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訪問介護事業所開設の手順と注意点!一人でも開業は可能?

2023-08-28

元山 ゆず香

監修者

介護福祉士

元山 ゆず香

大学を卒業後、特別養護老人ホームにて現場業務に従事。その後、福祉系大手企業に入社し、エリアマネージャーとして、施設介護事業・居宅介護事業・障害福祉サービス事業でのエリアマネジメント・行政対応を経験。また、法人本部に異動し教育部門・監査担当部門の部長を歴任。現在は全国の介護・障害福祉事業所の支援やセミナーの開催、DXO株式会社での介護関連事業の支援などを実施。

詳細プロフィール

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介護保険業界以外の方の参入も増えてきている介護事業のM&A。今回は介護に携わったことがない方にも分かりやすくご紹介をしてまいります。

介護保険とは

高齢化の進展に伴い、要介護高齢者の増加、介護期間の長期化など介護ニーズが増大していく中、従来の老人福祉・老人医療制度による対応には限界だという事で、高齢者の介護を社会全体で支え合う仕組み(介護保険)が創設されることとなります。

1997年に介護保険法が成立し、2000年に介護保険法が施行されることとなりました。

厚労省:介護保険制度の概要

自身の親が高齢期となるであろう40歳から介護保険料を負担し、社会全体で高齢者を支えることを目的とされて作られた制度です。

介護保険制度の被保険者(加入者)

介護保険制度の被保険者は、①65歳以上の者(第1号被保険者)、②40~64歳の医療保険加入者(第2号被保険者)となっています。

介護保険サービスは、65歳以上の者は原因を問わず要支援・要介護状態となったときに、40~64歳の者は末期がんや関節リウマチ等の老化による病気が原因で要支援・要介護状態になった場合に、介護保険法により支援を受けることができます。

介護保険サービスは受ける本人の世帯所得により1割から3割の負担で受けることが可能で、残りは介護保険料から支払われることとなります。

介護保険サービスの種類

特別養護老人ホーム

<施設数/利用者数>
施設数:約8,000箇所 / 利用者数:約69万人
<特色>
・ 要介護高齢者のための生活施設。
・ 終の棲家(すみか)であり、低所得者の最後の砦。

通所介護(デイサービス)

<事業所数/利用者数>
事業所数:約24,000箇所 / 利用者数:約160万人
<特色>
・ 自宅から送迎などでデイサービスセンターに通い、機能訓練や食事・入浴等をして日中過ごす。

訪問介護(ホームヘルパー)

<事業所数/利用者数>
事業所数:約33,000箇所 / 利用者数:約145万人
<特色>
・ 訪問介護職員(ホームヘルパー)が利用者のお宅に訪問し、食事や着替えなどの身体介護、
あるいは調理、洗濯などの生活援助を行う。

都道府県・政令市・中核市が指定・監督を行うサービス

市町村が指定・監督を行うサービス











◎居宅介護サービス

○訪問介護(ホームヘルプサービス)
○訪問入浴介護
○訪問看護
○訪問リハビリテーション
○居宅療養管理指導

○特定施設入居者生活介護
○福祉用具貸与
○特定福祉用具販売

○通所介護(デイサービス)
○通所リハビリテーション

○短期入所生活介護(ショートステイ)
○短期入所療養介護

◎施設サービス
○介護老人福祉施設
○介護老人保健施設
○介護療養型医療施設
○介護医療院

◎地域密着型介護サービス
○定期巡回・随時対応型訪問介護看護
○夜間対応型訪問介護
○地域密着型通所介護
○認知症対応型通所介護
○小規模多機能型居宅介護
○認知症対応型共同生活介護(グループホーム)
○地域密着型特定施設入居者生活介護
○地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護
○複合型サービス(看護小規模多機能型居宅介護)

