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看護体制加算とは?サービス別の単位数や算定要件など徹底解説!

元山 ゆず香

監修者

介護福祉士

元山 ゆず香

大学を卒業後、特別養護老人ホームにて現場業務に従事。その後、福祉系大手企業に入社し、エリアマネージャーとして、施設介護事業・居宅介護事業・障害福祉サービス事業でのエリアマネジメント・行政対応を経験。また、法人本部に異動し教育部門・監査担当部門の部長を歴任。現在は全国の介護・障害福祉事業所の支援やセミナーの開催、DXO株式会社での介護関連事業の支援などを実施。

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今後、国内においては病院以外の医療・看取りなどが増えると予測されますが、そのために、今後は看護師をより手厚く配置する必要があることもあり、看護体制加算が新設されました。

今回の記事では、看護体制加算とはなにか、看護体制加算の介護サービス別単位数、介護体制加算の算定要件などについて詳しく解説します。

加算について

介護体制加算について知る前に、加算とは何か、加算一覧などについて詳しく知りたい方は、こちらの記事を参考にしてください。

【実例付き】介護における加算・減算とは?要件や提出方法を徹底解説!

看護体制加算とは

看護体制加算とは、特別養護老人ホームなどの入所者重度化に対して必要となる、医療・看取り介護に対応し、死を迎えるまで生活する住まいである「終の棲家」としての役割を担うために看護職員を手厚く配置している事業所を評価する加算です。

病院以外で医療を充実させる目的として、大きな理由は「2025年問題」があります。

2025年問題とは、1947年〜1949年までの間に出生した、「団塊の世代」の方が75歳を迎えることにより、75歳以上の人口が急増することに伴う、医療・介護費の増大、介護者不足などがあります。

厚生労働省によると、2025年には65歳以上の人口が3,500万人を超えた結果、国民の3人に1人が65歳以上、5人に1人が75歳以上になると予想されています。

参考:厚生労働省

 

2025年問題対策の1つとして、地域包括ケアシステムがあります。

このシステムは、高齢者の方でも、可能な限り人生の最期まで住み慣れた地域で、自分らしい暮らしを人生の最期まで続けることができるよう、地域の包括的な支援・サービス提供体制を構築することです。

地域包括ケアシステムが構築されることで、在宅での診療や介護ができるようになり、地域全体が連携して医療や介護サービスを提供することができるようになります。

参考:厚生労働省

 

しかし、厚生労働省が発表した2018年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況によると、2018年末時点で約120万人いる看護師のうち、73.9%が病院・11.2%が診療所と約85%の看護師が病院・診療所と医療保険分野で働いているため、介護分野での看護師不足が深刻です。

参考:厚生労働省

このような、背景もあり介護保険分野においても、より手厚い医療を行うために看護体制加算があります。

看護体制加算の対象となる介護サービス

介護保険サービス分野において、下記の介護サービスのみ算定できるため、全ての介護サービスにおいて「看護体制加算」が算定できるわけではありません。

短期入所生活介護

・地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護

・介護老人福祉施設

看護体制加算の介護サービス別単位数

看護体制加算は、以前まで看護体制加算Ⅰ・Ⅱでしたが、2018年度介護報酬改定により看護体制加算Ⅲ・Ⅳが新設されました。

看護体制加算Ⅲ・Ⅳは、今まで以上に中重度介護者の積極的な受入れを促進する観点から、看護体制加算Ⅰ・Ⅱの算定要件に加えて、要介護3以上の利用者を70%以上受入れるなどの評価が新たに行われるようになりました。

詳細の介護サービス別単位数は下記になります。

サービス種別

加算名称

算定単位数

算定頻度

短期入所生活介護

看護体制加算(Ⅰ)

4単位

1日あたり

看護体制加算(Ⅱ)

8単位

1日あたり

看護体制加算(Ⅲ)イ

12単位

1日あたり

看護体制加算(Ⅲ)ロ

6単位

1日あたり

看護体制加算(Ⅳ)イ

23単位

1日あたり

看護体制加算(Ⅳ)ロ

13単位

1日あたり

地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護






看護体制加算(Ⅰ)イ

12単位

1日あたり

看護体制加算(Ⅰ)ロ

4単位

1日あたり

看護体制加算(Ⅱ)イ

23単位

1日あたり

看護体制加算(Ⅱ)ロ

8単位

1日あたり

介護老人福祉施設





看護体制加算(Ⅰ)イ

6単位

1日あたり

看護体制加算(Ⅰ)ロ

4単位

1日あたり

看護体制加算(Ⅱ)イ

13単位

1日あたり

看護体制加算(Ⅱ)ロ

8単位

1日あたり

看護体制加算の算定要件

上記の表から分かるように、短期入所生活介護はI〜Ⅳ、地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護・介護老人福祉施設はI〜Ⅱとなっており、それぞれ算定要件も異なります。

ここでは、それぞれの算定要件について詳しく解説します。

短期入所生活介護の看護体制加算の算定要件

ショートステイとも呼ばれており、普段はご自身の在宅で生活しているものの、介助している者が数日家を空ける必要がある場合などにおいて、介護の必要な方が、数日~1週間程度の間、施設に宿泊して、日常生活の介助・機能訓練などを受けられるサービスです。

