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障害者総合支援法3つの問題点と課題とは?

元山 ゆず香

監修者

介護福祉士

元山 ゆず香

大学を卒業後、特別養護老人ホームにて現場業務に従事。その後、福祉系大手企業に入社し、エリアマネージャーとして、施設介護事業・居宅介護事業・障害福祉サービス事業でのエリアマネジメント・行政対応を経験。また、法人本部に異動し教育部門・監査担当部門の部長を歴任。現在は全国の介護・障害福祉事業所の支援やセミナーの開催、DXO株式会社での介護関連事業の支援などを実施。

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障害福祉サービスとは、障害者総合支援法に基づいて提供されるサービスの総称です。

障害者総合支援法の対象者は、身体障害、知的障害、精神障害、発達障害を持つ成人と児童、そして366種類以上ある難病患者です

障害者自立支援法までは対象でなかった発達障害と難病が含まれるようになったのは大きな前進ですが、まだ使い勝手の悪い問題点もあるようです。

 

障害者総合支援法とは

「障害者総合支援法」とは、「障害者の日常生活及び社会生活の総合的な支援に関する法律」の総称です。障害がある子どもから大人を対象に、給付や貸与のサポートを受けることができます。制度の実行主体は、市、郡、およびその他の政府機関です。

障害者総合支援法の目的と基本理念

障害総合支援法は、2013年4月に、先に制定された「障害者自立支援法」を改正するものとして制定されました。 

”障害者と健常者が地域で共生することを目的としています.”

”障害者総合支援法の基本原則には次のようなものがあります.” 

”障害の有無にかかわらず、誰もが共存できる社会を実現する.” 

すべての障害者は、日常生活や社会生活に必要なサポートを身近な場所で利用できるようにする必要があります。 

そのためには、社会的障壁を取り除く必要があります。 法改正前の自立支援法には基本原則がありませんでした。

法改正により、障害者が権利の主体であるという基本原則が確立された。

障害者自立支援法から障害者総合支援法改正への改善点4つのポイント

障害者自立支援法が障害者総合支援法に改正され、一部改善されました。

参考:厚生労働省

今回は、「障害者総合支援法」の概要を4つの要点を紹介しながらご紹介します。

基本理念の創設

法改正前の自立支援法には基本原則がありませんでした。

法改正により、障害者が権利の主体であるという基本原則が確立されました。

基本原則を定めることで、身近な場所で必要な支援を可能な限り受けられるようにする、社会参加の機会を確保する、どこで誰と暮らすかを選択するなど、障害者に保障される権利を明確化しました。

障害の有無で差別されない「共生社会」を目指すことを明確にしてます。

障害者総合支援法に基づく福祉サービスは、この原則に則って提供されます。

支援対象となる「障害者」の定義の拡大

支援費制度から障害者支援法制、障害者総合支援法への移行は、支援を受ける対象を見直す歴史でもあります。 

精神障害のある方は、支援費制度では支援対象外でした。 「自立支援法」の制定により、これが支援の対象となりましたが、今度は、発達障害者の立場が明確ではありませんでした。

2010年の自立支援法改正で発達障害も支援の対象であることが明確化されました。

「総合支援法」により、これまで支援されていなかった難病などの患者さんが支援対象に加わり、支援対象が拡大されました。 

2021年11月現在、366疾患を対象としています。

参考:厚生労働省

障害程度区分から障害支援区分への変更

自立支援法では、福祉サービスを利用する際に、障害の程度を測る指標を導入し、サービス給付を決定しています。

これを「障害程度区分」といいます。

ただし、障害の程度は、主に日常生活動作ができるかどうかによって測定され、例えば食事が自分でできる/できないかだったり、排泄が自分でできる/できないかだったりで、できる項目が多ければ障害の程度は軽く、できない項目が多ければ障害の程度は重いという考え方が基本となっていました。

しかし、障害の実態は人によって異なります。日常生活の中でも、自分でできるけど時間がかかる、自発的にできない、症状が悪化するとできないなど、条件によってはできる人もいます。

