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小規模多機能型居宅介護の概要からサービス内容まで徹底解説!

2024-11-26

元山 ゆず香

監修者

介護福祉士

元山 ゆず香

大学を卒業後、特別養護老人ホームにて現場業務に従事。その後、福祉系大手企業に入社し、エリアマネージャーとして、施設介護事業・居宅介護事業・障害福祉サービス事業でのエリアマネジメント・行政対応を経験。また、法人本部に異動し教育部門・監査担当部門の部長を歴任。現在は全国の介護・障害福祉事業所の支援やセミナーの開催、DXO株式会社での介護関連事業の支援などを実施。

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在宅介護をおこなっていると、家族や身近な人たちだけで介護にあたるのが難しいことがあります。要介護者本人の状況や要望によっては、通所サービスや訪問サービスの利用を検討することもあるでしょう。

その際に、小規模多機能型居宅介護の利用が選択肢の1つに挙げられます。今回は、小規模多機能型居宅介護の基本情報や、サービス内容について解説します。

小規模多機能型居宅介護とは?

小規模多機能型居宅介護は、在宅介護をしている方向けの地域密着型の介護サービスです。今後増加が見込まれる認知症高齢者や中重度の要介護者が可能な限り、自宅での生活を続けるために創設されました。

利用者の心身の状況や置かれている環境に応じて、入浴・排せつ・食事等の介護、調理・洗濯・掃除等の家事等や機能訓練をおこないます。

これらのサービスを「通い(デイサービス)」、「訪問(ホームヘルプ)」、「宿泊(ショートステイ)」の3つ形で1つの事業所が提供することが大きな特徴です。デイサービスを中心に、訪問介護やショー手とステイを組み合わせて提供されることがほとんどです。

小規模多機能型居宅介護の対象者

小規模多機能型居宅介護を利用するためには、以下の2つの条件を満たす必要があります。

  1. 65歳以上で要介護1以上と認定された方。あるいは、40〜64歳で特定疾病による要介護認定を受けた方。
  2. 利用する事業所のある市区町村に住民票がある方。

要支援1・2の認定を受けた方も予防給付として利用可能です。

厚生労働省「介護事業所・生活関連情報検索」によると、令和4年度の要介護度別利用者数は、要介護1が29.8%と最も多く、要介護5は7.9%となっており、入居型の施設と比べて、要介護度の低い利用者の割合が高くなっています。

月額定額制で回数制限なく利用可能

介護保険サービスは通常、介護度別に毎月利用できる介護保険支給限度基準額が決まっています。そのため、デイサービスとショートステイなど複数サービスを利用する場合、それぞれに契約の手間と費用がかかり、利用すればするほどに費用が高くなってしまいます。

しかし、小規模多機能型居宅介護は、月額定額制のサービスです。そのため、回数制限なく何度でも複数のサービスを利用することができます。

小規模多機能型居宅介護で利用できる3つのサービスとは?

小規模多機能型居宅介護で利用できる3つのサービスについて紹介します。

通い(デイサービス)

「通い」は以下のようなサービスを提供します。

  • 健康チェック
  • 食事の提供
  • 食事介助
  • 服薬介助
  • 排泄介助
  • 入浴介助
  • 機能訓練
  • レクリエーション

通常のデイサービスでは、あらかじめ決まっているプログラムをおこなうなど1日の過ごし方が決まっています。

これに対して、小規模多機能型居宅介護の「通い」では、施設の利用時間に合わせて利用者が必要なサービスを受けることができます。入浴介助のみ、レクリエーションのみなど短時間の利用も可能です。また、利用者が安心して利用できるように車で送迎をおこなうことが一般的です。

宿泊(ショートステイ)

「宿泊」は、以下のようなサービスを提供します。

  • 食事の提供
  • 食事介助
  • 服薬介助
  • 就寝、起床の介助
  • 排泄介助
  • 夜間の見守り

通常のショートステイでは、事前に利用日を予約して利用したり、空いていない場合には他の施設を検討したり日程変更をおこなわなければなりません。そのため、利用者やご家族の状況の変化に対応しにくいところがあります。

これに対して、小規模多機能型居宅介護の「宿泊」は、必要な時に利用ができます。急な泊まりや連泊にも対応してもらえることもあります。

訪問(ホームヘルプ)

「訪問」は、以下のようなサービスを提供します。

  • 健康チェック
  • 食事介助
  • 入浴介助
  • 排泄介助
  • 買い物同行
  • 買い物代行
  • 通院介助
  • 調理
  • 掃除
  • ゴミ出し
  • 洗濯

訪問サービスでは、身体的なケアに加えて生活に必要な家事の支援もおこないます。通常の訪問介護では、身体介護30分・生活援助45分など、サービスの枠に合わせて提供時間が決められています。

しかし、小規模多機能型居宅介護における訪問サービスでは、訪問回数、1回の提供時間、支援内容が1人ひとり異なります。そのため、服薬介助や排泄介助など、1日を通してピンポイントでのサービスを複数回利用することができます。また、夜間や早朝などの緊急時にも柔軟に対応してもらえます。

「通い」と「宿泊」は1日当たりの利用者定員が定められている

小規模多機能型居宅介護はサービスの利用回数に制限はありませんが、「通い」と「宿泊」については、サービスの利用定員が決まっています。サービスを希望しても、定員数を超えている場合は利用できませんのでご注意ください。

