同行援護は視覚障害者等の方々の外出時、支援を行う人が同行し、移動に必要な情報提供や、移動の援護、その他の外出する際に必要となる援助を行うサービスです。
今回は同行援護の具体的なサービス内容、同行援護の対象者、本サービス費用等について解説しましょう。
目次
同行援護は障害者総合支援法に基づき、視覚障害者等の方々の外出する際、同行援護従業者が同行し、移動に必要な情報の提供や移動の援護、その他に外出のとき必要となる援助を行う居宅系サービスです。
本サービスの対象者は、視覚障害のある方々を対象としており、外出先での情報提供・代読・代筆などの支援、身体的な介助の支援が必要な場合はこれらの支援も行います。
参考:厚生労働省
サービス内容は移動に必要な情報の提供、移動の援護・排せつや食事等の介護、その他外出時に必要な援助が該当します。
同行援護のサービス内容は以下の通りです。
①外出時の情報提供
②代筆・代読
③身体介護
④移動支援
この4点について解説していきます。
参考:厚生労働省
視覚障害のある方々の外出時の情報提供は、利用者本人が外出時の行動目的の決定・変更、選択を行う際に、重要な判断材料となります。
その判断に必要となる視覚的な環境情報は、同行援護従業者が的確かつ正確に伝えなければいけません。
例えば商品の購入時にケーキを選択した場合、次の情報を正確に伝えます。
上記のような複数の情報を伝え、利用者本人の選択に寄与しなければいけません。
同行援護の際に提供可能な代筆・代読は、利用者本人の外出のとき必要となる範囲にとどまります。
例えばレストランに待ち時間がある場合、記名台へ利用者の代わりに名前を記入したり(代筆)、レストランの席へ着いてからメニューを読んだり(代読)することが対象です。
代筆は誤字脱字の無いように正確な記入が求められ、同行援護従業者自身の判断で文章を省略しないようにしましょう。
代読の場合は字を間違えて読んだり、意味を取り違えたりしないように注意します。
一方、利用者本人の賃貸借契約、投資等に関する契約行為は同行援護の代筆と言えません。このような契約行為は同行援護従業者の権限外となります。
利用者本人の状況に応じて、必要な身体介護を行えます。
同行援護計画書(個別支援計画)の具体的な援助内容・実施方法に明記された介護を実施しましょう。
例えば、排泄等がうまくできない利用者ならば、同行援護従業者が排泄の際のサポートを行います。
外出の際には安全かつ快適な移動の支援を行います。
当然ながら、移動中において生命の危険となる事態を回避しなければいけません。
なお、現地で集合・解散を行う外出のための移動、同行援護従業者の自家用車に乗車しての外出等は移動支援には該当しないため注意してください。
同行援護のサービスが利用できる人は身体介護を利用する場合、身体介護を利用しない場合とでそれぞれ条件が異なります。
参考:厚生労働省
同行援護アセスメント調査票の調査項目中、視力障害、視野障害、夜盲のいずれかが1点以上、かつ移動障害の点数が1点以上の人が対象です。
身体介護を伴わない場合は、障害支援区分の認定は必要とされません。
同行援護アセスメント調査票の調査項目中、視力障害、視野障害、夜盲のいずれかが1点以上、かつ移動障害の点数が1点以上の人が対象となる他、次のすべての要件に該当しなければいけません。
障害支援区分2以上でかつ下表のいずれかに該当する。
項目 | 内容 |
歩行 | 全面的な支援が必要 |
移乗 | 見守り等の支援が必要で、かつ次のいずれかに該当する
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移動 | 見守り等の支援が必要で、かつ次のいずれかに該当する
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排尿 | 次のいずれかに該当する
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排便 | 次のいずれかに該当する
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同行援護の基本報酬は30分未満184単位〜3時間未満611単位です(2019年10月)。なお、3時間以降は30分を増すごとに63単位加算となります。
ただし、条件を満たしている場合は負担上限額が設定されています。
条件は以下の通りです。
①一般1、2の区分の場合
②減額対象世帯の場合
参考:厚生労働省
一般的な所得の方々の利用者負担は、月ごとに以下のような上限となっています。
区分 | 負担上限額等 |
一般1 |
※概ね収入が600万円以下の世帯が対象。ただし、20歳以上の入所施設利用者、グループホーム利用者で課税世帯ならば「一般2」 |
一般2 |
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生活保護または低所得の場合、負担上限額は0円となります。下表を参考にしてください。
減額対象者世帯の例 | 内容 |
生活保護 |
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低所得 |
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移動が困難な視覚障害者の外出をサポートする同行援護従業者は、誰でもなれるわけではありません。
まずは同行援護従業者養成研修を行い資格取得が求められます。
研修では障害の理解の他、視覚的情報提供や代筆・代読の技術、移動の援護、排泄・食事等の支援に関する知識や技術を習得します。
研修は一般課程・応用課程に分かれ、2〜3日間の講習を実施するケースが多いです。
研修は講義・演習で、特に応用課程では交通機関を利用した移動演習が行われます。
研修の開講日程等は各地方自治体のホームページや窓口で確認が可能です。
参考:東京都福祉保健局
こちらでは同行援護に関するよくある質問について回答していきます。
原則として1日の範囲内での用務が対象となります。次のようなケースが同行援護に該当します。
どんな目的で外出しても同行援護のサービスに該当するわけではありません。
・通勤や通学
・営業活動のような経済活動に係る外出
・通年かつ長期にわたる外出(例:長期の海外旅行等)
・社会通念上適当でない外出(例:賭博場への訪問等)
上記の様な事例は本サービスの対象外です。
同行援護従業者は視覚に障害のある人の外出サポートを担います。
一方、ガイドヘルパーは「移動支援従業者」とも呼ばれ、様々な障害(身体的・知的・視覚・聴覚)のある人の移動サポートを行う人が該当します。
つまり、ガイドヘルパーという専門資格の中の一つに同行援護従業者があるわけです。
そのため、同行援護従業者となるには「同行援護従業者養成研修」を受けますが、ガイドヘルパーの資格を得るには「ガイドヘルパー養成研修(全身性障害課程)」を受けます。
同行援護従業者は、視覚に障害のある人の外出時のサポートを担います。利用者の外出時の安心・安全を支える重要な業務です。
常に細心の注意を払い、時には利用者を和ませつつ、利用者へ快適なサービスが提供できるように心がけましょう。