サービス管理責任者の資格を取得するには、実務経験やさまざまな研修を受講する必要があります。
この記事では、サービス管理責任者の資格の取得方法や必要な要件、研修について解説していきます。
サービス管理責任者の資格取得を考えている方は、ぜひ参考にしてください。
目次
サービス管理責任者になるには、一定の実務経験の要件を満たし、基礎研修と実践研修を受講すれば取得できます。
一定の実務経験とは、相談支援業務や直接支援業務に3〜8年従事することです。
基礎研修を受講し(実務経験年数を満たす予定の2年前から受講が可能)、修了した後にOJTを2年以上経験します。
その間は、サービス管理責任者の一部業務をおこなうことが可能です。
その後、実践研修(過去5年のうち2年以上の相談支援業務または直接支援業務の実務経験が必要)を受講すれば資格が取得できます。資格取得後も、5年に1度は更新研修を受講することが求められます。
サービス管理責任者は、利用者のアセスメントや個別支援計画の作成、サービス提供における管理や職員に対する技術的な助言や指導などの役割があります。
サービスを運営していくうえで責任があり重要な立場になるため、研修を受ける要件で実務経験が必要なのです。
・相談支援業務を5年以上の実務経験
・直接支援業務を8年以上の実務経験(一部対象者は5年以上)
・指定の国家資格を取得してから3年以上の実務経験、かつ相談支援業務や直接支援業務の実務経験
参考:大阪府
これらを満たしていれば、研修が受講できます。
サービス管理責任者の資格を取得するには、段階に合った研修を受けていくことが必要です。
実務経験の要件を満たし、基礎研修から実践研修と受講が修了すれば、資格が取得できます。
ここではそれぞれの研修の詳しい内容を説明します。
基礎研修は、実務経験の要件を満たしてから初めて受講する研修で、実務経験年数を満たす予定の2年前から受講できます。
例えば、直接支援業務従事者は8年以上の実務経験が要件ですが、2年を引くと6年以上からの受講が可能です。
平成31年4月の法改正以前は、児童発達支援管理責任者とサービス管理責任者の研修は別のカリキュラムでしたが、現在は統合されました。
また、改正前は自治体により研修内容も異なっていましたが、現在は統一されています。
研修の内容は以下の通りです。
・障害者の地域支援と相談支援従事者(サービス管理責任者・児童発達支援管理責任者)の役割に関する講義
・障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律及び児童福祉法の概要並びにサービス提供のプロ セスに関する講義
・相談支援におけるケアマネジメント手法に関する講義
・サービス管理責任者の基本姿勢とサービス提供のプロセスに関する講義
・サービス提供プロセスの管理に関する演習
研修は講義と演習に分かれており、合計26時間の研修です。
障害者総合支援法や児童福祉法の概要、マネジメント手法など、サービス提供の基本的なことがらを学んでいきます。
実践研修は、平成31年の法改正で新設された研修です。
基礎研修を修了してから5年以内に、OJTを2年以上経験したうえで受講します。
研修は講義と演習に分かれており、合計15.5時間の研修です。
基礎研修は、法律やサービス提供など基礎的なことを学びますが、実践研修はそれに加え人材育成や地域連携など発展的な内容を学習します。
サービス管理責任者として、実際の業務に必要な知識が身につくでしょう。
実践研修の受講が修了すると「サービス管理責任者」として配置できます。
更新研修も、実践研修と同様に平成31年の法改正で創設された研修です。
改正前は、一度サービス管理責任者の資格を取得するだけで継続して業務につくことができましたが、改正後は5年に一度、更新研修を受講することが必須となりました。
これは、資格取得後の振り返りがなく、質の確保が難しいとの課題が出てきたためです。
更新研修の受講資格は、以下の通りです。
・更新研修受講前の5年間に2年以上のサービス管理責任者等・管理者・相談支援専門員の実務経験がある
・現在、サービス管理責任者等・管理者・相談支援専門員として業務をおこなっている
研修内容は以下の通りです。
・障害福祉の動向に関する講義
・サービス提供の自己検証に関する演習
・サービスの質の向上と人材育成のためのスーパービジョンに関する講義及び演習
講義と演習で、合計13時間学びます。
制度改正後にサービス管理責任者の資格を取得された人は、今後5年ごとの更新研修が必要です。
平成30年度末までにサービス管理責任者を取得した人は、令和5年度末までに更新研修を受講しないと資格を失ってしまうため要注意です。
サービス管理責任者の資格を取得するにあたって、試験はありません。
一定の実務経験と、指定された研修を受講し修了することで資格が取得できます。
基礎研修を受講した後OJTを経験し、実践研修を修了して資格を取得しましょう。
サービス管理責任者になるには、実務経験や研修などで年数が必要です。
最短のルートでは、5年で資格が取得できます。
指定の国家資格を持っている人が、施設や医療機関で相談支援業務や直接支援業務の実務を3年おこない、基礎研修を受講します。
次に2年のOJTを経験しながら、個別支援計画の原案作成をおこなう業務を実施。
その後に実践研修を受講すれば、サービス管理責任者の資格が5年で取得が可能です。
サービス管理責任者の設置が義務付けられている事業所はいろいろあり、就職先としては、主に障害福祉サービスを実施している施設や事業所があります。
介護・地域生活(身体)・地域生活(知的・精神)・就労・多機能型の5つの分野にわかれ、具体的には以下のとおりです。
・療養介護
・生活介護
・自立訓練(機能訓練)
・自立訓練(生活訓練)
・グループホーム(共同生活援助)
・就労移行支援
・就労継続支援A型
・就労継続支援B型
・多機能型事業所
参考:厚生労働省
このように、障害者介護施設や就労移行支援事業所などがあり、活躍できる場所はさまざまです。
サービス管理責任者の給与は、他の介護職員の平均給与より高い傾向にあります。
令和3年度の厚生労働省の調査によると、サービス管理責任者等(児童発達支援管理責任者を含む)の平均給与額は月額38万8,340円でした。(手当や一時金を含む)
参考:厚生労働省
他の介護職員の平均給与が月額31万1,050円のため、実務経験があり資格取得要件に当てはまる人は、サービス管理責任者を目指してみてもよいのではないでしょうか。
サービス管理責任者の資格を取得するためには、実務経験や年数がかかることなどハードルが高いと思うかもしれません。
そして、他の職員への助言や指導、利用者の個別支援計画書の作成など、責任が重くリーダーの役割を求められます。
しかし、それ以上にやりがいも大きいため、資格取得を目指してみてはいかがでしょうか。