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令和5年!いまさら聞けない地域包括ケアシステムとは?

2023-11-01

元山 ゆず香

監修者

介護福祉士

元山 ゆず香

大学を卒業後、特別養護老人ホームにて現場業務に従事。その後、福祉系大手企業に入社し、エリアマネージャーとして、施設介護事業・居宅介護事業・障害福祉サービス事業でのエリアマネジメント・行政対応を経験。また、法人本部に異動し教育部門・監査担当部門の部長を歴任。現在は全国の介護・障害福祉事業所の支援やセミナーの開催、DXO株式会社での介護関連事業の支援などを実施。

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地域包括ケアシステムは、​​介護保険制度において重要なキーワードのひとつです。しかし、地域包括ケアシステムのことを完全に理解していない方も多いのではないでしょうか。地域包括ケアシステムがわかると、日本の介護業界が今後どのように変化していくのか予測できるでしょう。

この記事では、地域包括ケアシステムについて徹底的に解説します。この記事を読むことで、日本の介護業界が抱える問題点や、今後予測される介護報酬改定の傾向まで理解できます。

地域包括ケアシステムの概要

地域包括ケアシステムとは、医療、介護、住まい、生活支援、介護予防を一体化し、各地域の特性に応じて高齢者に適切なサービスを提供するシステムのことです。

特に、急速な高齢化と認知症高齢者の増加を背景に、重度な要介護状態でも住み慣れた地域で自分らしい生活を続けられる地域環境が求められています。

また、地域の人口動態や医療・介護資源の地域差を考慮し、多様な関係者と協働して地域全体を支え合う体制を築くことも重要なポイントです。

一つの制度の枠内にとどまらず、高齢者が安心して生活できる地域環境を実現するため、地域包括ケアシステムが必要とされています。

地域包括ケアシステム構築の背景

地域包括ケアシステムの構築が急がれている背景には、急速に進行する「高齢化社会」という問題があります。

2025年には、75歳以上の高齢者が約2,000万人以上に増加すると予測されており、従来の社会保障制度を維持できなくなる可能性も示唆されてきました。

特に、高齢者世帯における認知症高齢者の増加が見られ、在宅での手厚い介護サービスを必要とする方が増加することも予測されます。また、2025年に75歳を迎える「団塊の世代」の存在も、地域包括ケアシステムの構築を急がせている要因のひとつです。

国の社会保障制度だけに頼るのではなく、社会全体で地域の高齢者を支援する必要性が高くなってきたことが、地域包括ケアシステム構築の背景にあります。

地域包括ケアシステムの目的

厚生労働省の資料「地域包括ケアシステム」によると、地域包括ケアシステムの目的として、以下のように記載されています。

地域包括ケアシステムの目的

○ 団塊の世代が75歳以上となる2025年を目途に、重度な要介護状態となっても住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最後まで続けることができるよう、住まい・医療・介護・予防・生活支援が一体的に提供される地域包括ケアシステムの構築を実現していきます。

○ 今後、認知症高齢者の増加が見込まれることから、認知症高齢者の地域での生活を支えるためにも、地域包括ケアシステムの構築が重要です。

○ 人口が横ばいで75歳以上人口が急増する大都市部、75歳以上人口の増加は緩やかだが人口は減少する町村部等、高齢化の進展状況には大きな地域差が生じています。
地域包括ケアシステムは、保険者である市町村や都道府県が、地域の自主性や主体性に基づき、地域の特性に応じて作り上げていくことが必要です。

引用:厚生労働省「地域包括ケアシステム」

地域包括ケアシステムの目的は、地域ごとに独自の高齢者支援システムを構築することです。具体的には、認知症高齢者増加と各地域の高齢化進展状況の差に対応し、地域の特性に応じた新たなシステム作りが必要とされています。

地域包括ケアシステムの目指すべき姿

地域包括ケアシステムの目指すべき姿は、住み慣れた地域で安心して生活を続けられる社会を築くことにあります。

地域包括ケアシステムを実現することで、個々のニーズに応じた多様な生活サービスが日常生活圏域で適切に提供される状態を目指します。これにより、高齢者が住み慣れた場所で暮らし続けながら、必要に応じて医療や介護等のサービスを利用し、自宅で最期を迎えられる環境を実現できるのです。

