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特別管理加算とは?

訪問看護の特別管理加算とは?介護・医療保険の算定要件と注意点を詳しく解説!

2024-03-06

元山 ゆず香

監修者

介護福祉士

元山 ゆず香

大学を卒業後、特別養護老人ホームにて現場業務に従事。その後、福祉系大手企業に入社し、エリアマネージャーとして、施設介護事業・居宅介護事業・障害福祉サービス事業でのエリアマネジメント・行政対応を経験。また、法人本部に異動し教育部門・監査担当部門の部長を歴任。現在は全国の介護・障害福祉事業所の支援やセミナーの開催、DXO株式会社での介護関連事業の支援などを実施。

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訪問看護サービス事業者が収益力をつける手段の一つに特別管理加算があります。従業員の待遇改善にも役立つ制度ですが、要件適用には細かくルールが定められており、馴染みのない方にとっては非常に煩雑な内容に感じるかもしれません。そこで本記事では、特別管理加算取得を検討する事業者向けに制度の内容や申請時の必要事項、注意点について解説します。

目次

特別管理加算とは?

特別管理加算とは、医療依存度の高い持病者に特別な管理計画を提供する事業者に対して、月1回の報酬加算を行う仕組みのことです。サービス形態によって要件が変わるほか、区分も複数に分かれるため、詳しく確認しておきましょう。

特別管理加算は介護保険と医療保険どちらにもある

特別管理加算は、訪問看護サービスを受ける利用者が介護または医療、どちらのケアを受ける場合もあることから介護保険と医療保険、どちらにもあります。

特別管理加算Ⅰ・特別管理加算Ⅱの2種類ある

特別管理加算は、利用者の処置の難しさに応じて「特別管理加算Ⅰ」と「特別管理加算Ⅱ」の2種類の評価に分かれます。次の章で詳しく説明していますが、特別管理加算Ⅰ・特別管理加算Ⅱではそれぞれ加算額が異なります。

介護(予防)保険の特別管理加算の単位数や算定要件は?

介護(予防)保険について、特別管理加算が適用された場合の単位数と算定に必要な要件について説明します。

【介護(予防)保険】特別管理加算の単位数は?

介護(予防)保険における特別管理加算の単位数は以下の通りです。

特別管理加算の種類単位数
特別管理加算Ⅰ500
特別管理加算Ⅱ200

※単位数は1ヵ月あたり

【介護(予防)保険】特別管理加算の対象者は?

介護(予防)保険における特別管理加算の対象者は加算区分ごとに以下の通りです。

特別管理加算Ⅰの対象者

特別管理加算Ⅰの対象者は以下のいずれかに該当する方になります。

  • 在宅悪性腫瘍患者指導管理を受けている
  • 在宅気管切開患者指導管理を受けている
  • 気管カニューレを使用している
  • 留置カテーテルを使用している

特別管理加算Ⅱの対象者

特別管理加算Ⅱの対象者は以下のいずれかに該当する方になります。

  • 下記指導管理を受けている
    • 在宅自己腹膜灌流
    • 在宅血液透析
    • 在宅酸素療法
    • 在宅中心静脈栄養法
    • 在宅成分栄養経管栄養
    • 在宅自己導尿
    • 在宅持続陽圧呼吸療法
    • 在宅自己疼痛管理
  • 在宅肺高血圧症患者指導管理を受けている状態、人工肛門又は人工膀胱を留置している状態
  • 人工肛門又は人工膀胱を留置している状態
  • 真皮を超える褥瘡の状態
  • 点滴注射を週3日以上行う必要があると認められる状態

【介護(予防)保険】特別管理加算の算定要件

介護(予防)保険の特別管理加算の算定要件は以下の3つです。

  • 利用者が特別管理加算Ⅰ・特別管理加算Ⅱに該当するだけでは適用されません
  • 利用者が特別管理加算Ⅰ・特別管理加算Ⅱの状態であることに加えて、計画的な管理(ケア)を行っていること
  • 絶対条件として24時間対応体制加算・24時間連絡体制加算を算定できる体制であること

【介護(予防)保険】特別管理加算の注意点

介護保険の特別管理加算では主に3つの注意点があります。また介護保険、介護予防保険では内容が異なる点もあるのであわせて確認してください。

  • 特別管理加算Ⅰ・特別管理加算Ⅱはどちらかのみ適用されます
  • 介護保険の場合、利用者に対し複数の事業所が関与している場合適用事業については事業所間にて協議が必要です
  • 介護保険の場合、訪問看護の特別管理加算は、定期巡回・随時対応型訪問介護看護や看護小規模多機能型居宅介護の特別管理加算、医療保険における訪問看護の特別管理加算と同じ月に算定はできません
  • 介護予防保険の場合、介護予防訪問看護の特別管理加算は、医療保険における訪問看護の特別管理加算と同じ月に算定はできません。

医療保険の特別管理加算の算定料や算定要件は?

