デイサービスの月間利用報告書は、利用者の1ヵ月間の状況を正確に記録し、ケアマネジャーやご家族に伝える重要な書類です。
また、この報告書は、利用者の様子を伝えつつ、施設の活動内容をケアマネジャーにPRする貴重な機会にもなります。そのため、デイサービス月間利用報告書の書き方について悩まれている方も多いでしょう。
この記事では、デイサービス月間利用報告書について、書き方の基本や例文を詳しくご紹介します。
目次
デイサービスの月間利用報告書とは、利用者の1ヵ月間のサービス利用状況の記録をまとめた書類のことです。
この報告書には、利用者の活動内容や健康状態の変化が詳細に記載されているため、今後のケアプランの見直しや支援方針の調整をする際にも活用できます。また、利用者やご家族、ケアマネジャーに対して、デイサービスでの活動内容や健康状態の変化を共有し、サービスの成果や課題を把握するためにも重要な書類です。
デイサービスの月間利用報告書には、利用者の基本情報から健康状態、活動内容に至るまで、さまざまな情報を記載します。利用者の利用状況をしっかり報告するためにも内容に漏れがないように注意が必要です。
ここでは、デイサービスの月間利用報告書に書く内容について解説します。
月間利用報告書の冒頭には、利用者の名前やサービスの利用頻度など、基本的な情報を記載します。
また、報告期間も明確に記載し、誰に関する報告書であるかを正確に記載するようにしましょう。これにより、読み手が利用者の背景を簡単に把握でき、内容が理解しやすくなります。
月間利用報告書には、ケアプランで設定された目標に対する進捗状況を記載します。
短期目標や長期目標を達成するために、どの程度取り組みが進んでいるかを具体的に書くことで、支援の成果がより明確になるでしょう。
こうした情報は、ケアマネジャーがケアプランを作成する場面でも役立ちます。
月間利用報告書には、利用者のサービス利用状況を記載します。
例えば、入浴の状況や食事の摂取量、機能訓練への参加度など、サービス内容ごとに報告します。また、利用日数や欠席があった場合は、その理由も記載するとよいでしょう。
このように細かく記載することで、読んでいる方が、利用者のサービス内容や様子をスムーズに把握できます。
月間利用報告書には、サービス提供時の利用者の体調や行動、変化についても記載します。
例えば、健康状態や体調変化が見られた場合、具体的な状況を詳しく書くとよいでしょう。また、活動中の様子や精神的な変化なども含めることも大切です。
具体的な数値や観察結果を記載することで、利用者に適したサービス内容であるか判断しやすくなります。
デイサービスの月間利用報告書は、スタッフだけでなくご家族も見る可能性があるため、利用者の1ヵ月間の様子を具体的かつ簡潔に記載する必要があります。ここでは、デイサービスの月間利用報告書に記載する文章の事例をご紹介します。
利用者の基本情報は、報告書の冒頭に記載し、誰に関する報告書であるかを明確にする必要があります。例えば、以下のような記載をするのが適切です。
「〇〇様(80歳)は、要介護2の認定を受け、毎週月・水・金曜日にサービスを利用されています。1ヵ月間で計12回ご利用いただきました。」
このように簡潔かつ具体的に記載することで、読み手がすぐに利用者の背景を把握できるようになります。また、サービスの利用頻度や期間を明示することで、活動状況との関連性がわかりやすくなるでしょう。
活動内容には、利用者がデイサービスでどのような活動をおこない、どのように取り組まれたかを記載します。この部分では、単なる活動内容だけでなく、活動への意欲や反応なども細かく盛り込みましょう。例えば、以下のような記載をするのが適切です。
「〇〇様は、毎回レクリエーションに積極的に参加されています。特にカラオケでは得意な演歌を披露し、周囲の利用者とも笑顔で交流されていました。また、塗り絵や折り紙などの手先を使った作業にも熱心に取り組まれています。」
このように具体的に記載することで、利用者のデイサービス利用中に見られた反応や活動の様子を共有しやすくなります。
健康状態に関する情報は、客観的で具体的なデータや観察内容を用いて記載します。血圧や体重などのデータはもちろん、食事や排泄の状況についても必要に応じて記載しましょう。伝わりやすい文章の例は、以下の通りです。
「血圧は1ヵ月間通して安定しており、平均値は上が120、下が80でした。体重は先月と変化はなく、食事も毎回完食しています。排泄については、介助が必要な場面もありますが、トイレ誘導時には笑顔で対応してくださいました。また、入浴時もスタッフの見守りのもとで安全に実施できています。」
このように具体的なデータとともに、エピソードを交えることで、利用者の状態をより詳細に伝えられます。
