選択的サービス複数実施加算は、運動器機能・栄養・口腔機能を向上させる複数のサービスを提供することで算定できる加算項目です。そんな加算項目ですが、2024年度の介護報酬改定で選択的サービス複数実施加算は廃止となり、一体的サービス加算へ変更されることとなりました。
今回は、選択的サービス複数実施加算とは何か、算定要件から一体的サービス加算へ変更されることにより、どのような変更点が生じるかまで紹介します。今回の記事を読むことで、選択的サービス複数実施加算・一体的サービス加算の両方の内容を詳しく知ることができるはずです。ぜひ最後までお読みください。
目次
選択的サービス複数実施加算は、運動器機能・栄養・口腔機能を向上させる複数のサービスを提供することで算定できる加算で、2012年度の介護報酬改定時に創設されました。
この加算は、介護予防通所介護(総合事業通所型サービス)・通所リハビリテーションの事業所に対して、選択的サービスの実施頻度の向上を目指すのが狙いですが、総合事業の独自サービス・緩和した基準の通所型サービスでは対象外の場合もあります。
なお、選択的サービスは下記の3つの内容です。
しかし、今回の介護報酬改定で選択的サービス複数実施加算は廃止され、一体的サービス提供加算に変更となることが決まりました。
先程もお伝えしたように、2012年度以降に創設された選択的サービス複数実施加算ですが、2024年度の介護報酬改定で厚生労働省は下記のように発表しています。
予防通所リハビリテーションにおける身体機能評価を更に推進するとともに、報酬体系の簡素化を行う観点から、以下の見直しを行う。
ア.運動器機能向上加算を廃止し、基本報酬への包括化を行う
イ.運動器機能向上加算・栄養改善加算・口腔機能向上加算のうち、複数の加算を組み合わせて算定していることを評価する選択的サービス複数実施加算について見直しを行う
上記の内容から、選択的サービス複数実施加算は、2024年6月以降「一体的サービス提供加算」へ変更となることが決まりました。
選択的サービス複数実施加算を算定できる介護サービスは「介護予防通所リハビリテーション」のみになっています。また、選択的サービス複数実施加算は(Ⅰ)(Ⅱ)に分類されますが、それぞれの単位数は下記です。
加算の種類 | 単位数 |
選択的サービス複数実施加算(Ⅰ) | 480単位/月 |
選択的サービス複数実施加算(Ⅱ) | 700単位/月 |
続いて算定要件は下記のように厚生労働省が発表しています。
- 利用者が介護予防通所介護又は介護予防通所リハビリテーションの提供を受ける日に必ずいずれかの選択的サービスを実施していること
- 1月につき、いずれかの選択的サービスを複数回実施していること
- なお、選択的サービス複数実施加算(Ⅰ)については、選択的サービスのうち2種類、選択的サービス複数実施加算(Ⅱ)については、3種類実施した場合に算定する
2024年6月から適用される一体的サービス提供加算ですが、下記の単位数と変更されました。
現行 | 改定後 |
運動器機能向上加算:225単位/月 | 廃止(基本報酬に包括化) |
選択的サービス複数実施加算Ⅰ:480単位 | 廃止(栄養改善加算、口腔機能向上加算で評価) |
選択的サービス複数実施加算Ⅱ:700単位 | 一体的サービス提供加算:480単位/月(新設) |
また、算定要件は下記のように厚生労働省は発表しています。
以下の要件を全て満たす場合、一体的サービス提供加算を算定する。
- 栄養改善サービス及び口腔機能向上サービスを実施していること
- 利用者が介護予防通所リハビリテーションの提供を受けた日において、当該利用者に対し、栄養改善サービス又は口腔機能向上サービスのうちいずれかのサービスを行う日を1月につき2回以上設けていること
- 栄養改善加算、口腔機能向上加算を算定していないこと
選択的サービス複数実施加算は、運動器機能・栄養・口腔機能を向上させる複数のサービスを提供することで算定できる加算でしたが、2024年度の介護報酬改定で一体的サービス加算へ変更されます。
そのため、今まで選択的サービス複数実施加算を取得していた事業所も今回の記事を参考に一度算定要件の確認をおこない、算定の有無を検討しましょう。