しかし、地域の人口動態や医療・介護需要の違い、医療・介護資源の地域差があるため、全ての自治体で統一した形を実現するのは困難といえるでしょう。そのため、自治体と地域の多様な組織が協力し合いながら、その地域独自の地域包括ケアシステムを築き上げなければいけません。

日本各地の地域ごとにさまざまな包括ケアの形を作り、地域に住む高齢者が住み慣れた場所でいきいきと生活することが、地域包括ケアシステムの目指すべき姿です。

地域包括ケアシステムの4つの助

地域包括ケアシステム「4つの助」とは、自助、互助、共助、公助のことで、地域包括ケアシステムの基盤を形成する重要な概念です。

「4つの助」が適切に機能することで、地域包括ケアシステムが実現します。そのため、地域包括ケアシステムを理解するためには、必ず把握しておくべき概念ともいえるでしょう。ここでは、地域包括ケアシステムにおける「4つの助」について解説します。

地域包括ケアシステムにおける自助

地域包括ケアシステムにおける「自助」とは、高齢者が自身の健康管理や介護予防活動に主体的に取り組むことを指しています。

自助の精神は、高齢者が地域で安心して生活を続けるために欠かせない要素であり、地域を支える介護・医療サービスの負担軽減も目的のひとつです。

地域包括ケアシステムの基盤となる自助は、個人の能動的な取り組みを通じて、地域全体のケア体制を支える重要な概念とされています。

地域包括ケアシステムにおける互助

地域包括ケアシステムにおける「互助」とは、家族、親戚、知人などが互いに支え合い、生活課題を解決することを指しています。

特に、人的資源や財源が乏しい地域では、互助が大きな役割を果たします。地域資源が少ない地域では、地域住民のつながりを活かして、生活課題を解決しなければいけない場面も多くなるからです。

一方で、住民同士のつながりが希薄な都市部では、互助に頼るのは現実的ではないことも指摘されています。このように、互助は地域の実情に応じてその役割が変わる特徴も持っています。

地域包括ケアシステムにおける共助

地域包括ケアシステムにおける「共助」とは、介護保険や医療保険サービスなど、制度に基づく相互扶助の仕組みを指しています。

共助の特徴として、一定の保障とサポートが安定的に提供される点が挙げられます。しかし、少子高齢化の進行に伴い、被保険者の数は減少していくため、共助の規模拡大は今後期待できない状況です。

将来的には、地域住民や民間団体主体による自助と互助の重要性が高くなるでしょう。公的な支援である共助だけでなく、自助や互助を組み合わせることが、地域包括ケアシステムの実現に必要不可欠です。

地域包括ケアシステムにおける公助

地域包括ケアシステムにおける「公助」とは、行政が主導する生活保障制度や社会福祉制度を指し、特に生活困窮者の支援を目的としたものです。

公助は税金によって賄われており、その範囲は生活保護だけでなく、人権擁護や虐待対策などの重要な取り組みも含まれています。しかし、少子高齢化や財政状況の悪化を考慮すると、税金を財源とする公助の大規模な拡充は難しいでしょう。

公助は、自助、互助、共助で支援できない方をサポートするためのものであり、地域包括ケアシステムにおいて重要な基盤のひとつです。

地域包括ケアシステム構築に必要な5つの要素

厚生労働省の資料「第1章 地域包括ケアシステムの考え方」によると、地域包括ケアシステムの構築に向けて重要な5つの要素が指摘されています。ここでは、地域包括ケアシステムの構築に向けて取り組むべき5つの要素について解説します。

