同行援護は障害者総合支援法に基づく居宅系サービスの1つで、視覚障害者等の方の外出時に支援を行う者が同行し、移動に必要な情報を提供するとともに、移動の援護その他のその障害者等が外出する際に必要となる援助を行います。
同行援護の対象者は、視覚に障害のある方を対象としていますので、外出先での情報提供や代読・代筆などの支援を行ったり、身体的介助の支援が必要な場合はこれらの支援も行います。
同行援護とは(厚生労働省)
同行援護とは
一人での外出が困難な視覚障害者に対して、外出時に同行して、次のサービスを提供します。
- 移動の援護
- 移動時や外出先において必要な視覚的情報の支援(代筆・代読を含みます。)
- 排せつ・食事等の身体的な介護
- その他の外出時に必要な援助また、利用者に応じたコミュニケーションツールを用意する等の事前準備をしてもらうこともできます。
同行援護のサービス内容
外出時における情報の提供
情報の提供は、同行援護においてもっとも重要な支援であり、他のサービス類型にはない専門性を必要とする独自の部分です。
外出時の行動目的の決定や変更の判断、選択を行うのは、サービスを利用するご利用者本人ですので、その判断に必要となる視覚的な環境情報などを、的確かつ客観的に伝える必要があります。
例えば商品の購入時において『卵』を選択する際には『大きさ』『値段』『特徴』『個数』『賞味期限』等複数の情報を伝え、ご利用者本人の選択に寄与しなければいけません。
その情報提供をご利用者本人の眼となって、ご利用者本人の意向に沿って行い、ご利用者本人が適切に判断を行えるかが、同行援護のサービス提供を行う上で最も大切な支援になります。
代筆・代読
同行援護で提供が可能な代筆・代読は、あくまで『外出時において必要となる範囲』にとどまります。例えば不動産の契約や投資等に関する契約行為は代筆とは言えません。代読の際は、字を間違えて読んだり意味を取り違えたりすることのないように、する必要があります。
また、大勢の方がいる中で個人を特定されたりすることの無いよう、周囲の状況も踏まえた形での実施を心がけるように注意しましょう。同行援護従業者自身の判断で文章を省略してはいけません。
移動支援
外出時の支援を中心として、安全かつ快適な移動の支援を心がけます。 移動中において生命の危険となるような状況を回避する必要があります。
身体介護
ご利用者本人の状況に応じ、身体介護が必要な場合は必要な身体介護を提供します。
いずれの支援も、同行援護計画書に定めたものしか実施が出来ない事にも注意しましょう。
同行援護でできること できないこと
同行援護で出来ること(行ける 外出先)
『通勤、営業活動等の経済活動に係る外出、通年かつ長期にわたる外出及び社会通念上適当でない外出を除き、原則として1日の範囲内で用務を終えるもの。』とされています。
提供可能な事例
・通院への同行 ・買い物への同行 ・選挙の投票への同行 ・散歩への同行 ・美術館、映画館等の余暇活動への同行
・スポーツ等の同行 ・お墓参り、礼拝への同行 ・初詣への同行 ・旅行への同行 等
同行援護で出来ないこと(行けない 外出先)
『通勤、営業活動等の経済活動に係る外出、通年かつ長期にわたる外出及び社会通念上適当でない外出』とされています。
・パチンコ、競馬、スナック、風俗 ・通勤や通学 ・宗教の布教活動、選挙運動
提供不可能な事例
・現地で集合、解散を行う外出 ・ご利用者本人が経済活動(収益を生む)を行うための外出同行
・支援者の自家用車に乗車しての外出
対象者
対象となるご利用者は視覚障害をお持ちの方とされています。その中で身体介護を伴う方と、必要のない方に分類されます。
◇ 身体介護を伴わない場合
・ 同行援護アセスメント票(案)の項目中、「1~3」のいずれかが「1点以上」であり、かつ、「4」の点数が「1点以上」の者
◇ 身体介護を伴う場合
・ 同行援護アセスメント票(案)の項目中、「1~3」のいずれかが「1点以上」であり、かつ、「4」の点数が「1点以上」の者
・ 障害程度区分が2以上
・ 障害程度区分の認定調査項目のうち、「歩行」「移乗」「移動」「排尿」「排便」のいずれか1つが のいずれか1つが「できる」以外と認定
料金は?何時間使えるか?
利用料金は?
