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居宅療養管理指導の点数・単位数の算定方法まとめ!加算算定率はどのくらい?

元山 ゆず香

監修者

介護福祉士

元山 ゆず香

大学を卒業後、特別養護老人ホームにて現場業務に従事。その後、福祉系大手企業に入社し、エリアマネージャーとして、施設介護事業・居宅介護事業・障害福祉サービス事業でのエリアマネジメント・行政対応を経験。また、法人本部に異動し教育部門・監査担当部門の部長を歴任。現在は全国の介護・障害福祉事業所の支援やセミナーの開催、DXO株式会社での介護関連事業の支援などを実施。

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医師や薬剤師など限られた職種に就く人が、通院が困難な要介護者を訪問して療養に関する管理や指導を行う居宅療養管理指導。

利用者ができる限り自立できるよう、生活環境や心身の状態を考慮しながら支援をすることが目的であり、特に独居や夫婦のみで生活している要介護者にとってはなくてはならないサービスです。

主な仕事は要介護者やその家族に対する指導や助言、また、在宅介護事業所に対するアドバイスです。

居宅診療管理指導の報酬は国で定められており、3年ごとに改定が行われます。今回の記事では、居宅診療管理指導の点数についてご紹介します。

居宅療養管理指導とは

居宅療養管理指導とは、在宅で療養をしている要介護1以上と認定された患者さんが、通院が難しい場合に医師や薬剤師等が自宅を訪問して指導を受けることができるサービスです。

居宅療養管理指導のサービス内容などについてより詳しく知りたい方は、こちらの記事を参考にしてください。

居宅療養管理指導とは?利用方法やメリットを詳しく解説!

最新の居宅療養管理指導の点数(単位数)は?

居宅診療管理指導の点数は厚生労働省により定められます。

人材不足や物価上昇の影響を考慮して3年ごとに改定されますが、直近2回の改定では点数が上昇傾向にあります。

居宅診療管理指導のサービスを行えるのは医師・歯科医師・薬剤師・歯科衛生士・管理栄養士で、それぞれ提供するサービスの内容も基本報酬の点数も異なります。

介護報酬の計算方法は「点数(単位数)×単価」で、単価は地域やサービスの種類ごとに設定されています。

金額で設定されていないのは地域によって物価や人件費に差があるからです。

さらに、その物価や人件費にも年々変化が生じることから3年ごとに改定されます。

居宅療養管理指導の基本報酬の点数

職種

利用限度

単一建物居住者

1人(単位)

単一建物居住者 2~9人(単位)

単一建物居住者

10人(単位)

医師(居宅療養管理指導I)

月2回

514

486

445

医師(居宅療養管理指導II)

月2回

298

286

259

歯科医師

月2回

516

486

440

薬剤師(病院・診療所)

月2回

565

416

379

薬剤師(薬局)

月4回

517

378

341

管理栄養士

月2回

544

486

443

管理栄養士(当該事業所以外)※新設

月2回

524

466

423

歯科衛生士

月4回

361

325

294

参考:厚生労働省

居宅療養管理指導の加算算定率

前回(2018年度)の改定では、居宅療養管理指導の報酬において特定地域加算が新設されました。

これは過疎地域などに住む要介護者にも積極的にサービスを提供するのが目的で「特別地域加算」「中山間地域等における小規模事業所加算」「中山間市域等に居住する者へのサービス提供加算」の3項目です。

2020年に厚生労働省より報告された加算算定率は以下の通りです。

加算点数

1回につき

算定事業者数

算定率

事業所ベース

算定回数・日数

(単位:回・日)

