介護保険審査会は、各都道府県に設置されています。介護保険審査会は介護保険料の給付や介護サービスの利用について不満がある場合に審査をおこなう機関です。具体的には保険業者がおこなった保険給付などに関する処分に対して、法律や規制、基準などの観点から審査をおこない決定されます。
また、介護認定に関しては苦情があれば、審査をしてもらうことも可能です。この記事では介護保険審査会に関して、詳しく解説をしています。気になる方がいれば、ぜひ参考にしてみてください。
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介護保険審査会は、保険者(市町村)がおこなった保険給付や介護保険料等に関する処分に対する不服申立の審理・裁決をおこなう第三者機関として、各都道府県に設置されています。
介護保険審査会は、保険者がおこなった処分が法令等に基づき適正におこなわれているかどうかを審査し裁決する機関です。審査請求に理由があると認めた時は、裁決により処分の全部または一部を取り消し、保険者に差し戻し、保険者が改めて処分をやり直すことになります。
介護認定審査会と介護保険審査会ではおこなえる内容についての違いがあります。以下では、介護認定審査会との違いについて詳しく解説をしていますので、ぜひ参考にしてみてください。
介護認定審査会の役割は介護保険サービスを利用しようとしている方に対して、介護に必要な度合いを審査、判定する機関になります。
介護保険審査会の役割は、保険者である市区町村がおこなった介護保険における保険給付および要介護認定などに関する行政処分に対する不服申立て(審査請求)の審理、裁決をおこなう第三者機関として都道府県に設置されています。介護保険審査会は地方自治法上の付属機関です。
介護認定審査会と介護保険審査会の構成メンバーと任期の違いは以下になります。介護認定審査会では医療、保健、福祉の学識有識者から5名程度で構成され、任期は2年で再任が可能になります。介護保険審査会では、被保険者を代表する委員3名、市町村を代表する委員3名、公益を代表する委員数名になり、任期は3年です。
審査請求の対象なる内容や請求可能者や期間についても決まりがあります。以下では、詳しい内容について解説をしていますので、ぜひ参考にしてみてください。
審査請求ができる処分は次の通りになります。
- 保健給付に関する処分(被保険者証の交付の請求に関する処分及び要介護認定または、要介護認定に関する処分も含まれます)
- 保険料その他介護保険法の規定により徴収金(財政安定化基金拠出金、納付金及び第157条第1項に規定する延滞金を除く)に関する処分
審査できないことは、認定制度自体が間違っていることや条例で定められた介護保険料の金額自体が高すぎる、所得段階が不公平、保険料の特別徴収を止めててほしいなどの制度や基準そのものの見直しを求める主張については、介護保険審査会の性質上、審査することはできません。
審査請求をすることができる方は、当該処分によって直接に自己の権利や利益を侵害された人に限られます。ただし、委任状を作成することにより、代理人が審査請求をすることもできます。
原則として、処分があったことを知った日の翌日から起算して3ヵ月以内になります。ただし、処分があったことを知った日の翌日から3ヵ月経過していなくても、処分のあった翌日から1年以上経過していた場合は審査請求をおこなうことはできません。正確な理由がなく、この期間を超過して審査請求をされた場合は、審査請求は棄却されます。
介護保険審査会に審査請求をおこなう際にどのような流れになるかわからない方は多くいます。以下では、審査請求をおこなう際の流れや注意点について詳しく解説しています。ぜひ、参考にしてみてください。
介護保険審査会は介護認定や保険料等が法令や条例の規定に従い正しく決定されるかどうかを判断する機関のため、処分の詳しい内容や、決定までに至った経緯に関する質問等には答えられません。
処分について疑問や納得できないところがあるなどの不服があるときは、まずは処分をおこなった市町村の介護保険担当窓口に問い合わせる必要があります。
認定調査のやり直しを希望される場合や心身の状態の変化により介護の必要度合いに変化がある場合には、審査請求ではなく要介護認定等の区分変更申請を検討する必要があります。
審査請求の流れは以下になります。
- 市町村から被保険者に介護保険料賦課。要介護認定等の行政処分をおこなう
- 被保険者から行政処分に対する疑義があれば説明をおこなう
- 要介護保険法183条に基づく審査請求
- 補正命令、補正書の提出
- 弁明書の送付と反論書の提出依頼
- 都道府県介護保険審査会に弁明書の提出をおこなう
- 反論書、再反論書の提出をおこなう
- 裁決
介護保険審査会の裁決は、次の認容・棄却・却下のいずれかになります。要介護度を変更することや保険料を減額するなど処分を変更する裁決はできません。
次のような法令等や制度そのものについて不服がある場合は、今ある制度や判断に基づき正しくおこなわれたかを審査する介護保険審査会の性質上、審査することはできません。
このような不服については審査することはできません。
審査請求書は提出必要書類があります。以下では、審査請求書への記載事項や提出必要書類について詳しく解説をしています。ぜひ、参考にしてみてください。
行政不服審査法及び介護保険法では、様式が定められていないので、下記の記載事項が記載されていれば、任意の様式で差し支えありません。
- 審査請求の原処分の名宛人たる被保険者の氏名、住所、生年月日、被保険者番号
- 審査請求人が原処分の名宛人たる被保険者以外の者であるときは、審査請求人の氏名または名称並びに住所、被保険者との関係
- 審査請求に係る処分の内容
- 審査請求に係る処分があったことを知った年月日
- 審査請求の趣旨及び理由
- 処分庁の教示の有無及びその内容
- 審査請求の年月日
- 代理人によって審査請求をするときは、代理人の氏名及び住所
提出する書類の部数等については、下記になります。
- 審査請求書の正本、副本が各1通
- 審査請求の内容を具体的に示す証拠書類が2部
- 委任状が1部(代理人により審査請求をおこなう場合のみ提出)
介護保険審査会は介護認定や保険料等の算定が法令上に従い、正しくおこなわれているかどうかを判断する機関です。利用者が安心して介護サービスを利用するための機関になりますが、時には審査期間や審査の判断に不服と思う方もいます。
不服となり再審となった場合は介護保険審査会の結果が出るまで期間が開いてしまうことにより利用者が安心してサービスを利用できない方もいます。現在の介護の負担が介護と見合っていない場合は、再度区分変更をおこなうことも可能です。その際には、暫定で介護保険サービスを利用することにより見立てより軽度な認定が出るとで自己負担のリスクも発生することもあります。
そのため、認定の見直しが必要かどうかは担当のケアマネジャーと相談をして、検討してみることもおすすめです。介護保険審査会という制度も理解をした上で審査請求をすることも大切になります。