そんな、短期入所生活介護が看護体制加算を算定するには下記の要件が必要です。

加算名称

算定要件

看護体制加算Ⅰ

・常勤の看護師を1名以上配置している

・併設事業所の場合に関しては、本体施設とは別に短期入所生活介護事業所として1名以上の常勤看護師を配置している

看護体制加算Ⅱ

・加算(Ⅰ)の算定要件を満たしている。

・事業所の看護職員または、病院・診療所・訪問看護ステーションの看護職員と連携して、24時間連絡できる体制を確保している。

看護体制加算Ⅲイ

・加算(Ⅰ)の算定要件を満たしている。

・定員要件が29人以下である

・前年度または算定日が属する月3ヵ月間前の利用者総数のうち、要介護3~5の利用者の割合が100分の70以上である

看護体制加算Ⅲロ

・加算(Ⅰ)の算定要件を満たしている。

・定員要件が30人以上50人以下である

・前年度または算定日が属する月3ヵ月間前の利用者総数のうち、要介護3~5の利用者の割合が100分の70以上である

看護体制加算Ⅳイ

・加算(Ⅱ)の算定要件を満たしている。

・定員要件が29人以下である

・前年度または算定日が属する月3ヵ月間前の利用者総数のうち、要介護3~5の利用者の割合が100分の70以上である

看護体制加算Ⅳロ

・加算(Ⅱ)の算定要件を満たしている。

・定員要件が30人以上50人以下である

・前年度または算定日が属する月3ヵ月間前の利用者総数のうち、要介護3~5の利用者の割合が100分の70以上である

地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護の看護体制加算の算定要件

常に介護が必要となる高齢者に対して、できる限り住み慣れた地域で過ごすために使用できる、定員30名未満の特別養護老人ホームのことで、2006年に新設された地域密着型サービスのひとつです。

地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護における看護体制加算の算定要件は下記です。

加算名称

算定要件

看護体制加算Ⅰイ

・地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護費またはユニット型地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護費を算定している

・常勤の看護師を1名以上配置している

看護体制加算Ⅰロ

・経過的地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護費を算定している

・常勤の看護師を1名以上配置している

看護体制加算Ⅱイ

・経過的地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護費を算定している

・看護職員を常勤換算方法で2名以上配置している

・事業所の看護職員または、病院・診療所・訪問看護ステーションの看護職員との連携により、24時間連絡できる体制を確保している

看護体制加算Ⅱロ

・経過的地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護費を算定している看護職員を常勤換算方法で2名以上配置している

・事業所の看護職員または、病院・診療所・訪問看護ステーションの看護職員との連携により、24時間連絡できる体制を確保している

介護老人福祉施設の看護体制加算の算定要件

介護老人福祉施設は、特別養護老人ホームともに呼ばれ、介護を必要とする方のための公的な福祉施設です。

費用も要介護度によって異なるものの、1ヵ月10〜15万円程度と他の介護施設と比べ低価格で入居できます。

介護スタッフも常駐しており、主に入浴・排泄・食事の介助、健康管理も行ってくれるだけでなく、終身にわたり入居し続けられる施設がほとんどのため、利用者本人・家族にとっては心強い施設になります。

介護老人福祉施設における看護体制加算は下記です。

加算名称

算定要件

看護体制加算Ⅰイ

・入所定員が30名以上50名以下である

・常勤の看護師を1名以上配置している

看護体制加算Ⅰロ

・入所定員が51名以上である

・常勤の看護師を1名以上配置している

看護体制加算Ⅱイ

・入所定員が30名以上50名以下である

・常勤の看護師を1名以上配置している

・事業所の看護職員または、病院・診療所・訪問看護ステーションの看護職員との連携により、24時間連絡できる体制を確保している

看護体制加算Ⅱロ

・入所定員が51名以上である

・常勤の看護師を1名以上配置している

・事業所の看護職員または、病院・診療所・訪問看護ステーションの看護職員との連携により、24時間連絡できる体制を確保している

看護体制加算に関するQ&A

看護体制加算を算定するにあたって、よく疑問に思う質問が多々あります。ここでは、その中でも主要な質問について解説します。

短期入所生活介護の看護体制加算で同時に算定できるものを教えてください。

看護体制加算(Ⅰ)と(Ⅱ)、(Ⅲ)と(Ⅳ)は同時に算定することができます。

地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護及び介護老人福祉施設で同時に算定できるものを教えてください。

看護体制加算(Ⅰ)イと(Ⅱ)イ、(Ⅰ)ロと(Ⅱ)ロは同時に算定できます。

看護体制加算(Ⅲ)・(Ⅳ)の算定要件で、要介護3以上の利用者の占める割合が 70%以上であることが必要ではありますが、具体的な計算方法を教えてください

看護体制加算(Ⅲ)・(Ⅳ)の算定要件である要介護3以上の割合については、利用

実人員数又は利用延人員数を用いて算定します。

機能訓練指導員が看護師の場合、看護体制加算(Ⅱ)の看護職員配置に含められますか。また、看護体制加算(Ⅰ)についてはどうでしょうか?

看護体制加算(Ⅱ)については、機能訓練指導員が看護職員としての業務に従事している実態があれば、勤務時間を常勤換算の看護職員数の中に含めることは可能です。

しかし、看護体制加算(Ⅰ)については、看護職員としての業務以外の業務に従事する看護師によって同加算を算定することは望ましくありません。

参考:厚生労働省

まとめ

今後、国内における高齢者の増加を考えると、今回解説した、短期入所生活介護・地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護・介護老人福祉施設など看護体制加算を算定できる事業所の重要性が今まで以上に高まると予測されます。

お役立ち資料:加算取得を目指す方へ

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