それぞれの定員数は以下の通りです。

1つの事業所あたりの登録定員数29人以下
「通い」サービスの1日あたりの定員数

15人以下
※一定の要件を満たした場合:18人以下

「宿泊」サービスの1日当たりの定員数9人以下

小規模のため定員数は多くはありませんが、だからこそきめ細やかなサービスを受けることができます。

小規模多機能型居宅介護のメリット

小規模多機能型居宅介護にはどのようなメリットがあるのか見ていきましょう。

時間制限なくサービスを利用できる

小規模多機能型居宅介護では、利用者のニーズに応じて24時間体制でサービスを受けることができます。日中だけでなく、早朝や夜間の対応もおこなうため、利用者や家族にとって安心できるでしょう。

定額で必要なサービスを利用できる

通常、介護サービスは1ヵ月に利用できる費用が決まっています。また1回ごとに費用がかかるため、無制限に利用できません。しかし、小規模多機能型居宅介護は、1ヵ月あたりの利用料金が決まっており、1回ごとの費用請求はありません。そのため、何回でも必要なサービスを利用できます。

利用者それぞれに寄り添ったサービスを受けられる

小規模多機能型居宅介護では3つのサービスを1か所で利用できるため、利用者のニーズに合わせて柔軟な対応ができます。例えば、通所サービスを利用していても、ご家族の帰宅が遅くなってしまう場合などには、宿泊サービスに切り替えてスムーズに対応できます。

スタッフが変わらずに各サービスを受けられる

複数のサービスを利用する際、通常は事業所や担当者が変わります。環境や人間関係がその都度変わるため、利用者のストレスにもなるでしょう。

しかし、小規模多機能型居宅介護では、1つの事業所に在籍している職員が、通所・訪問・宿泊の全てのサービスを提供します。利用者と顔なじみの担当者が複数のサービスをおこなうことで、一貫したケアが提供され利用者が安心できる生活に繋がります。

介護者の負担を軽減できる

介護は、介護する家族にも心身共に大きな影響を与えるので、介護者自身の時間を作ることが必要です。利用者やその家族の状況に合ったサービスを提供できるため、家族の介護負担を軽減することができます。家族の外出時に通所サービスを利用する、出張などで数日不在の際に宿泊サービスを利用するなど、サービスを切り替えて柔軟な対応ができます。

宿泊は、空きがあれば直前でも利用できる

小規模多機能型居宅介護の宿泊サービスは、通常は予約制ですが、定員に空きがあれば当日の依頼であってもサービスを利用することができます。

小規模多機能型居宅介護のデメリット

次に、小規模多機能型居宅介護のデメリットについて見ていきましょう。

専属のケアマネジャーに変更する必要がある

小規模多機能型居宅介護には、事業所専属のケアマネジャーがいます。そのため、以前からの担当のケアマネジャーがいる場合は変更する必要があります。信頼関係を築いてきた担当から新しいケアマネジャーになることに不安や抵抗を強く感じる方は注意が必要です。

しかし、ケアマネジャーの窓口と利用するサービスが同じ事業所にあるため、介護方法などが統一され、連携が取りやすくなるというメリットもあります。

併用できないサービスがある

小規模多機能型居宅介護は、通い、訪問、宿泊の3つのサービスを1つの事業所が提供します。そのため、併用できないサービスがあります。また「通所だけ他の事業所を利用したい」など部分的に他の事業所を利用することはできません。併用できるサービス、併用できないサービスは以下の通りです。

併用できるサービス併用できないサービス
  • 訪問看護
  • 訪問リハビリテーション
  • 住宅改修
  • 福祉用具貸与
  • 居宅療養管理指導
  • 居宅介護支援
  • 訪問入浴介護
  • 訪問介護
  • ショートステイ
  • デイサービス
  • デイケア

今まで利用していたサービスであっても、併用できないものの場合は、新たに小規模多機能型居宅介護にて契約しなおすことになります。

定員数が決まっており空いていないことがある

小規模多機能型居宅介護の利用定員は29人以下とかなり少人数です。そのため希望してもすぐにサービスを利用できない可能性があります。利用したくても、希望日の定員数が上限に達している場合は利用できません。

サービスの利用回数が少ない場合は割高となる

小規模多機能型居宅介護は月額制です。サービスを頻繁に利用する方にとってはメリットですが、介護度の低い方や家族が終日介護できる方など、利用回数が少ない場合には割高となってしまう場合があります。その際は、訪問介護を個別に依頼するのとどちらがいいのか検討することが必要です。

小規模多機能型居宅介護の利用者負担費用は?

小規模多機能型居宅介護の利用者負担は月額制です。料金は介護区分によって変動します。利用者負担額は、原則1割ですが、利用者の所得に応じて2~3割負担になる場合もあります。

1割負担の場合の月額利用料は以下の表の通りです。

同一建物居住者以外の場合同一建物居住者の場合
要支援13,450円3,109円
要支援26,972円6,281円
要介護110,458円9,423円
要介護215,370円13,848円
要介護322,359円20,144円
要介護424,677円22,233円
要介護527,209円24,516円

また宿泊サービスを利用する場合は宿泊費、食費、おむつ代などが別途必要になります。

その他にも多様な加算が請求される場合もありますが、事業所の特色によっても異なりますので、事業所にご確認ください。

まとめ

今回は小規模多機能型居宅介護を紹介しました。小規模多機能型居宅介護は、利用者が住み慣れた自宅で生活を継続できるように、通所、訪問、宿泊を組み合わせておこなうサービスです。

利用者の状況に応じて柔軟にサービスを組み合わせることで、自宅で自立した生活を送りながら必要な介護を受けることができます。また、家族などの介護負担を軽減することにもつながります。

同居の家族が忙しく介護との両立が難しい方、住み慣れた自宅で暮らしたい方、顔なじみの職員から多様なサービスを受けたい方はぜひ、小規模多機能型居宅介護をご検討ください。

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