生活に支障をきたす程度には個人差があり、障害の程度を「そうかもしれない」「そうでないかもしれない」と判断するのは難しいです。 

そこで、「障害者総合支援法」では、障害程度区分に代えて、「障害者支援区分」に変更し、各人の生活環境に応じて必要な支援の程度を測定することになりました。

障害者支援区分は、コンピュータによる一次判定、かかりつけ医の意見書、市町村審査会による二次判定により認定されます。

重度訪問介護の対象者の拡大

重度訪問介護とは、日常生活で要介護状態となることが多い方にヘルパーを長時間(最大24時間)派遣し、訪問介護、ボディケア、家事介助、外出支援、生活相談・アドバイスを行うサポートです。

以前は重度の身体障害者のみが利用できましたが、現在は他の障害者も利用できます。 

具体的には、重度の身体、知的または精神の障害により重度の行動障害を患っている方(行動援護サービスに該当する方)で、障害支援区分が「4」以上の方です。

その結果、行動障害を持つ人々は、重度訪問介護を活用して一人暮らしするというオプションが増えたといえます。

基本理念の設定により、身近な場所で必要な支援を可能な限り受ける、社会参加の機会を確保する、どこで誰と暮らすかを選択できるなど、障害のある人に保障される権利を示しました。

障害の有無で差別されない「共生社会」を目指す方向性が明確になりました。

障害者総合支援法に基づく福祉サービスは、この原則に則って提供されます。

障害者総合支援法は障害者自立支援法の問題点を解消するために制定

2018年の法改正により、「障害者福祉サービス」に「自立生活支援」「就労定着支援」などの新たなサービスが加わりました。 

障害者雇用に関わる箇所として、就職支援サービスに注目します。

これまでの障がい者の職場定着については、就労移行支援事業所、障害者就業・生活支援センター、地域障害者職業センター等が行ってきました。

しかし、就労支援事業所を利用して一般職に転職する障害者が増加する中、障害者の就職支援も増加しているため、就労継続のみを支援するサービスを新設しました。

職場で発生する日常生活面や、職場と家庭のコミュニケーションや調整などの支援を行う定着支援サービスを最長3年間利用できます。

就労の継続的サポートとして期待されます。

障害者自立支援法(2006年4月)

障害者自立支援法は、2006 年に部分的に施行され、同年 10 月に完全に施行されました。

ここでは、「障害者自立支援法」の要点と問題点、「障害者総合支援法」へ移行した背景について解説します。

障害者自立支援法のポイントと問題点

障害者支援法のポイントは次のとおりです。

”サービスを使用するための集中型メカニズム.” 

”自治体への一元的なサービス提供.” 

”支払決定プロセスの明確化. ”

”就職支援の充実. ”

”安定した財源を確保する.”

問題は、障害のある低所得世帯に負担の10%が課せられ、結果として障害者の負担が増えたことです。

また、「障害者自立支援法」が事業者に不評だったため、「障害者総合支援法」が制定されました。

障害者自立支援法訴訟を経て障害者総合支援法へ

2008年10月31日、障害者とその家族が「障害者支援・支援法」の廃止を求めて一斉に訴訟を起こした。

この訴訟は、収入に関係なく障害者に負担をかけることは、個人の尊厳、法的平等、および憲法で保障された生存権を侵害するという理由で提起されました。

政府が「障害者支援支援法」の廃止に合意した後、「障害者総合支援法」が成立し、新たな制度が施行されました。

障害者自立支援法と障害者総合支援法の違い

障害者自立支援法に代わる障害者総合支援法を制定しました。

両者には以下の違いがあります。

”基本理念の制定. ”

”支援対象となる障害の定義の拡大. ”

”障害区分の変更. ”

”重度訪問介護の受診者数の拡大.” 

「障害者総合支援法」は、以上の点を追加して障害者自立支援法に改善を加える形で制定されました。

障害者自立支援法と障害者総合支援法

障害者自立法と障害者総合支援法の特徴と違いを教えてください!

