本記事では、特定事業所加算の体制要件のうち「文書等による指示及びサービス提供後の報告」について、詳しく解説します。
目次
この要件は、サービス提供責任者と訪問介護員の間の情報連携について評価する項目です。
〇サービス提供責任者が訪問介護員等に対して文書等による指示を行い、サービス提供終了後、担当する訪問介護員等から適宜報告を受けること
〇サービス提供に当たっては、そのつどサービス提供責任者が当該利用者を担当する訪問介護員等に対し、当該利用者に関する情報やサービス提供に当たっての留意事項を文書等の確実な方法により伝達を行うこと
〇伝達の内容は、少なくとも以下の事項について、その変化の動向を含めて記載(伝達)していること。
① 利用者のADLや意欲
② 利用者の主な訴えやサービス提供時の特段の要望
③ 家族を含む環境
④ 前回のサービス提供時の状況
⑤ その他サービス提供に当たって必要な事項
※④は毎回必ず記載(伝達)すること(注;伝達内容が毎回「特変なし(特に変化なし)」等となっているような場合は、実質的には伝達(指示)を行っていないものとして返還(過誤)対象となる場合があります。(④以外の事項は、初回および変化があった場合のみ記載することで可)
ほとんどの事業所で直行直帰となっている訪問介護員と、自らがサービス提供を行うこともあるサービス提供責任者が、それぞれ多忙を極める中で、サービスの都度連携を図ることは容易ではなく、多くの事業所様が苦労されています。
指示はサービス提供前に出し、報告はサービス提供後に受ける必要があります。
報告をもとに、少なくとも『前回提供時の様子』は毎サービスごとに伝達する必要があることから、原則、報告を受けるタイミングはサービス提供後速やかに受けることが必要です。
具体的には、FAX、メール、システム等を指します。
実地指導等では、サービス提供前に指示を出したことを示さないといけませんので、
指示を出した日時、指示者等明確にしておく必要があります。
システムと呼ばれる中には、これらが示せない場合があるものもありますので、注意をしてください。
※DXO株式会社が提供する「プロサポ」では、これらを網羅しています。
詳しくは以下をご参照ください。
厚労省発のQAで、『サービス提供責任者が公休の場合や勤務時間外の場合等に限り、文書等による事前の指示を一括で行い、サービス提供後の報告を適宜まとめて受けることも可能である。』とされています。
この場合、実地指導等で実際に公休であったか等の確認がある可能性があります。
サービス提供前に指示を出し、サービス提供後に報告を受けるという流れがあることから、『タイムラグ』が発生する可能性があります。
また、都度指示を出した時間、報告を受けた時間の記録を行う必要がありますので、それだけでも人件費や交通費がかさんでしまうことが懸念されます。
実際に指示、報告のやり取りをした記録が確認される場合があります。
サービス提供前に指示が出されているか、前回提供時の状況は最低限入っているか、報告に特変があるのに指示が適切に出ていない等の整合性が取れないといった矛盾はないか等が確認のポイントです。
特定事業所加算の運用にあたって、多くの事業所様の頭を悩ませているのが『指示(伝達)・報告』の項目です。
加算を取得できたとしても、運用を継続できなければ、返還請求されることも少なくありません。
自前で運用が可能であれば問題ありませんが、万が一難しいようであれば、代行会社に依頼するのも一つの手です。