本記事では
令和3年9月6日に実施された社会保障審議会障害者部会の中で議題となった、障害福祉サービス等の質の確保・向上等についてご紹介していきます。
社会保障審議会障害者部会(第117回)資料:障害福祉サービス等の質の確保・向上等について
目次
令和3年9月6日に社会保障審議会が開催されました。
この中では、障害福祉サービス等の質の確保・向上や、制度の持続可能性の確保等についてが議論されています。
特に障害サービスの質の確保・向上においては現状における課題が挙げられ、解決策が議論されており、今後の報酬改定や法改正の足掛かりとなる議論がされています。
社会保障審議会障害者部会(第 117 回):全資料
障害福祉サービス等の利用者が多様化するとともに、障害福祉サービス等を提供する事業者が増加する中で、利用者の個々のニーズに応じた良質なサービスを提供する観点から、事業者が提供する障害福祉サービス等の質の確保・向上を図っていくことが重要だとされ、以下4点について問題提起されています。
・指定基準等によるサービスの質の評価関係
指定基準は、サービスごとに、人員、設備及び運営に関する基準が省令により定められているものであり、その中で、指定事業者はその提供するサービスの質の評価を行い、常にその改善を図らなければならないとされているものの、放課後等デイサービス・児童発達支援については、ガイドラインにより自己評価・保護者評価を行うこととされているが、こうした自己評価等の取組は、一部のサービスに止まっている状況であること。
・障害福祉サービス等報酬によるサービスの質に係る評価関係
今後の障害福祉サービス等報酬の改定の検討等にあたって、ストラクチャー(構造)、プロセス(過程)、アウトカム(結果)の3つの視点を持って、障害福祉サービス等の目的・特性も踏まえつつ、よりプロセス(過程)の視点に基づく報酬の評価を充実させていかなければいけない。
・障害福祉サービス等情報公表制度関係
障害福祉サービス等情報公表制度については、法律上、事業者は、提供する障害福祉サービス等の情報を都道府県等に報告し、都道府県等が当該情報を公表することとされており、都道府県は公表制度に関し、事業者に対する指導監督権限を有している。 しかしながら、この制度の実施状況について、公表登録率については、直近は81.1%(令和3年7月30日現在)となっており、全ての事業者の登録・公表には至っていないということ。
事業者が都道府県に報告し都道府県が公表する内容について、サービスの質の確保・向上に関する公
表項目も含まれているものの、事業者から報告される具体的な内容の記載方法については、事業者による任意となっており、その報告内容についても十分な確認・検証ができているとは言えない状況であり、事業者からの報告内容を適切な記載となっていないことも課題である。
・障害福祉分野におけるデータの整備関係
近年、データに基づいた政策の企画立案が重視される中で、障害福祉分野においては、国が地域の様々な関係データを包括的に収集・調査分析等する仕組みを持ち合わせていないということ。
制度の持続可能性の確保等では、総量規制や支給決定のあり方、ICT化や人材育成や教育についてが議論されています。
・障害福祉分野におけるICT活用等の推進について
障害福祉分野におけるICT活用やロボットの導入による業務効率化や職員の業務負担軽減を図るため、介護分野での状況も踏まえながら、ICT活用等による報酬上の評価や基準の見直し等も含め、具体的なICT活用等の推進方策の検討が必要である。
各種記録や計画の作成、移乗介護等の介護業務、相談支援、自立生活援助等の地域生活を支援する業務
等において、障害特性に応じたICT活用やロボット導入により、業務効率化や職員の業務負担軽減をより推進できるのではないか。こうした業務に係るICT活用やロボット導入効果の定量的な評価(業務量や業務時間の短縮など)について、調査研究を実施することにより検証するのはどうか。
今回は、社会保障審議会障害者部会(第117回)で議題に挙がった議題と、課題と現状についてをご紹介して参りました。
次回は、これら現状と課題の見通しについて現段階で話されていることをご紹介して参ります。