高齢社会も進み、介護が必要な方は多く増えました。介護が必要になった場合は介護認定を受ける必要があります。
介護認定を受けることで、どの程度の介護支援が必要なのか区分分けをして、その区分によって支援を利用することができます。また、介護の身体的、精神的、経済的な負担を減らすことが可能です。
この記事では介護認定を受けるための重要な審査会「介護認定審査会」について解説をしていきます。介護認定審査会の目的や流れ、ポイントについても解説をしているので、ぜひ参考にしてみてください。
目次
介護認定審査会とは介護認定を受けるための重要な審査会です。以下では、介護認定審査会の概要や目的について解説をしていますので、ぜひ参考にしてみてください。
介護認定審査会とは、市町村の付属機関として設置されていて、要介護者等の保健、医療、福祉に関する学識経験者によって構成される合議体です。複数の市町村が共同で設置をおこなうことも可能です。委員は市町村が任命する非常勤の特別職の地方公務員であり、任期は2年で再任をおこなうことも可能です。
ただし、委員には守秘義務が課せられます。介護認定審査委員会の構成や議決方法は、以下のようになっています。
- 委員の互選により長をおく
- 委員の定数は5人を標準として、市町村が条例で定める数とする
- 委員の過半数が出席しなければ、審議の開催や議決はできない
- 議事は出席した委員の過半数を持って決し、可否同数の場合は長が決する
要介護認定の結果は介護を受ける人のサービスを決定することになるため、実情に応じて公正公平に判定しなければなりません。そのため、審査は一次判定と二次判定の二段階でおこなわれます。
介護認定審査会は二次判定をおこなう機関で、複数の専門家によって構成されます。一次判定は機械的におこなわれますが、二次判定では専門的な知見から正確な判定をすることを目指しています。介護認定審査会の会議によって一次判定の結果を変更することもあります。
介護認定審査会の構成メンバーは保健・医療・福祉の学識有識者から成り立ちます。
委員は、各市町村長から任命されます。委員は関係団体から推薦された方を任命することが多い傾向で、任命後は特別職で非常勤の地方公務員となります。任期は2年で再任も可能です。メンバーの人数は5人を標準とされていて、各市町村の条例で定められています。
保健・医療・福祉の学識有識者に該当する職種は以下の職種になります。
- 保健:保健師や看護師
- 医療:医師や歯科医師、薬剤師
- 福祉:社会福祉士や介護福祉士、介護支援専門員
会長は委員の中から互選によって選ばれます。会長が招集する介護認定審査会は原則非公開でおこなわれ、委員には守秘義務が課せられます。また、公正公平な判定をおこなうため個人の特定ができる情報は削除されます。
審査の結果は出席した委員の過半数により決定、同数の場合は会長の意見で決定となります。そのため、会長や過半数の委員が欠席した場合は、会議は成立しません。他にも各分野の委員が欠席している場合も開催しないことが望ましいです。
会議では必要に応じて、審査対象者の家族や介護者、主治医、調査員などの話を聞くこともあります。また、審査対象者が入所や入所している施設に所属する方が委員のメンバーにいた場合は意見を述べることができますが判定に加わることはできません。
介護認定審査会の役割は介護保険サービスを利用しようとしている方に対して、介護に必要な度合いを審査、判定する機関です。
一方、介護保険審査会の役割は、保険者である市町村区がおこなった介護保険における保健給付及び要介護認定などに関する行政処分に対する不服申立の審理、裁決をおこなう、第三者機関として各都道府県に設置されています。介護保険審査会は地方自治法上の附属機関となります。
介護保険審査会の委員は都道府県知事が任命します。
被保険者を代表する委員3人、市町村を代表する委員3人、公益を代表する委員3人以上で構成されて、人数は各都道府県の条例で定められています。会長は公益を代表する委員から選出されます。任期は3年で介護認定審査会の任期よりも長いです。しかし、再任可能なところはどちらも変わりません。