◎居宅介護支援











◎介護予防サービス

○介護予防訪問入浴介護
○介護予防訪問看護
○介護予防訪問リハビリテーション
○介護予防居宅療養管理指導

○介護予防特定施設入居者生活介護
○介護予防福祉用具貸与
○特定介護予防福祉用具販売

○介護予防通所リハビリテーション

○介護予防短期入所生活介護
(ショートステイ)
○介護予防短期入所療養介護

◎地域密着型介護予防サービス
○介護予防認知症対応型通所介護
○介護予防小規模多機能型居宅介護
○介護予防認知症対応型共同生活介護
(グループホーム)

◎介護予防支援

介護報酬(売上)の特徴

介護保険サービスの売上は、介護サービスを提供することによって生まれます。

この介護報酬の特徴として、時代と物価の流れにより『3年に1回見直される』という特徴があります。また、新型コロナウイルス等の影響により、臨時でみなおされるという事も発生します。

介護業界のM&A

昨今の介護業界の人材不足における課題は、この先も解決の目途が立っていません。

そんな中で人員基準や配置基準を満たすために、紹介業者からの人材紹介や派遣会社から派遣を受けたり等、多くの資金を投じてその場その場で必死に解決を図って何とかやりくりしているのが現状だと思います。

紹介業者に人材の紹介を依頼すると、介護福祉士常勤の紹介を受けるのに100万円程度かかることも有り、介護業界では人材不足に対し多額のお金を投じなければならない事態となっています。

このような背景から、100万円程度から事業を譲受できるM&Aは、数名の職員に利用者が存在するという状態で引き継ぐ事が可能であり、昨今注目を集めている人材採用の手法となっています。

買い手側だけでなく、売り手側も廃業手続きは廃業届などの必要書類や費用を準備することから始まり、これらは専門的な要素が多く、書類作成の段階で膨大な作業が発生するため、手続きを弁護士や税理士などに代行してもらうのが一般的です。

清算後は残った資産が債権者に分配され、解散・清算確定申告や清算決算報告書の承認行い、廃業手続きは終了となります。

また、同時に指定申請を廃止させる手続きや、介護・福祉業界ならではの手続きにも専門的な方の知識が必要になることから、『廃業』ではなく事業を存続させる『事業承継』を選択される経営者の方が増えています。

訪問介護事業所は一人でも開業できる?

訪問介護の事業所を開業するためには、人員基準を持たす必要があります。「訪問介護員」「サービス提供責任者」「管理者」を配置する必要があるため、一人で開業をすることはできません。

また、サービス提供責任者と訪問介護員は有資格者である必要があり、簡単に開業することは困難と言えるでしょう。

詳しくはこちらもご参照ください▽▽

訪問介護の開業方法を徹底解説!一人でできる?儲かる?失敗しないためには?など疑問を解消!

開業の手順とつまづく点

訪問介護事業所を開業するために必要な手順は下記の4つです。

①法人格を取得する

介護保険事業は個人事業主では開業ができないので、訪問介護の事業所を開業するには、法人格を得る必要があります。

②事務所と備品を準備する

設備基準を満たすような、事務所や備品を準備する必要があります。

③人員を確保する

訪問介護の事業所を開業するには、訪問介護員、サービス提供責任者、管理者を配置する必要があります。それぞれの基準を満たせるように、人員を確保しなければなりません。

④指定申請を行う

訪問介護の事業所を開業するためには、指定の申請を行い、指定権者から開業の許可を得る必要があります。

指定権者は都道府県や市区町村ですが、各地域によって異なるので事前に開業する地域のホームページで確認するか直接問い合わせてください。開業にあたり満たすべき基準をクリアし、期日通りに申請をします。

申請が受理されると、6年間の事業が認められます。

この手順の内、最も注意が必要なところは『人材確保』です。予定していた人材が予定通り雇用できなければ、当然ながら指定の申請を行う事はできません。

指定の申請は『人材ありき』で行わなければいけないことが最も注意しなければいけないことで、残念ながら『予定していた人材が揃わない』という理由で申請を見合わせることがよくあるのです。

