事務所ごとに配置が義務づけられている「サービス管理責任者」。
支援計画の作成など提供するサービスのプロセス全般において責任を担ったり、従業員に対する指導を行ったりするのが主な仕事です。
今回の記事では、サービス管理者の合格率はどのくらいなのか、サービス管理責任者になるためのステップ、サービス管理責任者になるのはどのくらい難しいのかについて解説します。
目次
結論から言うと、サービス管理責任者の資格を取得するための試験はなく、実務経験と研修で取得できます。
つまり、合格率は存在しません。
ただし、試験がないからといって容易に取得できるわけではなく、決められた年数の実務経験を積む必要があり、複数の研修を受ける必要があります。
試験がないから合格率も高いに違いない!と勘違いしないように、以下で説明する実務経験や研修などのサービス管理責任者になるために必要なステップや難易度についてもチェックしてください。
サービス管理責任者になるには、試験ではなく実務経験と研修が必要です。
それらは短期間で簡単にクリアできる要件ではなく、いくつかのステップを経て資格を取得できます。
平成31年より新体制となり、実務経験や研修分野の変更が行われました。
具体的には、実務経験の必要年数が短くなり、研修では統一カリキュラムを共通で実施することになりました。
これによって段階的なスキルアップの実現や、知識や技術の更新、異分野同士の連携を可能にするのが目的です。
なお、旧体制(平成30年まで)に研修を受講済みであれば、更新研修を受講しなくても令和5年度末まで業務は可能です。
参考:厚生労働省
相談支援業務 | 直接支援業務 | |
無資格者 | 5年 | 8年 |
有資格者 | — | 5年 |
国家資格保有者 | 3年 | 3年 |
サービス管理責任者になるために必要な実務経験は「保有資格」と「業務内容」により必要な年数に違いがあります。(上記表参照)
実務経験後は、それぞれの実務経験の証明となる「実務経験証明書」の届出が必要となります。
それぞれの業務内容は以下の通りです。
サービス利用者に対して、日常生活における相談を始め指導やサポートの提供を行うのが相談支援業務です。
下記のいずれかに5年間従事している必要があります。
・施設(包括支援センターを含む)での相談支援業務
・就労支援に関する相談支援業務
・特別支援教育における進路・教育相談業務
・医療機関における相談業務(1~4に該当すること)
1.社会福祉主事任用資格の有資格者
2.訪問介護2級に相当する研修修了者
3.国家資格(医師、歯科医師、薬剤師、保健師、助産師、看護師、准看護師、理学療法士、作業療法士、社会福祉士、介護福祉士、視能訓練士、義肢装具士、
歯科衛生士、言語聴覚士、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師、栄養士、精神保健福祉士)の有資格者
4.施設等での相談支援業務・就労支援に関する相談支援業務・特別支援教育における進路、教育相談業務の従事期間が1年以上
・上記に準ずることを各都道府県知事に認められた業務
参考:厚生労働省
サービス利用者の入浴や食事などの介護業務や介護に関する指導、訓練サポートなどを行うのが直接支援業務です。
下記のいずれかに8年間従事している必要があります。
・施設や医療機関における介護業務
・障害者雇用事業所における就業支援業務
・盲学校・聾学校・養護学校における職業教育業務
・上記に準ずることを各都道府県知事に認められた業務
参考:厚生労働省
実務経験の要件を満たしたら、次のステップは研修です。
サービス管理責任者になるには、各都道府県で実施されている研修を受講して修了することが条件となります。
研修は参加すれば要件を満たすので、合格率は100%と言えます。
研修は以下の2種類がありますが、費用は都道府県によって異なるのでホームページなどでチェックしてください。
相談支援従事者初任者研修には「講義」と「演習」がありますが、サービス管理責任者の資格に必要なのは講義のみです。
講義の内容は下記の通りで、合計11時間のカリキュラムなので2、3日あれば修了します。
・障害者の地域支援と相談支援従事者(サービス管理責任 者・児童発達支援管理責任者)の役割に関する講義(5時間)
・障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するため の法律及び児童福祉法の概要並びにサービス提供のプロ セスに関する講義 (3時間)
・相談支援におけるケアマネジメント手法に関する講義(3時間)
参考:厚生労働省
サービス管理責任者基礎研修には「講義」と「演習」があり、どちらも受講する必要があります。
実務経験は、要件年数(5年)を満たしていなくても、3年以上で受講が可能です。それぞれの具体的な内容は以下の通りです。
・サービス管理責任者の基本姿勢とサービス提供のプロ セスに関する講義(7.5時間)
・サービス提供プロセスの管理に関する演習(7.5時間)
(令和元年~3年までに受講済で、実務経験の要件年数を満たしていれば基礎研修終了後3年間はサービス管理責任者として従事可能)
参考:厚生労働省
ojt(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)とは「実務を通して業務を教える」という方法です。
具体的には、一般業務において、上司や社員など経験豊富な指導担当者が、知識などを実践的に伝えながら教育し育成する方法です。
サービス管理責任者の場合は、基礎研修から実践研修までの期間に2年以上のojtが必要となります。
サービス管理責任者等実践研修とは、実際の現場で業務を行いながらの教育訓練で「講義」と「演習」のどちらも受講する必要があります。
それぞれの具体的な内容は下記の通りです。
・障害福祉の動向に関する講義(1時間)
・サービス提供の自己検証に関する演習(5時間)
・サービスの質の向上と人材育成のためのスー パービジョンに関する講義及び演習(7時間)
参考:厚生労働省
前出の通り、サービス管理責任者の資格取得に試験を受ける必要はなく、合格率という概念はありません。
その点を踏まえれば、難易度は高くないと言えます。
しかし、資格を取得するには実務経験とojt期間に加えて研修もマストであり、3〜8年以上の期間を要するので、決して簡単に取得できる資格とは言えません。
平成31年度以降要件が緩和されたことで、以前よりは目指しやすくなりましたが、必要期間を踏まえて計画的に臨む必要があります。
サービス管理責任者の資格取得に受験はないので、合格率も存在しません。
計画的に実務経験と研修を経て取得しておけば、障害福祉サービスに関わる分野での長期的な活躍が期待できますし、さらに、キャリアアップにもつながる資格です。
ぜひ今回お伝えした内容を参考にしてみてください。