最近では24時間介護付き老人ホームだったり、多様なレクリエーション設備が完備されていたり、様々な特徴の施設がありますが、老人ホームに入居する際には保証人が必要なことはご存じでしょうか。老人ホームに入居する際に条件として保証人が必要になることは少なくありません。
保証人は緊急時の対応や経済的な保証以外にも判断能力低下時における意思決定の代理、もしもの時の身柄や遺留金品の引受といった役割も多くあります。住み慣れた自宅でずっと暮らしたいという方も多いです。老人ホームは、急な入居は難しいため、周囲の協力が必要です。
いざ、老人ホームに入居をされる際に困らないように保証人について、今のうちから準備しておくことも大切です。この記事では保証人の役割やよくある疑問について詳しく解説をしています。気になる方は、ぜひ参考にしてみてください。
目次
公益社団法人全国有料老人ホーム協会の調査によると約9割の老人ホームが入居するときに保証人が必要と回答しています。多くの老人ホームが入居時に保証人を必要とする理由は以下の3つです。
- 費用の支払いが困難になった時に経済的な保証が必要なため
- 判断能力が低下してケアや治療方針などについて、意志の確認が困難になる可能性があるため
- 定期的な報告や緊急時・死亡時に連絡が必要なため
以上の理由から老人ホームの利用には、保証人が必要になります。
老人ホームの入居時の保証人には連帯保証人と身元引受人の2種類があります。この保証人の2種類は明確に区別をされていない施設もありますが、2つの保証人の違いについて以下で解説をしています。ぜひ、参考にしてみてください。
保証人には身元引受人と連帯保証人の2種類があり、それぞれ役割が違います。2つの保証人の違いについては、以下で詳しく解説しています。
身元引受人の役割は主に利用者が亡くなった際に、身元を引き取り、施設や病院を退去する際の費用の清算や手続き、荷物の引き取りなどをおこなうこととされています。
利用者が高齢である場合は、認知症などの判断力の低下や身体の衰えにより、老人ホームでの生活に支障が生じた場合や病気の治療や介護の方針等を決める場合に、本人の意思を尊重して対応する役割を求められることもあります。
連帯保証人の役割は、金銭管理に関して利用者と連帯して負担するという非常に重い責任が課せられます。
老人ホームとしては、利用者が何らかの事情により家賃などの施設費用の支払いができなくなった場合に、代わりに支払ってもらえる存在を確保しておくためです。
身元引受人や連帯保証人には主に5つの役割があります。以下では、5つの役割について詳しく解説をしています。ぜひ、参考にしてみてください。
病院で治療を受ける際の治療方針や老人ホームにおけるケアプランの判断などは、本来であれば利用者本人がおこなうものですが、認知症により判断能力が低下している場合には、利用者本人に代わり意思決定をおこないます。
入居・退院の手続きや支払いのための銀行の手続き、年金や保険などに関する行政関係の手続きなどを本人に代わっておこないます。
怪我や事故が起こった時に、容態の急変で緊急搬送された時などの緊急時に連絡が入ります。保証人が遠方にいる場合には、到着するまでは老人ホームのスタッフが付き添い対応します。
月額利用料の支払いなどが払えずに滞った場合は、保証人が債務を負うことになります。
利用者が退去することになった際、あるいは亡くなった時に身柄を引き取ります。退去時の手続きや私物、遺留品の引き取り、未払い分の清算、居室の原状復帰などもおこないます。
全ての役割を負うものとして連帯保証人や身元引受人を1名ずつ立てることも多いです。しかし、老人ホームによっては連帯保証人、身元引受人を合わせて身元保証人として1人を選定する場合もあります。
入居契約時に決定した保証人は後から変更も可能です。その際は、新しい保証人に関する書類を提出し改めて保証人契約をすることになります。
保証人が死亡した場合など、その役割を果たすことが難しくなった時は、速やかにその旨を老人ホーム側に伝えて、新しい保証人を立てる必要があります。
保証人になるためには条件が決まっている老人ホームもあります。例えば、契約時に資産や収入を証明するための資料を提示をしたり、保証人として相応しいか否かを審査される場合もあります。
原則としては、家族や親族であることを求められるケースもあれば、施設側の条件を満たせば、家族以外の友人や知人でも問題ないという施設もあります。
しかし、高齢者の配偶者や兄弟は年を重ねると役割を果たせなくなる恐れもあるので、保証人として認められない場合もあるので注意が必要です。
老人ホームに入居を考えているが、保証人がいなくて困っている方も多くいます。以下では、保証人がいない場合の対策を3つ紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。
身元保証人がいないという方は代理保証会社のサービスを利用することで保証人を立てることも可能です。サービスの内容としては老人ホームの入居時の身元保証人の他に、希望によっては入居手続きや引越しのサポート、入居後も買い物や通院の付き添いなどの日常生活の支援をおこなっている会社もあります。
数としては少ないですが、保証人不要の老人ホームを選択することが簡単です。それ以外にも「保証人相談可」としている施設もあり、保証会社の紹介や成年後見制度のサポートなどをしてくれる施設もあります。保証人が立てられないからと入居を諦める前に、施設側に相談してみることも大切です。
成年後見制度とは、本人の生活に配慮しながら財産管理や契約などの法律行為をおこなう人をいいます。成年後見人がいれば、老人ホームとの契約や入居後の支払いの管理などをしっかりおこなってもらえるので施設側も安心して受け入れてくれます。ホームによっては成年後見人がいれば入居できるケースもあります。
老人ホームに入居する際に保証人についての質問は多くあります。以下では、特に質問の多いものを詳しく解説をしています。ぜひ、参考にしてみてください。
一般的には、年収がわかる収入証明の書類を提出することが必要なので、無職の方はなれない可能性が高いです。
よくあるトラブルは入浴回数や金銭面など契約内容とサービス内容に相違があるという「契約内容のトラブル」、施設内での怪我などの「事故のトラブル」もあり、この2つが保証人に関わることです。
条件に合う友人や知人を勝手に保証人にするのは絶対にしてはいけません。金銭関係や契約関係のトラブル、怪我や事故の対応など、様々なトラブルの原因になります。保証会社探しや成年後見制度の申し込みは少々大変ですが、後でトラブルが起きないようにしっかり手続きをおこなうことが大切です。
将来の終の住処となるかもしれない老人ホームですが、どこの施設を選ぶか以上に、保証人を誰に頼むかも重要なポイントです。保証人は金銭面の連帯保証や意思決定の代理をおこなう重要な役割があり、利用者が保証人を勝手に決めてしまうと大きなトラブルにも繋がりますので、保証人がいない場合は保険会社や成年後見制度を活用しましょう。
保証人は老人ホームに入居する利用者が安心して暮らすために必ず必要になります。保証人がいない方は、市の地域包括支援センターへ相談をおこない、最適な方法を一緒に考えることも大切です。