障害者自立支援法と障害者総合支援法は名称は似ていますが、内容は異なります。 障害者自立支援法と障害者総合支援法の特徴を紹介し、2つの法律の違いについて説明します。

障害者総合支援法の詳細

障害者総合支援法は、障害者や難病のために制定された法律です。

ここでは、次の点について説明します。 

”概要と正式名称. ”

”利用者.” 

”総合支援法の改正.” 

”給付内容.” 

障害者総合支援法を簡単にわかりやすく説明します。

障害者総合支援法とは

障害者総合支援法は、障害者や難病者の適切な福祉サービスの利用を促進するために制定された法律です。 

障害には色々な症状があり、従来の標準化されたサービスでは不十分です。 

このため、障害者の状況や症状に合わせた支援が受けられないという批判もありました。 

そこで「障害者総合支援法」では、障害者一人ひとりに適したサービスを提供するために80項目を詳細に調査し、支援の種類を6段階に分けました。

障害者総合支援法の正式名称

障害者総合支援法の正式名称は、「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」です。

参考:厚生労働省

言葉数が多いことから「障害者総合支援法」と呼ばれています。 

2013年4月、「障害者自立支援法」の問題点を解決するため、「障害者総合支援法」が制定されました。

障害者総合支援法の利用者

障害者総合支援法を利用できる方は次のとおりです。 

”身体障害者.” 

”精神障害者.” 

”難病.” 

上記のいずれかに該当し18歳以上の方が対象です。

ただし、障害や難病のレベルによってはご利用いただけない場合があります。 

「障害者総合支援法」を利用するためには、厚生労働大臣が定める条件を満たさなければなりません。

障害者手帳をお持ちでない方でも、条件を満たせばご利用いただけます。

障害者総合支援法の改正

障害者総合支援法は、3年ごとに見直されます。 

「総合支援法」の施行により、障害者が生活しやすい環境が整いましたが、まだまだ不十分な点があります。 

すべての障害者および難治性の患者が満足するように、3 年ごとに見直されます。

レビューの時点で、不十分な点が補足されるように改定されています。

2018 年 4 月の実施後、最初の改訂では、次の 3 つの変更が加えられました。 

”障がい者が期待する地域生活を支援.” 

”障がい児への多様な支援.” 

”サービスを改善する.” 

上記の改正は、社会が障害者にもっと配慮することを願って実施されたものです。

障害者総合支援法の給付内容

障害者総合支援法によるサービスの受益者は、障害者と障害児です。

障害児とは、18歳未満の障害のある方や難病を患っている方を指します。

障害者および障害児のためのサービスは、自立支援給付の対象となります。

また、自立支援給付は、福祉サービスを利用する際に国が一部負担する給付金です。

自立支援給付

自立支援給付には、主に次の 5 つのタイプがあります。 

”介護給付.” 

”訓練等給付.” 

”自立支援医療.” 

”補装具.” 

”相談支援.” 

それぞれの給付内容について解説します。

 介護給付 

介護関連サービスを受ける際に利用できる給付金です。

例えば: 

”在宅介護.” 

”重度訪問介護.” 

”同行介護.” 

”行動介護.” 

”重度障害者等包括支援.” 

”短期入所(ショートステイ).” 

”療養介護.” 

”生活介護.” 

”施設入所支援.” 

研修等給付

研修等給付は、日常生活や社会生活に必要な研修を行います。

以下は、検収等給付と見なされます。 

”自立訓練.” 

”就労移行支援.” 

”就労継続支援(A:雇用型 B:非雇用型).” 

”就労定着支援.” 

”自立生活支援.” 

”共同生活支援(グループホーム).”

自立支援医療 

自立支援医療とは、障害の症状を緩和する治療を受ける際に、医療費の自己負担を軽減する制度です。

以下のように、障害の種類によって適用される制度が異なります。 

”更生医療:身体障害が対象. ”

”育成医療:障害のある18歳未満の子供向け.” 

”精神通院医療:精神障害が対象.”

補装具

補装具は、身体障害を持つ人々が着用するサポート装備です。補装具を装着することで、日常生活の負担を軽減できます。

補助具の購入とメンテナンスは、自立支援給付でカバーできます。 

相談支援

相談支援には、次の 3 つのタイプがあります。 

“計画相談支援:総合支援法の利用・継続の実施に必要な手続き.” 

