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地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護とは|サービス内容や条件を解説!

2024-11-01

元山 ゆず香

監修者

介護福祉士

元山 ゆず香

大学を卒業後、特別養護老人ホームにて現場業務に従事。その後、福祉系大手企業に入社し、エリアマネージャーとして、施設介護事業・居宅介護事業・障害福祉サービス事業でのエリアマネジメント・行政対応を経験。また、法人本部に異動し教育部門・監査担当部門の部長を歴任。現在は全国の介護・障害福祉事業所の支援やセミナーの開催、DXO株式会社での介護関連事業の支援などを実施。

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高齢化が進み、在宅での生活が困難になる高齢者も増えています。そのため、特別養護老人ホームの人気は高く、多くの高齢者が入居待ちをする状況が続いています。

ただ、特別養護老人ホームのような大規模施設における大人数での生活に馴染みにくいという高齢者も数多くいます。必要な介護サービスを受けつつ、小規模で地域に根差した暮らしの場として、地域密着型介護老人福祉施設という選択肢が注目されています。

今回の記事では、地域密着型サービスのひとつ、地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護について解説します。

目次

地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護とは

地域未着型介護老人福祉施設は、2006年の介護保険制度改正によって地域密着型サービスのひとつとして創設されました。地域密着型特別養護老人ホームとも呼ばれます。それ以降、施設数を増やし続け、令和4年時点で、全国に2,502施設がサービスを提供しています。

参考:厚生労働省「令和4年介護サービス施設・事業所調査の概況

地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護の定員は1施設29人

地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護は、特別養護老人ホーム同様、介護保険制度に位置付けられた公的施設のひとつです。住み慣れた地域の中で、要介護の高齢者が少人数の暮らしの中で継続的な介護を受けながら生活することができる場所です。

1施設あたり最大29名という入所定員なので、特別養護老人ホームと比べて少人数です。少人数で個別性の高いケアが実施されることが最大の特徴です。

地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護の対象者

地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護の対象者は以下の条件に当てはまる方です。

認定を受けている方

地域密着型介護老人福祉施設の入所対象者は特別養護老人ホームと同じで、原則、要介護3・4・5の認定を受けた高齢者です。

要介護1~2の方が利用できる特例条件

要介護1・2の認定でも事情によっては特例で入所することも可能です。具体的には以下のような状況にあり、在宅で生活することが困難な高齢者が特例入所の対象となります。

  • 認知症であり、日常生活に支障を来すような症状・行動や意思疎通の困難さ等が頻繁に見られる
  • 知的障害、精神障害等であり、日常生活に支障を来すような症状・行動や意思疎通の困難さ等が頻繁に見られる
  • 家族等による深刻な虐待が疑われること等により、心身の安全・安心の確保が困難

要支援の方は利用不可

要介護1・2の方は特例入所が認められますが、要支援認定の方は利用することができません。

介護度別に入所者の割合を見ると、最も多いのは要介護4で入所者全体の40.8%を占めています。入所者の平均要介護度は3.98であり、この割合は特別養護老人ホームとほぼ変わりません。

特別養護老人ホームと違うのは、施設所在地に住んでいる高齢者のみが入所対象になるという点です。広域的に入所者を受け入れる特別養護老人ホームと違い、地域密着型サービスなので、サービスを提供する市町村に住んでいる高齢者以外は利用することができません。

参考:厚生労働省「社会保障審議会介護給付費分科会(第221回)

地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護のサービス内容

地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護では、入所者に対して以下のようなサービスが提供されます。

  1. 日常生活支援
  2. 医療ケア
  3. リハビリテーション
  4. 認知症ケア
  5. 社会的・心理的支援
  6. 家族との連携

地域密着型介護老人福祉施設は少人数できめ細かなケアができることや、地域との深いつながりを重視した暮らしができるという特徴があります。

地域密着型介護老人福祉施設と特別養護老人ホームの違いは定員と入居対象

地域密着型介護老人福祉施設と特別養護老人ホーム、どちらも自宅での介護が困難になった要介護高齢者の生活施設ですが、両者にはいくつかの違いがあります。

地域密着型介護老人福祉施設と特別養護老人ホームの違いを表にまとめています。

地域密着型介護老人福祉施設特別養護老人ホーム
規模少人数(定員最大29名)大規模(定員30人以上)
入居条件施設の所在地域の住民に限定(地域密着型)地域に関わらず入居可能(広域型)
指定・指導市町村都道府県

地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護の2つの施設形態

地域密着型介護老人福祉施設には2つの施設形態があります。

  • 単独型
  • サテライト型

施設形態について、ひとつずつ特徴を解説します。

1.単独型

単独型は地域密着型介護老人福祉施設が単独で運営する施設形態です。本体施設などと連携するのではなく、自施設単独で運営する一般的な形態です。最大29名定員という少人数のメリットを活かし、アットホームできめ細かいケアを提供します。

