの重症度分類がステージ3以上であって、生活機能障害度がⅡ度又はⅢ度のものに限る)
  • 多系統萎縮症
    (線条体黒質変性症・オリーブ矯小脳萎縮症及びシャイ・ドレーガー症候群)
  • プリオン病
  • 亜急性硬化性全脳炎
  • ライソーゾーム病
  • 副腎白質ジストロフィー
  • 脊髄性筋委縮症
  • 球脊髄性筋委縮症
  • 慢性炎症性脱髄性多発神経炎
  • 後天性免疫不全症候群
  • 頸髄損傷
  • 人工呼吸器を使用している状態

また、特別管理加算の対象者は以下のとおりです。

【特別管理加算の対象者】

  • 在宅悪性腫瘍等患者指導管理を受けている状態
  • 在宅気管切開患者指導管理を受けている状態
  • 気管カニューレを使用している状態
  • 留置カテーテルを使用している状態
  • 在宅自己腹膜灌流指導管理
  • 在宅血液透析指導管理
  • 在宅酸素療法指導管理
  • 在宅中心静脈栄養法指導管理
  • 在宅成分栄養経管栄養指導管理
  • 在宅自己導尿指導管理
  • 在宅人工呼吸指導管理
  • 在宅持続陽圧呼吸療法指導管理
  • 在宅自己疼痛管理指導管理
  • 在宅肺高血圧症患者指導管理を受けている状態
  • 人工肛門又は人工膀胱を留置している状態
  • 真皮を越える褥瘡の状態
    (MPUAP分類Ⅲ度またはⅣ度、DESIGN分類D3、D4、D5)
  • 在宅患者訪問点滴注射管理指導料を算定している
  • 新型コロナウイルス感染症のご利用者(感染が疑われる者を含む)に対する訪問看護を実施する場合

退院支援指導加算を算定する際は、必ず算定対象者に該当するか確認しましょう。

退院支援指導加算を算定における注意点は?

退院支援指導加算を算定する際、以下の3つの注意点があります。

【退院支援指導加算を算定する際の注意点】

  • 1人の利用者につき、1つの訪問看護ステーションだけが算定できる
  • 准看護師の場合は算定できない
  • 退院時に訪問看護指示書の交付を受けている

上記3つは退院支援指導加算の算定要件に含まれるため、算定する際は注意しましょう。

退院支援指導加算の算定要件は?

退院支援指導加算の基本的な算定要件は4つあります。

本章では退院支援指導加算の算定要件と算定可能なポイントについて解説します。

退院支援指導加算の算定要件

退院支援指導加算の基本的な算定要件は、以下のとおりです。

【退院支援指導加算の基本的な算定要件】

  • 准看護師以外の看護師が退院支援指導を担当する
  • 退院日に在宅で療養上必要な指導を行っている
  • 退院時に訪問看護指示書の交付を受けている
  • 退院支援指導の内容を訪問看護記録書に記録する

退院支援指導加算を算定するためには、上記4つの算定要件を満たすことが必要となります。算定する際は必ず算定要件に沿って退院支援指導を行うようにしましょう。

退院支援指導加算の算定ポイントは?

退院支援指導加算の算定ポイントは、以下のとおりです。

【退院支援指導加算の算定ポイント】

  • 訪問看護ステーションと特別の関係にある医療機関から退院した場合は算定できる
  • 主治医が退院後に訪問看護指示書を交付した場合でも、退院支援指導を行う前に交付されていれば算定できる
  • 月末の退院日に退院支援指導を行い、訪問看護の初回利用が翌月の場合でも算定できる
  • 利用者が退院日の翌日以降、初日の訪問看護利用日に死去または再入院した場合、死去または再入院した日に加算を算定できる

上記のように、イレギュラーなケースにおいても算定できるように定められています。そのため、算定ポイントを参考にしつつ、イレギュラーなケースにおいて算定可能か確認しましょう。

「退院支援指導加算」と「退院時共同支援加算」の違いは?

退院時共同支援加算は、医療機関や介護施設と訪問看護ステーションが連携し、在宅における療養に必要な指導を連携しながら行った場合に算定できる加算です。退院支援指導加算と似たような性質を持っているため、同じように扱われやすい加算でもあります。

しかし、対象の保険の種類や算定額など大きく違いがあります。本章では退院支援指導加算と退院時共同支援加算の違いについて解説します。

退院時共同支援加算とは?