“地域相談支援:地域での生活開始時に利用.” 

“基本相談支援:福祉サービスや障害に関する相談ができます.”

障害者総合支援法は障害者に寄り添った福祉サービスを提供

「障害者自立支援法」の欠点を補うために「障害者総合支援法」を制定しました。障害者や難病患者の症状や状態に応じた福祉サービスを提供することが特徴です。 「障害者総合支援法」の内容を知ることで、障害者や難病者が社会復帰し、日常生活を楽しむためのサービスの内容を理解することができます。 

障害者総合支援法の3つの問題点と課題

利用者負担の所得計算が世帯単位であること

利用者負担の計算のベースとなる所得は、個人単位ではなく、世帯単位で計算されます。 

問題は、同居している家族や配偶者が障害を理由に経済的負担を強いており、本当に社会的自立と言えるのかということです。

障害者総合支援法に定める各種サービスの利用料は、原則として月払いです。サービス利用総額の1割を利用者が負担(残りは公費負担)しますが、これは障害者自立支援法と同じ、いわゆる「応益負担」の方法です。

したがって、ここでは負担上限付きの世帯収入カテゴリを設定しました。 

区分と月々の上限額は以下の通りです。

”福祉世帯…0円.”

         ”市税非課税世帯:0円.” 

”一般1 (世帯収入が概ね600万円未満の市​​町村納税者)…9,300円.” 

(障害児保育・ホームヘルパー 4,600円) 

”一般2(上記以外)…37,200円.” 

市民税の対象となる入所施設やグループホームの利用者は「一般2」に分類されますのでご注意ください。 

利用者負担の上限は同法による福祉サービスに限定されており、宿泊型施設利用時の食費・光熱費、外来型施設利用時の食費、医療費の実費は別途負担です。

医療系施設 

負担の上限によりサービス利用料が低く抑えられていても、この金額が高ければ負担が大きくなります。

このため、居住用施設の上限は5万3500円で、市税非課税世帯の手元資金が2万5000円以上となるように免税措置が取られています。 

障害児施設の利用については、「地域で子どもを育てるために通常必要な費用」である5万円を上限として負担が設定されています。 

障害者支援法で問題とされる世帯の範囲については、18歳以上の障害者は本人とその配偶者、障害児の場合は保護者の所属する住民基本台帳での世帯です。

介護保険サービス利用者負担軽減制度の妥当性

この法律が介護保険方式となっているのは、将来的に介護保険制度との統合を検討しているためだと言われています。

介護保険は、利用者負担の10%を負担を獲得する条件は大変ハードルが高く、将来的には障害福祉サービスにも適用される可能性があります。

利用者負担が応能負担であること

障害が重いほど負担が重くなる応益負担により、障がい者・障がい児が必要なサー ビスの利用の中止や制限に追い込まれることがないよう応能負担にすべきという声があり、厚生労働省が発表した2010年の改正から応能負担を明確にしました。 

代理受領の仕組みになっており分かりずらい部分もありますが、、要した費用の全額を障害者がいったん負担して、そのうち国が定めた金額の9割を、後から公費で支出するというのが基本的な考え方でした

平成22年の改正により、「国が定める額(報酬単価)」から、家族の支払能力等を考慮して政令で定める額を差し引いた額が支給額となります。

応能負担が分かりにくい金額が「政令で決まる」からです。その時の政府が負担を増やせば、法改正をしなくても負担を増やせる仕組みだからです。

介護保険の自己負担額を 10% から 20% に引き上げる声がありますが、その実現には、介護保険法の改正が必要で、実現していません。

まとめ

障害者総合支援法は、障害者の自立した社会生活を支援する重要な法律です。

このサービスを利用することで、障害者、障害児の生活の質が向上します。

家計にも助かる制度ですから、障害者総合支援法の問題点を正確に把握して、制度の改訂がある際には、しっかりウオッチすることが必要です。

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