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補聴器の補助金を受け取る方法は?【障害者総合支援法】

元山 ゆず香

監修者

介護福祉士

元山 ゆず香

大学を卒業後、特別養護老人ホームにて現場業務に従事。その後、福祉系大手企業に入社し、エリアマネージャーとして、施設介護事業・居宅介護事業・障害福祉サービス事業でのエリアマネジメント・行政対応を経験。また、法人本部に異動し教育部門・監査担当部門の部長を歴任。現在は全国の介護・障害福祉事業所の支援やセミナーの開催、DXO株式会社での介護関連事業の支援などを実施。

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一般的に補聴器を購入しようとすると、保険が適用されないため非常に高額です。

しかし、障害者総合支援法を使用することで、補聴器購入にあたって補助金を受けられるため、自己負担が大きく軽減される可能性があります。

今回の記事では、障害者総合支援法による補聴器補助金の支給を受けるためのステップ、障害者総合支援法で定められている聴覚障害等級、障害者総合支援法における補聴器購入基準価格表について詳しく解説します。

障害者総合支援法とは

2012年6月に施行された障害者福祉に関する法律のことで、正式名称は「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」といいます。

障害のある方が、日常生活・社会生活を過ごすために必要な障害福祉サービスなどが定められた法律で、障害者自立支援法を改正するかたちで、2013年4月に施行されました。

障害者総合支援法のサービス内容は、介護・就職支援などのように、サービス利用者個別に支給される「自立支援給付」と、利用者の状況に合わせて、市区町村・都道府県が柔軟にサービスを行う「地域生活支援事業」の2つに分かれます。

障害者支援法についてより詳しく知りたい方は、こちらの記事を参考にしてください。

障害者総合支援法とは?サービスの内容や利用方法などを紹介!

障害者総合支援法による補聴器補助金の支給を受けるためのステップ

補聴器は障害者総合支援法による補助金の対象です。

しかし、全ての方が補助金の対象となる訳でなく、聴力が規定以下の場合に限られます。

認定されている規定聴力は高度難聴レベルになるため、軽度・中等度の難聴では認定されません。

実際に障害者総合支援法による補聴器補助金の支給を受けるためには下記のステップを踏む必要があります。

障害者手帳を取得する

障害者総合支援法による補聴器補助金を受ける場合は、下記の手順で障害者手帳を取得する必要があります。

①区市町村の福祉課窓口で交付申請書と診断書の用紙を取得する

障害者手帳は、身体障害者手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳の3種に分かれます。

この中で、補聴器補助金を受けるためには、身体障害者手帳の取得が必要となり、最初に行うステップは、区市町村で交付申請書・診断書の用紙を取得することです。

区市町村には多くの窓口がありますが、その中でも福祉課窓口で対応しています。

交付申請書は、基本的には本人が記入しますが、15歳未満は保護者・代理人でも記入可能です。

②指定された病院で診断書を書いてもらう

交付申請書は、本人で記入可能ですが、診断書は、身体障害者福祉法第15条により、都道府県が指定した指定医に書いてもらう必要があります。

指定医師は障害分野ごとに分かれており、指定を受けていない医師が書いた診断書、指定医師が書いているものの、その医師が指定を受けている分野以外について書かれた診断書については、すべて無効となるため注意が必要です。

また、注意点としては、身体障害者手帳の障害認定は、治療などから一定期間経過後の安定した時期を待って、障害が固定した後に行う必要があり、聴覚の場合、一過性では申請できず、聴力が低下してから3ヵ月程度症状が固定されている必要があります。

③役所に交付申請書と診断書を提出する

交付申請書と診断書が完成したら、役所に各書類を提出します。

提出した後、すぐに身体障害者手帳が交付されることはなく、申請から交付まで、約1ヵ月程度必要です。

また、診断書の内容について診断した医師への照会が必要になった場合、判断が難しく審査部会で審査を受けることになった場合は、2ヵ月程度の日数を要する場合もあります。

④身体障害者手帳が交付される

身体障害者手帳の交付が決定した場合は、交付に関するお知らせを申請者に送付します。もし、交付されない場合においても、交付しない旨の通知書が送付されます。

送付された交付に関するお知らせを持参して、申請した区市町村を訪ねることで、身体障害者手帳が交付されます。

補聴器を支給してもらう

身体障害者手帳が交付されると、補聴器を購入するにあたって下記の手続きを行うと補助金が支給されます。

⑤福祉課窓口に申請書と意見書と見積書を提出する

補聴器給付申請書・都道府県が指定した指定医が記入した意見書・補聴器購入の助成制度をおこなっている補聴器販売店で補聴器購入の見積書・取得した身体障害者手帳を持参して、本人が住んでいる市区町村の福祉課窓口へ行き、全ての書類を提出します。

⑥補装具費支給券を受け取る

提出した書類を市区町村が判定の結果、補聴器購入にあたって給付の許可が下りれば「補装具費支給券」が自宅に届きます。

⑦補装具費支給券を持って補聴器販売店に行く

支給された「補装具費支給券」と記載されている自己負担額の金額・印鑑を持って見積書を作成してもらった補聴器販売店へ行き、補聴器を支給してもらいます。

障害者総合支援法で定められている聴覚障害等級

聴覚障害等級は6級・4級・3級・2級の4段階に分かれ、交付基準は下記の通りになります。

等級

交付基準

6級

両耳とも平均聴力レベルが70dB以上。

または片耳の平均聴力レベルが50dB以上、他側耳の平均聴力レベルが90dB以上の場合

4級

両耳とも平均聴力レベルが80dB以上。

または、両耳による最良語音明瞭度が50パーセント以下

3級

両耳とも平均聴力レベルが90dB以上

2級

両耳とも平均聴力レベルが100dB以上

参考:神奈川県聴覚障害者福祉センター

上記の基準に必ずしも当てはまることはありませんが、概ね上記の基準となります。

2,3級に重度難聴用の補聴器が、4,6級に高度難聴用の補聴器が支給

聴覚障害等級によって支給される補聴器が異なります。

2・3級の聴覚では、日常生活においての会話は聞き取ることができず、かなり大きな音であればどうにか感じ取ることができるレベルになるため、重度難聴用の補聴器が支給されます。

また、4・6級であれば、大声での会話がどうにかできるレベルになるため、重度難聴用の補聴器ではなく、高度難聴用の補聴器が支給されます。

障害者総合支援法における補聴器購入基準価格表

下記の補聴器基準価格表の中から、聴覚障害等級によって給付される補聴器を選べます。

高度難聴用(4・6級)

重度難聴用(2・3級)

箱型補聴器

高度難聴用箱型補聴器

34,200円

重度難聴用箱型補聴器

55,800円

耳かけ型補聴器

高度難聴用耳かけ型補聴器

43,900円

重度難聴用耳かけ型補聴器

67,300円

耳あな型補聴器

耳あな型補聴器

137,000円

上記の表に示されている価格の「1割自己負担」もしくは「自己負担無し」で補聴器が支給されます。

まとめ

障害者総合支援法を使用し、障害者手帳を取得することで、補聴器を購入するにあたって、補助金を受けることができます。

補助金の金額は、聴覚障害等級によって異なりますが、自己負担額は大きく軽減することができるため、聴覚が低下して日常生活を過ごすのに苦労されている場合は、障害者手帳を使用しての補聴器購入を一度ご検討ください。

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