介護保険サービスを利用するためには、要介護認定を受ける必要があります。まずは市町村の窓口に要介護認定の申請をします。その後に市町村から主治医意見書の作成依頼と市町村の職員が自宅を訪問し聞き取りをおこなう訪問調査がおこなわれます。
この調査は一次判定から二次判定と進み結果通知に進みます。以下では、判定から結果通知までを解説をしていきます。
一次判定では、客観的で公平な判断がおこなわれるようにコンピューターで判断をおこないます。厚生労働省が作成した要介護認定ソフトを利用し、申請者の要介護認定等基準時間を分析して、算出される要介護認定等基準時間が長くなればなるほど、要介護度が重いと判定されます。
二次判定では、一次判定の結果と主治医意見書の内容をもとに介護認定審査会で要支援・要介護の認定を判定します。介護認定審査会は、保険・医療・福祉の学識有識者5名ほどのメンバーで構成されます。
二次判定のチェック事項に使われるものは以下になります。
- 訪問調査で記入した調査票の特記事項
- 主治医意見書
- 状態像の例
結果の通知は申請日から30日以内に利用者へ通知がおこなわれます。認定通知が遅れる場合は、利用者あてに見込期間と遅れる理由が通知されます。
認定結果は非該当の要支援1・2と要介護1〜5のいずれかで判定され、要介護度が明記された結果通知書と被保険者証が利用者に届きます。認定が非該当と判定されて介護保険サービスが受けられない人や想定よりも要介護度が低く判定される場合もあります。その場合は不服申立てをおこなうことも可能です。
不服申立ては都道府県に設置されている介護保険審査会に結果通知を受け取った日の翌日から3ヵ月以内に申立をおこなうようにする必要があります。
要介護認定の結果を最終的に判断するのが介護認定審査会です。認定調査では原則として1回30分から60分までで、おこなわれるため調査員が重視するポイントを押さえて現状を話すことが重要です。
以下では、重要なポイントについて解説をしていますので、ぜひ参考にしてみてください。
基本調査項目の定義に照らして、選択された調査結果が特記事項や主治医意見書と整合性が取れているかの確認をおこない、必要があれば修正をしなければなりません。
介護の手間の多少を議論し、一次判定を変更する場合は、特記事項・主事意見書の具体的記載を変更理由として、事務局に報告し、状態の維持や改善可能性にかかる審査判定がおこなわれます。
要介護1の要介護認定等基準時間は同じだが、認知症の有無や直近で悪化する可能性があるかなどで、要支援2と要介護1の区分に差が出る場合があります。その他、添付された意見や特記事項などで精査し、委員の専門性や経験によって合議がおこなわれます。
例えば、一人歩きについて1日に1回あるのか、毎日あるのか、同じ一人歩きにしても頻度によって判断が違う場合もあります。
要介護認定の結果を最終判断するのは介護認定審査会ですが、その結果に対する責任は市町村が負っています。要介護認定の結果に不満がある時は、まず市町村に相談をしましょう。それでも納得がいかない時は介護保険審査会に対して不服申立ができます。
審査の結果が不当と結論づけられた場合は、認定が取り消されて調査が改めておこなわれます。しかし、新たな要介護度が出るまでには申請から数ヵ月かかることもあるので注意が必要です。別の方法では、区分変更申請をおこなうことも可能です。
区分変更申請は、認定を受けている要介護度の有効期間中に状態や環境の変化に伴い、介護度を変更するためにおこなわれます。要介護認定の結果が実情と合っていないと感じた場合には区分変更を活用することも大切です。
要介護認定の結果を最終的に判断するのが介護認定審査会です。認定調査では、介護を受ける人がいれば受けることはできますが、正しい情報を伝えることは難しいです。
しかし、認定調査員が自宅に来るとなると質問に対してよく見せるための回答をしてしまうことも珍しくありません。限られた時間の中で、情報を伝えることは難しいのです。普段から行動記録のメモなどを取るようにして、伝えるのが難しいと感じたらメモなどをみてもらうことも大切です。