医療保険について、特別管理加算が適用された場合の単位数と算定に必要な要件について説明します。

【医療保険】特別管理加算の算定料は?

特別管理加算の算定料は以下の通りです。

特別管理加算の種類算定料
特別管理加算Ⅰ2,500円
特別管理加算Ⅱ5,000円

※算定料は1カ月あたり

【医療保険】特別管理加算の対象者は?

介護(予防)保険における特別管理加算の対象者は加算区分ごとに以下の通りです。

特別管理加算Ⅰの対象者(特別な管理を必要とする利用者)

特別管理加算Ⅰの対象者は以下のいずれかに該当する方になります。

  • 在宅悪性腫瘍患者指導管理を受けている
  • 在宅気管切開患者指導管理を受けている
  • 気管カニューレを使用している
  • 留置カテーテルを使用している

特別管理加算Ⅱの対象者(重症度等の高い場合)

特別管理加算Ⅱの対象者は以下のいずれかに該当する方になります。

  • 下記指導管理を受けている
    • 在宅自己腹膜灌流
    • 在宅血液透析
    • 在宅酸素療法
    • 在宅中心静脈栄養法
    • 在宅成分栄養経管栄養
    • 在宅自己導尿
    • 在宅持続陽圧呼吸療法
    • 在宅自己疼痛管理
  • 在宅肺高血圧症患者指導管理を受けている状態、人工肛門または人工膀胱を留置している状態
  • 人工肛門又は人工膀胱を留置している状態
  • 真皮を超える褥瘡の状態
  • 点滴注射を週3日以上行う必要があると認められる状態

【医療保険】特別管理加算の算定要件

医療保険の特別管理加算の算定には以下3つの要件をクリアしていなければなりません。

  • 加算を算定できる体制を24時間整えていること
  • 当該加算に対応する勤務体制、スタッフ体制を整えていること
  • 医療器具の管理、病状変化に対応するために医療機関と連携体制が構築されていること

【医療保険】特別管理加算の注意点

医療保険の特別管理加算では以下の点に注意しましょう。

  • 医療保険の場合、利用者に対し複数のステーションが関与していても全ての事業者にて適用可能
  • 特別管理加算Ⅰ・特別管理加算Ⅱはどちらかのみ適用される
  • どちらの状態も抱えている場合は特別管理加算Ⅰが優先的に適応される

特別管理加算を算定する際の必要事項・その他の注意点

実際に特別管理加算の算定を進めるにあたり以下の項目が必要です。

特別管理加算の算定には届出書が必要

特別管理加算の算定には「緊急時訪問看護加算・特別管理体制・ターミナルケア体制に関わる届出書」が必要です。書類は厚生労働省のWebサイトにフォーマットがあります。必要項目を記載し地方厚生局宛に提出しましょう。

特別管理加算の算定に関するその他の注意点

特別管理加算では以下の点にも注意しましょう。

加算算定における注意点

特別管理加算では介護保険と医療保険の同時適用は認められません。

利用者の記録における注意点

利用者の記録における注意点は厚生労働省より提供されている情報を基に下記2点に気をつけましょう。

  • 「真皮を越える褥瘡」の利用者には、1週間に1回以上、褥瘡の状態の観察・アセスメント・評価を行い、褥瘡の発生部位と実施したケアを訪問看護記録書に記録すること
    記録における具体的な様式は定められていません)
  • 「在宅患者訪問点滴注射管理指導料の算定」の利用者においては、点滴注射が終了した場合、その他必要な場合、主治医に速やかに利用者の状態を報告し、訪問看護記録に在宅患者訪問点滴注射指示書を添付し、点滴注射の実施内容を記録に残すこと

特別管理加算に関するよくある質問

ドレーンチューブを使用している場合は、特別管理加算は算定できない?

