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行動援護従事者になるには?資格の取得方法とお仕事内容について

元山 ゆず香

監修者

介護福祉士

元山 ゆず香

大学を卒業後、特別養護老人ホームにて現場業務に従事。その後、福祉系大手企業に入社し、エリアマネージャーとして、施設介護事業・居宅介護事業・障害福祉サービス事業でのエリアマネジメント・行政対応を経験。また、法人本部に異動し教育部門・監査担当部門の部長を歴任。現在は全国の介護・障害福祉事業所の支援やセミナーの開催、DXO株式会社での介護関連事業の支援などを実施。

詳細プロフィール

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行動援護とは、行動に著しい困難を有する障害のある方が、外出等の行動をする際に生じる危険を回避するために必要な支援、外出先での排せつ、食事、水分補給等の介護のほか、行動する際に必要な援助を行う障害者総合支援法のもとの福祉サービスを言います。
専門の資格を有するヘルパーがこれらのサービスを行い、知的障害や精神障害のある方の社会参加と地域生活を支援しています。

行動援護

対象者

知的障害又は精神障害により行動上著しい困難を有する方等であって常時介護を有する方で、 障害支援区分が区分3以上で、障害支援区分の認定調査項目のうち行動関連項目等(12項目)の合計点数が10点以上(児童にあってはこれに相当する支援の度合)である方が対象です。

サービスの内容

①行動するの危険を回避するために必要な援護
②外出時における移動中の介護
③排せつおよび食事等の介護その他の行動する際に必要な援助
④予防的対応(慣れない場所で不安になり危険な行動にでないよう、あらかじめ目的地での行動等を理解していただく等)
⑤制御的対応(行動障害やパニックを起こしてしまった時の問題行動を適切におさめる支援を行う等)
⑥身体介護的対応(便意・尿意の認識ができない方の支援・介助等)

料金

18歳以上の場合、利用する本人とその配偶者の所得、18歳未満の場合は児童を監護する保護者の属する世帯(住民基本台帳上の世帯)の所得に応じた自己負担の上限月額があり、上限月額よりもサービスに係る費用の1割の金額の方が低い場合には、その金額を支払います。

区分世帯の収入状況負担上限月額
生活保護生活保護受給世帯0円
低所得市町村民税非課税世帯(注1)0円
一般1市町村民税課税世帯(所得割16万円(注2)未満)
※入所施設利用者(20歳以上)、グループホーム利用者を除きます(注3)
9,300円
一般2上記以外

37,200円

  • (注1)3人世帯で障害者基礎年金1級受給の場合、収入が概ね300万円以下の世帯が対象となります。
  • (注2)収入が概ね670万円以下の世帯が対象になります。
  • (注3)入所施設利用者(20歳以上)、グループホーム利用者は、市町村民税課税世帯の場合、「一般2」となります。

参考:厚生労働省 障害者の利用者負担

行動援護従事者になるには

「行動援護」を提供するためには、事業所に以下の資格要件を満たすサービス提供責任者及び従業者
(ヘルパー)を配置することが必要です。

居宅介護や重度訪問介護、同行援護等と資格の要件が異なりますので注意が必要です。特に従業者(ヘルパー)については変更届提出の必要がありませんので、認識相違により『資格要件を満たさないものが支援を提供していた』ということの無いようにしましょう。


1サービス提供責任者の資格要件について

行動援護従業者養成研修課程修了者又は強度行動障害支援者養成研修(基礎及び実践研修)修了者で
あって、知的障がい児者又は精神障がい者の直接支援業務に3年以上(下記表の職種に通算1095日(3年)以上就労、かつ540日以上の介護等の業務に従事)の従事経験を有するもの。

2従業者の資格要件について

行動援護従業者養成研修課程修了者又は強度行動障害支援者養成研修(基礎及び実践研修)修了者で
あって、知的障がい児者又は精神障がい者の直接支援業務に1年以上(下記表の職種に通算365日(1年)以上就労、かつ180日以上の介護等の業務に従事)の従事経験を有するもの。

事業種別(障がい福祉サービス) 職種
療養介護、生活介護、自立訓練(機能訓練)、自立訓練(生活訓練)生活支援員、職業指導員等の介護等を行う業務
就労移行支援、就労継続支援A型、就労継続支援B型、就労定着支援生活支援員、職業指導員等の介護等を行う業務
短期入所、共同生活援助、自立生活援助、施設入所支援生活支援員、職業指導員等の介護等を行う業務
居宅介護、重度訪問介護、同行援護、行動援護、重度障がい者等包括支援、移動支援ホームヘルパー、ガイドヘルパー等の介護等を行う業務
放課後等デイサービス、保育所等訪問支援、日中一時支援保育士、児童指導員等の介護等を行う業務
その他自治体が認めるもの

※注意:自治体により認められる直接業務の範囲が異なる可能性がありますので、必ず詳細は管轄の自治体に確認しましょう。

令和6年3月31日までの経過措置について

令和3年(2021年)3月31日までに下記の要件を満たしていた場合、令和6年3月31日までは経過措置の適用があり、当該業務に従事することができます。ただし、令和6年3月31日で経過措置期間が終了しますので、それまでに行動援護従業者養成研修課程又は強度行動障害支援者養成研修(基礎及び実践研修)を修了する必要があります。

1 サービス提供責任者

居宅介護従業者の要件を満たす者にあっては、知的障がい児者又は精神障がい者の直接支援業務に5年以上(A表の職種に通算1825日(5年)以上就労、かつ900日以上の介護等の業務に従事)の従事経験を有することで足りるものとする。