2.サテライト型

サテライト型は本体施設と連携して運営される小規模な施設です。広域型特別養護老人ホームなどが本体施設として近隣に存在し、職員が連携しながら対応します。そのため、サテライト型施設は人員配置基準が緩和されています。

地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護の居室タイプは4種類

地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護の居室タイプは4種類あります。ひとつずつ解説します。

  • 多床室
  • 従来型個室
  • ユニット型個室
  • ユニット型個室的多床室

居室のタイプによって、それぞれのメリット・デメリットがあります。生活スタイルや経済状況などを含めて、どのタイプが適しているか検討することが必要です。

地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護の人員基準

特別養護老人ホームに比べると規模は小さいといえども、利用者の生活を24時間365日支えるためには多くの専門職が必要です。介護保険制度上で設定されている人員基準を職種ごとに解説します。

管理者:常勤専従

地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護には管理者が必要です。管理者は施設の運営全般の責任を担います。管理者は1名、勤務形態は常勤専従とされています。

管理者は施設全体の安全性や効率性などを保ちつつ、運営基準などの規則を遵守し、入居者が安心して生活できる環境を提供します。施設職員や地域の様々な関係機関との連携が求められます。

管理者の資格要件

管理者の資格要件としては、設置する市町村のルールによって定められます。主に以下の有資格者が任命されることが多いです。

  • 社会福祉士
  • 精神保健福祉士
  • 社会福祉主事任用資格
  • 社会福祉施設長資格認定講習課程修了者

または、これらと同等の幅広い知識や経験を有する者として、適切な人物が管理者として施設の運営をおこないます。

看護・介護職員:利用者3人ごとに1人

入所者のケアをおこなう看護職員・介護職員の配置も規定があります。

  • 看護職員
    人員は常勤1名以上の配置が必要で、うち1名は常勤でなければいけません。ただし、サテライト型施設の場合は、非常勤でも常勤換算で1名以上の配置があれば非常勤職員のみの配置でも認められます。
  • 介護職員
    介護職員1名以上は常勤であることが決められています。
    介護職員の総数としての決まりはありませんが、入所者の人数に応じた看護職員・介護職員の総数に決まりがあります。入所者の人数を3名としたとき、看護職員・介護職員の総数は常勤換算で1名以上が必要です。3の端数を超えるたびに1名が必要になるため、利用者が29名の施設であれば、看護職員・介護職員で合計10名以上の職員配置が必要となります。

看護職員の資格要件

看護職員は、看護師または准看護師の資格保有者に限定されます。

介護職員の資格要件

介護職員としては、介護福祉士・介護職員初任者研修・実務者研修・認知症介護基礎研修などの有資格者が配置されます。

生活相談員:常勤1人以上

地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護では生活相談員の配置が必要です。生活相談員はコーディネーター役として、地域の医療機関や相談機関、または家族と施設との間の橋渡しをおこなう重要な存在です。地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護の運営基準では常勤で1名以上の配置と定められています。

ただし、サテライト型では生活相談員の配置基準が緩和されます。サテライト型施設に生活相談員を配置していなくても、本体施設の生活相談員が対応可能であれば配置が免除されます。

生活相談員の資格要件

生活相談員には資格要件があります。設置する自治体によって資格要件が異なりますが、以下のような資格保有者が資格要件となる場合が多いです。

  • 社会福祉士
  • 精神保健福祉士
  • 社会福祉主事
  • 介護福祉士
  • 介護支援専門員

生活相談員は施設内外の連絡調整をおこなう窓口ともなることから、幅広い知識や調整力、課題解決能力などが求められます。

機能訓練指導員:1人以上

地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護では機能訓練指導員の配置も必須です。入所者の運動機能の維持や改善を図り、自立支援を目指すため、訓練を計画・実施するのが機能訓練指導員の役割です。

地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護では、機能訓練指導員1名以上の配置が必要です。ただし、サテライト施設では本体施設の機能訓練指導員が対応できれば配置が免除されます。

機能訓練指導員の資格要件

機能訓練指導員の資格要件としては、以下のいずれかの有資格者となります。

  • 理学療法士
  • 作業療法士
  • 言語聴覚士
  • 看護職員
  • 柔道整復師またはあん摩マッサージ指圧師

ケアマネジャー(介護支援専門員):常勤専従で1人以上

地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護では介護支援専門員(ケアマネジャー)の配置も必要です。

ケアマネジャーは入所者個々の介護計画(ケアプラン)を作成・管理し、各専門職や関係機関と連携しながら目標達成を目指します。また、適切なサービスが提供されているか評価し、再アセスメントしながら、最適なケアが提供されるよう働きかけます。

常勤専従1名以上の配置が必要ですが、2人目以降は非常勤の配置が可能です。サテライト型施設の場合は配置基準が緩和され、本体施設のケアマネジャーが対応することで配置が不要になる場合があります。資格要件としては介護支援専門員資格が必要です。