ドレーンチューブを計画的な管理の下で使用している場合のみ算定できます。言い換えるとドレーンチューブを一時的な処置のみで使っている場合は特別管理加算は算定されません。

経皮経肝胆管ドレナージチューブなど留置されているドレーンチューブについては、留置カテーテルと同様に計画的な管理を行っている場合は算定できる。ただし、処置等のため短時間、一時的に挿入されたドレーンチューブについては算定できない。なお、定期巡回・随時対応型訪問介護看護及び複合型サービスの特別管理加算についても同様の取扱いとなる。

引用:WAM NET「平成24年度介護報酬改定に関する関係 Q&A(平成24年3月16日)について

留置カテーテルが挿入されている状態であれば、特別管理加算は算定できる?

留置カテーテルを計画的に管理している場合は算定できます。単に挿入されているだけでは計画的な管理とは言えず算定基準を満たしません。排液の性状、量などの観察、薬剤の注入、水分バランスの計測などを実施していることが計画的管理とみなされます。

留置カテーテルからの排液の性状、量などの観察、薬剤の注入、水分バランスの計測等、計画的な管理を行っている場合は算定できるが、単に留置カテーテルが挿入されているだけでは算定できない。また、輸液用のポート等が挿入されている場合であっても、訪問看護において一度もポートを用いた薬剤の注入を行っていない場合は、計画的な管理が十分に行われていないため算定できない。なお、定期巡回・随時対応型訪問介護看護及び複合型サービスの特別管理加算についても同様の取扱いとなる。

引用:WAM NET「平成24年度介護報酬改定に関する関係 Q&A(平成24年3月16日)について

経管栄養や中心静脈栄養をおこなっている利用者は、特別管理加算ⅠとⅡどちらを算定できる?

経管栄養や中心静脈栄養の状態の場合は、特別管理加算(Ⅰ)を算定します。

経管栄養や中心静脈栄養の状態にある利用者は留置カテーテルを使用している状態にある者であるため、特別管理加算(Ⅰ)を算定する。

引用:WAM NET「平成24年度介護報酬改定に関するQ&A(vol.3)(平成24年4月25日)について

介護(予防)保険特別管理加算の「点滴注射を週3日以上行う必要があると認められる状態」に対する質問

医師の指示は、在宅患者訪問点滴注射指示書である必要ある?

必ずしも在宅患者訪問点滴注射指示書である必要はありません。そのほかの様式でも医師の指示であることが分かる形であれば有効です。

在宅患者訪問点滴注射指示書である必要はなく、医師の指示があることがわかれば通常の訪問看護指示書その他の様式であっても差し支えない。ただし、点滴注射の指示については7日毎に指示を受ける必要がある。

引用:WAM NET「平成24年度介護報酬改定に関する関係 Q&A(平成24年3月16日)について

週や月をまたがって週3日の要件を満たす場合は、加算算定をどのように取り扱うべき?

点滴注射を7日間の医師の指示期間に3日以上実施していれば算定可能です。

点滴注射を7日間の医師の指示期間に3日以上実施していれば算定可能である。
例えば4月28日(土曜日)から5月4日(金曜日)までの7日間点滴を実施する指示が出た場合(指示期間)は、算定要件を満たす3日目の点滴を実施した4月に特別管理加算を算定する。加算は医師の指示期間につき1回算定できるが、月をまたいだ場合でも、4月、5月それぞれ3回以上点滴を実施しても両月で特別管理加算を算定することはできない。なお、上記の場合、5月中に再度点滴注射の指示があり要件を満たす場合は、5月も算定可能となる。

引用:WAM NET「平成24年度介護報酬改定に関するQ&A(vol.2)(平成24年3月30日)について

理学療法士等による訪問看護のみを利用している利用者は、特別管理加算を算定できる?

理学療法士による訪問看護は、国が定めるところの「計画的な管理」に該当しないため特別管理加算として算定できません。

まとめ|介護保険と医療保険での特別管理加算の違いを確認して算定しよう

特別管理加算は介護保険と医療保険のそれぞれあり、その両方で算定要件が異なります。要件の違いを理解したうえで、管理を行っている利用者がどちらの算定に該当するのか十分に把握し、適切な算定をおこないましょう。

お役立ち資料:加算取得を目指す方へ

訪問介護の事業者向けに、各種加算と減算の要件や、優先的に取得するべき加算などについて、わかりやすくまとめました。
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