2 従業者

居宅介護従業者の要件を満たす者であって、知的障がい児者又は精神障がい者の直接支援業務に2年以上(A表の職種に通算730日(2年)以上就労、かつ360日以上の介護等の業務に従事)の従事経験を有するものの場合、当該基準に適合するものとみなす。

行動援護従事者研修を受けるには

行動援護従事者養成研修は、行動障害に関する基本的な知識を学習します。研修期間は3〜4日程度で、介護資格や実務経験のない人でも受講することが可能です。

料金は1万円程度から5万円程度となっており、自治体が主催するものと民間の学校によって値段の差があります。

研修を開催するのは自治体又は自治体が認定を行った学校で、研修修了後には資格証が交付されます。この交付をもって修了が証明されますので、この修了を待たなければ従事することはできません。

また、研修内容・カリキュラムは、実施する自治体やスクールによって異なることがあり、研修内容は年によって変更になる場合があります。

強度行動障害支援者養成研修を受けるには

研修は、同じく民間の資格学校や自治体が主体となって行うもの等があります。

強度行動障害従業者養成研修は、強度行動障害の症状がみられる人の支援に従事するために必要な知識や技術を取得する研修で、厚生労働省から認められている資格です。

参考:静岡県令和5年度強度行動障害支援者養成研修(重度訪問介護従業者養成研修(行動障害支援課程)・行動援護従業者養成研修)の受講者募集について

自治体で行われる研修は、その市町村内で障害者総合支援法又は児童福祉法に規定された知的障害、精神障害のある児者を支援対象にしたサービスを実施する(又は実施する予定の)事業所等の職員のうち、知的障害、精神障害のある児者への支援経験があり、受講決定した研修日程の全てのプログラムに出席可能な者等と受講する条件が定められています。
また、実践研修の受講には、基礎研修の修了が必須となります。今年度基礎研修と実践研修の両方を受講申込することも可能ですが、基礎研修を修了できなかった場合は、実践研修を受講することができません。

行動援護従業者養成研修と強度行動障害従業者養成研修の違い

行動援護従業者養成研修と強度行動障害従業者養成研修はどちらも、行動に何かしらの支援を要する人に対するサービスに携わる人のための研修です。

違いは、実施するサービスの内容が異なることを想定しているというところです。

行動援護従業者養成研修は、居宅型サービスの従事者向けの内容になっており、強度行動障害従業者養成研修は、施設型サービスの従事者向けの内容です。

また、対象者と関わるシーンについても違いがあり、行動援護従業者の場合は、主に外出時や外出する前後のサポートですが、強度行動障害従業者の場合は、日常生活全般においてのサポートが前提です。

サービス内容

行動障害従業者養成研修

居宅系サービス従事者が対象

外出時・外出前後の支援

強度行動障害従業者養成研修

施設系サービス従事者が対象

日常生活のあらゆる場面での支援

仕事内容と給与

利用者の外出を支援するのが行動援護ですので、外出時のサポートというのが仕事の内容です。

支援対象者の個性や状態に応じ、その業務の内容は異なりますが身体介護(排泄、食事介助、水分補給等)、移動・歩行介助等を行うことが多いです。

また外出前後の支度の支援を行う事があるため、更衣介助等も入ってくることが多いです。

給与については、地域や法人により差がありますが1,500円~2,500円が平均となっています。

ただし、求人票に記載がある料金については時給と処遇改善加算が含まれているケースと、時給のみで書かれているケースがありますので、面接時に確認を行いましょう。

同行援護との違い

同行援護は視覚障害がある方が対象になる外出時の支援で、行動援護は行動に配慮が必要な方が対象となる点で違いがあります。

視覚障害がある方は、視力や視野に障害があるため、外出時における標識や歩行時健常者が得る情報を得ることが困難です。この困難を支援するのが同行援護です。

同行援護従事者は、行動援護同様専門の資格を有する必要があり、視覚障害がある方の外出時の支援として必要な代筆、代読、身体介護等の支援を行います。

移動支援との違い

行動援護や同行援護は全国どの市区町村でも同じ基準に基づきサービスが受けられる国基準の支援であるのに対し、移動支援は市町村基準の支援サービスです。

このため、移動支援を受けることが出来る対象者やサービス内容、料金が市町村ごとに異なります。

同行援護が視覚障害のある方の支援を行う事を目的として創設されたサービスなのに対し、移動支援が存在する目的は行動援護と同様で、障害があっても地域で自立した生活を送っていくことを目的としています。

余暇活動などの外出支援が移動支援を通じて行われるため、美術館や図書館へ行く事や、社会通念上必要な冠婚葬祭等の支援も可能です。

また、移動支援に従事できる資格も市町村ごとに異なり、『介護福祉士』のみでは従事できない市町村も存在することに注意が必要です。

まとめ

行動援護は行動面に著しい困難がある障害者に対し専門的な資格を持つヘルパーが支援を行うサービスです。ご本人とっても保護者の方にとっても、日常生活で必要な行動が困難であることの大変さを理解した上で一緒に行動を行ってくれる人がいるということは、大変心強く、ご本人の可能性を大きく広げる希望でもあります。

その分、私たち従事者にはしっかりとその方その方の個性を理解し、安全に支援をすることが強く求められます。

責任が大きいのは確かですが、その分やりがいも大変多い仕事ですので、ぜひ資格の取得と従事を検討してみてはいかがでしょうか。

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