栄養士:1人以上

地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護には栄養士も配置されます。入所者の栄養管理をおこない、健康状態や個別の食事ニーズに応じて、バランスの取れた食事計画を立案、実施します。

栄養士は1名以上の配置が義務付けられます。ただし、サテライト施設では本体施設の栄養士が対応可能な場合、配置が不要になります。

地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護のメリット3つ

地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護のメリットは3つです。

  • コミュニケーションがとりやすい
  • 家族が面会しやすい
  • 住み慣れた地域で過ごせる

1.コミュニケーションがとりやすい

地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護の最大の特色は少人数制であることです。定員最大29名と小規模なので、職員は入所者ひとりひとりに対し、きめ細やかなケアが可能です。

入所者同士の関係性も近くなりやすく、家庭的な雰囲気が生まれます。職員との信頼関係も深まり、多様で個別的なニーズにも対応できます。

2.家族が面会しやすい

施設が入所者の住み慣れた地域内にあるため、家族の負担が少なく、頻繁に面会することが可能です。入所者は家族との関係を維持しやすく、精神的な安定材料になります。

また、面会の頻度も増えることにより、家族は入所者の変化にも気づきやすくなり、職員と気軽に相談できる利点があります。職員側としても、入所者のまだ知らない一面などを家族から教えてもらいながら、より質の高いケアにつなげていくことができます。

3.住み慣れた地域で過ごせる

地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護であれば、入所者は、長年生活してきた地域で過ごすことができます。慣れ親しんだ地域の風景や人々との交流が続けられることで、安心感と安定感が得られます。

地域のイベントに参加することや、よく知った場所への外出などを通して、これまでの暮らしからの連続性のある環境で暮らすことができます。また、地域の医療機関や相談機関との連携もスムーズにおこなわれるため、入所者の生活支援が円滑に進められます。

地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護のデメリット2つ

地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護のデメリットは以下の2点です。

  • 施設と同じ市町村に住民票が必要
  • 施設整備が市町村によって差が大きい

1.施設と同じ市町村に住民票が必要なため手続きが大変

地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護は地域密着型サービスであり、基本的に同一市町村内の住民しか利用できません。入所するにはその市町村に住民票が必要です。

そのため、別地域から移住する場合は住民票の異動手続きが必要です。仮に住民票を異動するとしても、時間と手間がかかります。

2.施設整備が市町村によって差が大きい

地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護は地域密着型サービスなので、市町村ごとに整備数を設定するため、施設数の格差が大きいです。

市町村の予算や方針により、施設の整備状況には大きな差が出ます。地域密着型介護老人福祉施設がない地域もあります。施設の配置があったとしても、少人数の施設なので待機をしてもなかなか空きが出ない場合も多く、入所待ちの期間が長くなる地域もあります。このように施設の整備状況が市町村によって大きく異なることは大きな課題です。

地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護のメリットとデメリットは以下の通りです。

メリットデメリット
コミュニケーションがとりやすい住民票の制約があるため入所の手続きが複雑
家族が面会しやすい施設整備の格差が市町村ごとに大きい
住み慣れた地域で過ごせる

地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護でかかる費用

地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護も特別養護老人ホームと同様、介護保険の対象となる施設サービス費と、介護保険対象外の居住費・食費に分けられます。

施設サービス費|居室タイプ・要介護度で決定

要介護度が高いほど、介護にかかる手間が大きいと判断されるため、施設サービス費の費用が大きくなります。また、居室タイプがユニット型個室の場合、多床室よりもサービス費が高くなります。

基本的な施設サービス費以外にも施設の人員体制やリハビリの実施状況によって加算というオプションが発生します。質の高いケアをおこなう施設ほど、加算が多くなり、追加費用が発生する傾向があります。

施設の体制によっては料金が高額になる場合もありますが、介護保険が適用されるので介護付き有料老人ホームなどの民間施設よりも費用負担が少なくなるのは大きな魅力です。

居住費・食費|居室タイプ・施設ごとで異なる

居住費や食費は介護保険対象外の金額で、施設ごとに独自に設定されます。居住費はいわゆる部屋代(ホテルコスト)です。個室やユニット型個室の場合は多床室に比べて金額が高額になります。食事代は施設によって提供される食事の内容などによっても異なります。

居住費と食費に関しては基本は全額自費ですが、条件に該当すれば減免が適用されます。所得や貯蓄が一定の基準を満たせば、市町村に申請することで負担限度額認定証が発行されます。所得に応じて限度額が段階的に設定されており、限度額以上の支払いは免除されます。

地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護で地元で安心できる生活を!

地域に密着し、入所定員最大29名という少人数の暮らしは、特別養護老人ホームとは異なった魅力にあふれています。これまでの一般的なイメージの介護施設とは異なり、より家庭的で密な人間関係が基本となります。地域との関係性を継続しながら、地元で安心できる生活を送ることができます。

在宅での生活が困難になった場合の選択肢のひとつとして、地域密着型介護老人福祉施設生活介護はますます有力な選択肢になっていくことでしょう。

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