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障害者自立支援法から障害者総合支援法に変わった経緯は?

障害者自立支援法は、障害者福祉制度の根本的な見直しを目的に2013年に「障害者総合支援法」へと改正されました。障害者の支援に関する法律であることに変わりはありませんが、支援対象の拡大や基本理念の制定など、多くの変更点もあります。

この記事では、障害者自立支援法から障害者総合支援法に変わった経緯や変更点について解説します。

障害者自立支援法とは?

障害者自立支援法は2006年に施行された法律です。障害者が地域での生活や就労を進め、自立した生活を送れるように導入されました。

障害者自立支援法ができるまでは、障害の種類ごとに違ったルールに基づいて福祉サービスや医療のサポートがおこなわれていました。しかし、自立支援の観点から共通の制度の下で一元化をするために作られたのが、この法律です。障害者自立支援法によって、誰でも同じように支援が受けられるようになりました。

障害者自立支援法の概要と目的

障害者自立支援法は、身体障害者や知的障害者、精神障害者などを対象に、ホームヘルプサービスやリハビリ、就労支援などの福祉サービスを提供し、地域での自立した生活を支援する法律です。

サービス利用には、市町村への申請が必要で、審査会の認定に基づいて給付が決定されます。利用者の負担は所得に応じて上限が設けられており、費用の90%は市町村や国、都道府県が負担する仕組みです。

また、市町村や都道府県は、地域生活支援事業や福祉計画を策定し、国がその実施を補助することで、支援体制をサポートしています。

障害者総合支援法に改正された理由

障害者総合支援法が改正された主な理由は、障害者支援のニーズの変化にあります。特に、高齢障害者への支援増加が、この改正に影響をもたらしました。ここでは、障害者総合支援法に改正された理由について解説します。

改正の背景にある障害者支援のニーズの変化

2006年に障害者自立支援法が施行されてから、高齢化や医療の進展により、障害者支援のニーズが大きく変化しました。特に、高齢化社会の中で障害者が直面する問題が多くなり、従来の支援制度では対応が難しくなってきたのです。このような背景が、障害者総合支援法に改正された大きな理由のひとつです。

障害者自立支援法との違い

障害者総合支援法では、障害者自立支援法の課題を踏まえ、支援の対象が拡大されています。例えば、従来の障害者に加えて、発達障害や難病患者も新たに支援の対象となりました。

また「障害の重さ」ではなく、個々の支援ニーズに応じた柔軟なサービス提供が可能になりました。利用者の抱えるさまざまな課題に対応できる包括的支援を制度の柱としています。

さらに、基本理念に基づいて、障害の有無にかかわらず地域社会で共に暮らせる社会の実現を掲げ、自己決定の尊重と意思決定支援を重視しています。

サービス体系も大幅に見直され、日中活動支援や地域生活、就労支援の強化など、障害者の自立と社会参加を支援できるサービスが導入されました。

求められている課題と改善策

障害者自立支援法は、障害者が地域社会で自立した生活を送ることを目的としていますが、いくつかの課題が指摘されています。

特に、サービス利用に伴う自己負担が障害者やその家族に経済的な負担を強いている点や、地域によって提供されるサービスの質や量にばらつきがあるという指摘もあります。さらに、制度の複雑さから、必要な支援を迅速に受けられないケースもあるようです。

それらの改善策として、自己負担額の軽減や公費負担の拡大が必要です。また、地域間でのサービスの均一化を目指し、自治体間の連携強化を進める必要性もあります。今後、厚生労働省では、こういった課題への対策を進めていくでしょう。

障害者総合支援法の内容

障害者総合支援法は、基本理念の制定や対象拡大と新たなサービス導入などさまざまな支援が導入されています。基本理念に沿って支援することで、個々に合ったサービス提供が実現できるでしょう。ここでは、障害者総合支援法の具体的な内容について解説します。

障害者総合支援法の基本理念

障害者総合支援法では、以下のような基本理念が掲げられています。

  1. 全ての国民が、障害の有無にかかわらず、等しく基本的人権を享有するかけがえのない個人として尊重されるものであるとの理念
  2. 全ての国民が、障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会を実現
  3. 可能な限りその身近な場所において必要な(中略)支援を受けられること
  4. 社会参加の機会の確保
  5. どこで誰と生活するかについての選択の機会が確保され、地域社会において他の人々と共生することを妨げられないこと
  6. 社会的障壁の除去

引用:厚生労働省「障害者総合支援法について

この基本理念は、障害者が地域で自立した生活を送るための大前提となる考え方であり、障害者総合支援法の根幹となる考え方です。

支援対象の拡大と新たな支援サービス

障害者総合支援法では、難病患者が新たに支援対象に含まれたと同時に「地域生活支援事業」が新設されました。このサービスは、障害者及び障害児が自立した日常生活や社会生活を営むことを目的とした重要な施策です。

地域生活支援事業では、地域の特性や利用者の状況に応じて、実施主体である市町村などが柔軟に対応することが求められています。ここでは、その具体的なサービス内容を解説します。

自立支援給付と地域生活支援事業の具体的な内容

障害者総合支援法の支援は「自立支援給付」と「地域生活支援事業」に分かれています。これらの支援サービスは、障害者の自立と地域社会での生活を促進するために設計されたサービス内容が組み込まれています。

自立支援給付

自立支援給付は、障害者の個別のニーズに応じて行政が費用の一部を給付するサービスです。費用の一部を負担することで利用できます。自立支援給付のサービス内容については以下の表をご参照ください。

内容
介護給付

居宅介護
重度訪問介護
同行援護
行動援護
重度障害者等包括支援
短期入所(宿泊のみ)
療養介護
生活介護
施設入所支援

訓練等給付

自立訓練(機能訓練・生活訓練・宿泊型)
就労移行支援
就労継続支援(A型・B型)
就労定着支援
共同生活援助(グループホーム)
自立生活援助

計画相談支援給付

サービス利用支援
継続サービス利用支援

地域相談支援給付

地域移行支援
地域定着支援

補装具車いす、義手、義足、補聴器など

地域生活支援事業

地域生活支援事業では、地域社会での生活が円滑に進むように支援するためのさまざまなサービスが提供されています。

市区町村や都道府県によっておこなわれる事業であるため、自治体ごとに内容が異なります。例として、具体的なサービス内容の事例は以下のとおりです。

サービス内容
市区町村事業

相談支援事業
基幹相談支援センターの設置
成年後見制度利用支援事業
コミュニケーション支援事業
日常生活用具給付等事業
移動支援事業
地域活動支援センター

都道府県事業

専門性の高い相談支援事業
広域的な支援事業

まとめ

障害者自立支援法は2006年に施行され、障害者が地域社会で自立した生活を送ることを目的に、福祉サービスを一元化した法律です。身体・知的・精神障害者を対象に、ホームヘルプや就労支援などを提供し、費用は所得に応じて一部負担となる仕組みで施行されています。

しかし、高齢化や障害者支援の多様化に対応する必要性から、2013年に障害者総合支援法へ改正されています。この改正により、支援対象が発達障害者や難病患者に拡大され、支援の柔軟性や包括性が強化されました。

また、基本理念が設定され、障害の有無にかかわらず共生社会を目指す方向性が明確化されています。障害者総合支援法は、障害福祉系のサービスを提供する方が必ず理解しておくべき法律です。ぜひ、本記事の内容を、日頃の業務や施設運営にお役立てください。

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