情報発信と双方向のコミュニケーションを行う

地域包括ケアシステムの構築には、行政からの情報発信と住民からの意見による双方向のコミュニケーションが不可欠です。

まず、行政から今後の方向性を住民に提示します。介護保険制度の内容や地域の福祉計画など、各自治体が目指す方向性を繰り返し伝えることが重要です。

次に、行政からの情報に対する住民からのフィードバックを受け取り、今後のシステム構築に活用します。

このような双方向のコミュニケーションを繰り返すことが、地域包括ケアシステムの構築に必要な要素のひとつです。

地域の目指す姿について合意形成を行う

地域包括ケアシステムを構築するためには、住民一人ひとりの積極的な参画が必要であり、行政と住民との合意形成が必要不可欠です。

合意形成を促進するためには、地域ケア会議などの定例会議から発生する「個人の具体的なニーズ」を議論の出発点とする必要があります。これにより、地域の課題に対する意見交換が活発化し、少しずつ地域全体で「目指すべき理想的な地域社会」が明確になります。

このプロセスを通じて、「自助」や「互助」の精神が育まれ、地域包括ケアシステムの基盤が築かれるのです。

専門職による支援の基盤整備を行う

地域包括ケアシステムの実現には、専門職による質の高い支援やサービスの提供が不可欠です。そのためには、専門職同士が密接に連携できる基盤整備が重要な要素となります。

具体的には、地域ケア会議などを通じて専門職間の「共通言語」を形成し、連携パスや連携シートなどのツールを活用することが想定されます。これにより、専門職同士の連携が深まり、質の高い支援やサービスを提供できるでしょう。

質の高いサービスを提供できる環境整備は、地域包括ケアシステムの実現に欠かせない要素のひとつです。

不足する支援の把握と解決を目指す場を作る

社会の変化に伴い、高齢者が必要とする支援の内容は絶えず変化するでしょう。地域包括ケアシステムを持続するためには、地域で不足する支援やサービスをタイムリーに把握し、補強し続けることが重要です。

具体的には、地域ケア会議のように多様な関係主体が集まる場で新しいアイデアを出し、具体的な事業化の方法を検討することが求められます。

こうした取り組みを通じて、変化する高齢者のニーズに対して適切に応えることが、地域包括ケアシステムの構築に欠かせない要素のひとつです。

多様な担い手の育成とサービス創出を促す

地域包括ケアシステムでは、最終的に地域住民や高齢者自身が支援の担い手となることも重要とされています。そのため、サポーター養成講座などを通じて住民の知識・技術習得を促し、自立した活動ができる仕組み作りが重要になるでしょう。

さらに、既存の資源を有効活用し、新たな支援・サービスを創出する視点も必要です。医療・介護・福祉の関係者間での連携を強化し、さまざまな角度から課題解決に向けて取り組むことで、新しいサービスを生み出すことも求められています。

2024年介護報酬改定に影響を与える地域包括ケアシステム

2024年の介護報酬改定は、「地域包括ケアシステムのさらなる深化と推進」がテーマです。そのため、次回の介護報酬改定の傾向を把握するうえでも、地域包括ケアシステムへの理解度が重要だといえるでしょう。

具体的には、新たな複合型サービスの創設や介護人材の確保を目的とする施策が検討されています。

2024年介護報酬改定は、地域包括ケアシステム構築において重要とされている「2025年問題」の直前に実施される予定です。そのため、2024年は、地域包括ケアシステムの構築に大きな影響を与える年となるでしょう。

まとめ

この記事では、地域包括ケアシステムについて詳しく解説しました。

急速な高齢化と認知症高齢者の増加により、重度な要介護状態でも、住み慣れた場所で自分らしい生活を続けられる地域作りが求められています。

そのような社会を実現するためには、1つの制度の枠内にとどまらず、広がりを持った包括的なサポート体制を形成しなければいけません。そのようなサポート体制を実現するのが、地域包括ケアシステムです。

2024年の介護報酬改定では、「地域包括ケアシステムのさらなる深化と推進」をテーマとしています。介護報酬改定の傾向を把握するためにも、地域包括ケアシステムの理解が重要です。

これからの事業所運営を安定させるためにも、地域包括ケアシステムについて正しく理解することをおすすめします。

 

参考資料:

厚生労働省「地域包括ケアシステム」

厚生労働省「第222回社会保障審議会介護給付費分科会(web会議)資料」

厚生労働省「第1章 地域包括ケアシステムの考え方」

 

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