M&Aが開業に注目されている理由

訪問介護事業所の開業にかかる主な4つの費用は下記の通りです。

①法人設立費用
②人件費
③施設費
④備品・車両購入費

1から開業する場合、500万円から1,000万円の資金が必要だと言われています。

これは、開業まで早くても半年程度かかること、この期間も人件費と施設費がかかることが大きな理由です。

一方M&Aによる譲受では、譲受に向けた話し合いと同時に指定の申請が可能です。

M&Aにより予定していた人材が離れるリスクを懸念される方もおられますが、既にご利用者と関係性が築かれている職員と、まだ見ぬご利用者に対する関係性を期待する職員では離れるリスクが大きく異なります。

このような背景から、M&Aによる開業が今大きな注目を集めているのです。

介護事業売却案件の事例

訪問介護は、施設を有さず事務所からご利用者の家に派遣されます。

介護保険事業の中でも比較的安価に開業できるという方もいますが、M&A市場でも施設系の案件と比べると安価での取引が目立ちます。これは、施設費用もですが人材が施設と比べ少ないということもあげられます。

事例

[事業]居宅介護支援・訪問介護・障害訪問系サービス

[売上]単月300万円 利益単月20万円程度

[設備]賃貸10万円

[人員]介護支援専門員:管理者常勤1名・非常勤1名 サービス提供責任者:管理者常勤1名

訪問介護員:常勤3名、非常勤5名

[その他設備]机、椅子、自転車等

M&A問い合わせ先:株式会社DXO 日本介護事業支援センター カイゴフ

介護施設の譲渡について

介護業界に限らず、経営者の高齢化で後継者問題は深刻になっています。

このような中で多くの介護事業経営者が選ぶのは『廃業』であり、ご利用者様と従業員は正式な契約で引き継がれる事はなく、近隣の事業所に引き継がれるというのがこれまでのセオリーでした。

このことからこれまでの業務をはじめとする業務のやり方、給与形態、受けられるサービス内容等が継続出来ずにトラブルに発展するといった事が起きている事例もあります。

介護施設のM&Aにおけるデューデリジェンスの注意点について

介護事業譲受の際に潜むリスク

通常のデューデリジェンスでは、決算書をはじめ経理、人事、労務周り、不動産や紛争関係等の書類を確認しますが、介護事業の場合には、介護保険法及び厚生省令に則った業務運用を行っているかを確認する必要があります。

実際の業務運用書類を確認しなければ、潜在リスクやそのリスク額を把握する事が出来ず、どのようなリスクで、いくらの返還額が想定されるのかを把握しなければ、買収後に大きな損害を受ける可能性も潜んでいます。

介護報酬や加算など業務運営の書類が出せない

そもそもこれらの書類が準備できない場合は、『違反した運営を行っている』という状況です。指定の取り消し等重い処分を受けるリスクが有りますので、買収はこれらを留意して行わなければいけません。

人材に関する書類が出せない

同様に省令での定めがあり、職責ごとにその保有すべき資格が定められており、これを持たない従業員が介護サービスを実施しても介護報酬を得る事は出来ません。しかしながら、不正請求のニュースは絶えず報道されており、不正に報酬を得ているリスクも有りますので、資格に関する書類が適正かを確認する必要があります。

いずれも確認できない場合、買収候補がいたとしても頓挫する原因となるケースです。

介護業界M&Aリスクの回避方法

M&Aを行う際は、仲介会社が仲介を行う事が多くなります。介護の業界理解がない仲介会社ですと、通常のデューデリジェンスのアドバイスはあっても、先述のような介護に特化した書類や加算の確認をされないというご相談をよく伺います。

介護に精通した仲介会社を選び、なにを準備すべきか、なにを確認すべきかアドバイスをもらったうえで交渉にのぞむとよいでしょう。

まとめ

訪問介護事業の開業においては、1から開業する、M&Aを利用するという方法が可能です。どちらにしても私たち個人の納める大切なお金を報酬とする事業ですので、開設にあたってはしっかりとその運用ルールをしり、適切な運営を行っていきましょう。

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