算定率

回数・日数ベース

算定単位数

単位:1単位

特別地域居宅療養管理指導加算 

+15/100

288

0.74%

4.2

0.15%

373,000

中山間地域等における小規模事業所加算

+10/100

1021

2.64%

6.2

0.22%

394,000

中山間地域等に居住する者へのサービス提供加算

+5/100

252

0.65%

1.8

0.06%

59,000

参考:厚生労働省

薬剤師による情報通信機器を用いた服薬指導の評価

薬剤師による介護への介入は年々増えており、2020年の診療報酬改定によりスマホやタブレットを使用したオンラインでの服薬指導料が新設されました。

それに伴い、居宅診療管理指導報酬でも新たに薬局の薬剤師による情報通信機器を使った服薬指導での算定が可能となりました。

点数は1回につき45単位で、利用限度は月1回までとなっています。

対象となるのは、居宅診療管理指導費が月1回算定されているか、在宅時医学総合管理科に規定する訪問診療の実施に伴って処方箋が交付された利用者です。

報酬点数は他項目に比べて低いものの、薬剤師にとっても利用者にとっても選択肢が広がるという点はメリットと言えます。

参考:厚生労働省

居宅療養管理指導における薬剤師については、こちらの記事を参考にしてください。

居宅療養管理指導における薬局の算定要件や点数を紹介!算定できない場合についても詳しく解説!

基本方針を踏まえた居宅療養管理指導の実施と多職種連携の推進 

在宅介護の基本方針は、利用者が自立した生活を送れるようになるためのサービスを提供することです。そのために、居宅療養管理指導においてより適切なサービスを行うために新設されたのが、基本方針を踏まえた居宅療養管理指導の実施と多職種連携の推進です。

居宅療養管理指導に携わるそれぞれの職種同士で連携を取ることが推進されています。職種により算定要件の内容が異なりますが、詳細は以下の通りです。

通知改正部分

・医師・歯科医師

居宅療養管理指導の提供に当たり、利用者の社会生活面の課題にも目を向け、利用者の多様なニーズについて地域における多様な社会資源につながるよう留意し、必要に応じて指導、助言等を行う。

・薬剤師・歯科衛生士・管理栄養士

居宅療養管理指導の提供に当たり、(上記の)医師・歯科医師の指導、助言等につながる情報の把握に努め、必要な情報を医師又は歯科医師に提供する。

省令改正部分

・薬剤師

療養上適切な居宅サービスが提供されるために必要があると認める場合や、居宅介護支援事業者等から求めがあった場合は、居宅サービス計画の作成、居宅サービスの提供等に必要な情報提供又は助言を行う。

引用:厚生労働省

通院時情報連携加算の点数は1回につき50単位で、利用者1人につき月1回が限度です。こちらは、利用者が受診する際に同席して、医師と必要な情報交換をして居宅サービス計画に記録するのが算定要件です。

参考:厚生労働省

居宅療養管理指導の居住場所に応じた評価の見直し

居宅療養管理指導報酬の点数は、単一建物に居住している人数によって3段階(1人・2〜9人・10人以上)に分けられています。

そもそも2018年度の改定時に「単一建物居住者」という項目になりましたが、それまでは同一建物居住者とそれ以外に分かれていました。

しかし、同じ建物に住んでいる複数の利用者のために複数回訪問することで報酬が高くなるといった問題が生じることから、2021年度の改定では、利用者それぞれの居宅場所に応じた点数の見直しが行われました。

複数の利用者に対してサービスを提供する場合、同一建物にいるのといないのとでは利用者1人に対する滞在時間や移動時間など、サービスの内容にも差が生じます。サービス全体の効率性を考慮して、単一建物の居住者人数が少ない場合の方が評価され、点数も増えました。

改定前と改定後の点数の差は以下の通りです。

職種

単一建物居住者

改定前点数(単位)

改定後点数(単位)

医師(居宅療養管理指導I)

1人

509

514

2人~9人

485

486

10人以上

444

445

医師(居宅療養管理指導II)

1人

295

298

2人~9人

285

286

10人以上

261

259

歯科医師

1人

509

516

2人~9人

485

486

10人以上

444

440

薬剤師(病院・診療所)

1人

560

565

2人~9人

415

416

10人以上

379

379

薬剤師(薬局)

1人

509

517

2人~9人

377

378

10人以上

345

341

管理栄養士

1人

539

544

2人~9人

485

486

10人以上

444

443

管理栄養士(当該事業所以外)※新設

1人

524

2人~9人

466

10人以上

423

歯科衛生士

1人

356

361

2人~9人

324

325

10人以上

296

294

まとめ

介護業界にとって、利用する側とされる側のどちらにとっても快適となるためのサービスを提供することは基本です。そのためには居住者療養管理指導の点数について知識があるに越したことはありません。職種やサービスの内容、居住者数によって違いがある報酬点数について把握するためにも、ぜひ参考にしてみてください。