月間利用報告書には、機能訓練の取り組み状況、その結果について記載します。成果が見られた場合は具体的に書きましょう。例えば、以下のような記載が適切です。
「歩行訓練を継続しておこなった結果、室内での歩行が以前より安定し、転倒のリスクが減少しました。本人も歩くことに自信がついてきたようで、笑顔を見せながら積極的に訓練に取り組まれています。また、階段の上り下りもスムーズになり、ご家族からも『自宅での移動が安心できるようになった』とのお話をいただきました。」
このように、成果だけでなく、利用者の前向きな反応を記載することで、機能訓練の重要性も伝えられます。
月間利用報告書には、日常生活の中での利用者の変化や気になる点も具体的に記載します。例えば、以下のような記載が適切です。
「最近、午後になると集中力が低下し、レクリエーションの途中で席を立つことがありました。また、ご家族からは『就寝時間が遅くなっている』とのお話をいただいています。これを受け、昼食後の休憩時間を延長し、体調を整えられるような取り組みを検討しています。」
このように、課題を指摘するだけでなく、それに対する取り組みや提案も記載することで、今後の対応につなげられるでしょう。
デイサービスの月間利用報告書を作成する際には、正確で簡潔な記載が求められます。なぜなら、スタッフだけでなくご家族も見る可能性があるため、誰が読んでも理解できるような内容にしなければいけないからです。ここでは、デイサービスの月間利用報告書の基本的な書き方について解説します。
報告書を書く際には「いつ(When)」「どこで(Where)」「誰が(Who)」「何を(What)」「なぜ(Why)」「どのように(How)」を意識しましょう。5W1Hを意識することで、必要な情報が簡潔に整理され、わかりやすい文章を作成できます。
5W1Hを活用しながら、サービス内容や具体的な利用者の様子を書くようにしましょう。
月間利用報告書には、観察した事実を客観的に記載しましょう。主観的な意見や推測を含めると、状況が正確に伝わらず、誤解を招く可能性があるからです。
例えば「利用者が嫌な顔をしていた」という記載は主観的ですが「利用者が顔をしかめていた」と記載すれば、客観的で具体的な情報となります。読み手に誤解を与えないように事実を客観的に書くようにすることが重要です。
月間利用報告書は、ケアマネジャーやご家族にも共有します。そのため、現場経験がない読み手も内容を正確に理解できるよう、専門用語や略語の使用は避けましょう。
例えば「ADL」という言葉は理解できない可能性があります。そのため「日常生活動作」もしくは「日常生活を送るのに必要な動作」などと記載し、誰が読んでも簡単に理解できるような言葉選びをすることが重要です。
デイサービスの月間利用報告書は、スタッフだけでなくご家族も見るため、正確に記載しなければなりません。また、ネガティブな内容が重複することや上から目線な表現は、読み手に不快感を与えるため、注意が必要です。ここでは、月間利用報告書を書く際の注意点について解説します。
月間報告書を書く際には、1文を短くまとめ、長くなりすぎないように注意しましょう。なぜなら、文章が長くなると、読み手が何を伝えたいのかを理解しづらい場合があるからです。
特にケアマネジャーは、多くの書類を扱うため、報告書の内容を素早く把握しなければなりません。伝えたい内容を1文に詰め込みすぎず、内容を整理した上で簡潔にまとめるようにしましょう。
月間利用報告書には、利用者の様子や状態の変化を正確に記載する必要がありますが、ネガティブな内容ばかり書かないように注意しましょう。
あまりにもネガティブな内容が多いと、読み手に「サービス状況が悪いのではないか」という誤った印象を与える可能性があります。そのため、利用者の課題や問題点を記載する際には、必ず改善点やポジティブな変化についても触れるようにしましょう。
月間利用報告書は、利用者についての内容を記載するものです。利用者に対する敬意を持ち、相手を尊重した表現を心掛けましょう。例えば、「指導」「注意」といった上から目線の言葉を避け「声かけ」「提案」といった柔らかい表現を使用することが大切です。
デイサービスの月間利用報告書は、利用者の状態やサービス内容を正確に伝えるだけでなく、ケアプランの見直しやサービス改善のきっかけとなる重要な書類です。
記載する際には、具体的にわかりやすくネガティブな内容ばかりにならないよう注意しましょう。また、改善や成果を含めたバランスの良い内容に仕上げることが大切です。
文章の内容としては、利用者だけでなく読み手に対する敬意を持ち、柔らかい表現を心掛けることで信頼性も高まります。具体的でわかりやすい文章作成を意識し、利用者のサービス改善に役立てましょう。