退院時共同支援加算とは、医療機関や介護施設の医師などの専門職と訪問看護ステーションの看護師などが連携し、退院(退所)後の在宅生活における療養に必要な指導を行った場合に算定できる加算です。

退院時共同支援加算は医療保険・介護保険において算定可能であり、退院・退所につき1回のみ算定できます。しかし、以下の対象者に該当する場合、退院時共同支援加算を2回算定できます。

【退院時共同支援加算を2回算定できる対象者】

  • 医療保険 基準告示第2の1に規定する疾病等の者・特別管理加算の対象者
  • 介護保険 特別管理加算の対象者

そして、退院時共同支援加算の算定額は以下のとおりです。

【退院時共同支援加算の算定額】

  • 医療保険 8,000円
  • 介護保険 600単位

ちなみに、医療保険の特別管理加算の対象者に必要な支援・指導を行った場合、上記の金額に合わせて特別管理指導加算である2,000円を上乗せして算定できます。

退院支援指導加算との違いは?

退院時共同支援加算と退院支援指導加算との違いは、以下のとおりです。

退院時共同支援加算退院支援指導加算
保険の種類
  • 医療保険
  • 介護保険
  • 医療保険のみ
算定可能なタイミング「退院前」に支援・指導することで算定可能「退院日」に指導することで算定可能
算定額
  • 医療保険:8,000円
  • 介護保険:600単位
  • 6,000円
    (長時間の場合は8,400円)
算定の頻度
  • 退院・退所につき月1回
    (医療保険・特別管理加算対象者は月2回)
  • 1回につき

退院時共同支援加算と退院支援加算は、お互いに退院支援に関する加算のため、同じように扱われやすいです。

退院支援指導加算についてのよくある質問

退院支援指導加算を算定する際、ケースによっては算定できるのか判断に迷うこともありますよね。本章では4つのケースを基に、退院支援指導加算の算定に関する可否をQ&A形式で解説します。

退院したものの、その後初回介入することなくお亡くなりになった場合の算定は?

退院日に退院支援指導を実施したが、初回介入することなく利用者が死去した場合、算定できる可能性があります。ある都道府県では、同様のケースの場合、死去した日に退院支援指導加算の算定を認めています。

しかし、保険者である各都道府県・市区町村によって判断が異なる場合があるため、このようなケースで算定する場合、確認をとるようにしましょう。

利用者の退院時に特別訪問看護指示書が交付され、退院日に訪問する予定の場合、退院支援指導加算は算定できる?

介護保険利用者が退院時に特別訪問看護指示書が交付され、退院日に訪問する場合、退院支援指導加算は算定可能です。介護保険利用者の場合、退院時に特別訪問看護指示書が交付されることで、医療保険による訪問看護に切り替わります。

そして、退院日に療養上の退院支援指導が必要な利用者で、次のいずれかに該当する場合は退院支援指導加算の算定を認めています。

  • 特掲診療料の施設基準等別表第七に掲げる疾病等の者
  • 特掲診療料の施設基準等別表第八に掲げる者
  • 退院日の訪問看護が必要であると認められた者

末期の悪性腫瘍利用者が、訪問看護ステーションと特別な関係にある医療機関より退院となり、退院日に訪問する場合、退院支援指導加算は算定できる?

こちらのケースも退院支援指導加算の算定が可能です。末期の悪性腫瘍で退院日に訪問する場合、以下の厚生労働大臣が定める退院支援指導を要する者に該当します。

  • 特掲診療料の施設基準等別表第七に掲げる疾病等の者
  • 特掲診療料の施設基準等別表第八に掲げる者
  • 退院日の訪問看護が必要であると認められた者

精神科訪問看護指示書が交付された利用者は、退院支援指導加算を算定できる?

精神科訪問看護指示書が交付された利用者の退院支援指導を行った場合、退院支援指導加算の算定は可能です。こちらも、厚生労働大臣が定める退院支援指導を要する者に該当する場合、算定が認められます。

  • 特掲診療料の施設基準等別表第七に掲げる疾病等の者
  • 特掲診療料の施設基準等別表第八に掲げる者
  • 退院日の訪問看護が必要であると認められた者

まとめ

今回は退院支援指導加算の概要や算定要件を中心に解説しました。

退院支援指導を加算するためには、算定対象者に該当し、算定要件を満たす場合に算定できます。

しかし、算定可能か判断に迷うようなイレギュラーなケースもあるため、算定における注意点やポイント・Q&Aを参考にしつつ、保険者である各都道府県・市区町村にも相談するようにしましょう。

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