サービスの種類ごとに、サービスを提供する事業者が受け取れる額が決められています。それを報酬基準といいます。例えば1時間で1,000円などと決められている報酬基準のサービスを時3間使った場合は、報酬額は3,000円となります。
利用者は、報酬額の1割を負担することになりますので、この場合は、300円が利用者負担となります。
一人で多くのサービスを利用すると、利用者負担が高額になってしまうので、サービスの利用を控えることになりかねません。そうしたことを防ぐため、月ごとの利用者負担額には、上限額が定められています。この上限額は、世帯の収入状況等に応じて、4つに区分されています。
- 世帯の範囲
- 18歳以上の障害者:障害者本人と、その配偶者
- 18歳未満の障害児:保護者の属する住民基本台帳上の世帯
- 上限額の区分
生活保護 | 負担上限額0円 | 生活保護受給世帯 |
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低所得 | 負担上限額0円 | 市町村民税非課税世帯 ※(注1) |
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一般1 | 負担上限額9,300円 | 市町村民税課税世帯(所得割16万円未満)※(注2)(注3) |
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一般2 | 負担上限額37,200円 | 上記以外の世帯 |
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【実費負担の例】
・入場料 ・交通費 ・食事代 等
これらは支援者が同行するにあたり必須になる金額であれば、ご利用者側で負担することとなります。
ご利用者がお持ちの『受給者証』に記載が有りますので、事業所は実施前に必ず確認を行いましょう。また、同行援護は障害支援区分によって利用者負担額に違いがあります。
- 区分3の方は基本料金に20%加算
- 区分4~6の方は基本料金に40%加算
また盲ろう者向け通訳・介助員が同行援護を行うと基本料金に25%加算することになっています。
利用可能時間は?
利用可能時間はご利用者ごとに異なり、受給者証に記載されることとなります。
1年の範囲内で、月を単位として市町村が認める時間が利用可能な時間となります。この時間内であれば上記利用料金で支援を受けることが出来ますが、超えてしまった場合は10割負担となりますので注意が必要です。
同行援護従業者養成研修とは?ガイドヘルパーとの違い
同行援護に従事するには専用の資格が必要となります。
ヘルパーや介護職員初任者研修等が介護保険制度上の資格であるのに対して、この同行援護従業者養成研修などは障害者総合支援法(旧・障害者自立支援法)上の資格です。
同行援護養成研修には、一般課程と応用課程の2種類があり、一般課程は障害者福祉サービスの同行援護サービスを行っている訪問介護事業所などで勤務するにあたり必要な資格となります。
同行援護従業者の受験資格
同行援護従業者資格には以下の2段階があります。
それぞれ受験資格には違いがあります。
一般課程
受験資格はないため、誰でも受験可能です。
一般課程においては、受験資格は特になく「介護職員初任者研修」「介護福祉士」等の資格も必要ありません。
応用課程
同行援護従業者一般課程養成研修の修了者が対象となります。
また、移動支援従業者養成研修(視覚障害課程)の資格取得者も対象となります。
移動支援従業者とは、ガイドヘルパーのことです。
また、応用課程を修了すると、同行援護の介護事務所でサービス提供責任者となることが可能です。
サービス提供責任者とは、ケアマネージャーとヘルパーとの連絡・調整をする役割の人のことをいいます。
同行援護従業者の学習カリキュラム
続いて各課程の学習カリキュラムです。
【一般課程・講義項目】
講義項目 | 必要時間数 |
視覚障がい者(児)福祉サービス | 1時間 |
同行援護の制度・従業者の業務 | 2時間 |
障がい・疾病の理解① | 2時間 |
障がい者(児)の心理① | 1時間 |
情報支援と情報提供 | 2時間 |
代筆・代読の基礎知識 | 2時間 |
同行援護の基礎知識 | 2時間 |
計 | 12時間 |
【一般課程・演習項目】
講義項目 | 必要時間数 |
基本技能 | 4時間 |
応用技能 | 4時間 |
計 | 8時間 |
【応用課程・講義項目】
講義項目 | 必要時間数 |
障がい・疾病の理解① | 1時間 |
障がい者(児)の心理① | 1時間 |
計 | 2時間 |
【応用課程・演習項目】
講義項目 | 必要時間数 |
場面別基本技能 | 3時間 |
場面別応用技能 | 3時間 |
交通機関の利用 | 4時間 |
計 | 10時間 |
受講料は養成機関や取得資格によって異なる場合がありますので、事前の確認が必要です。
ガイドヘルパー資格との違い
同行援護従業者とガイドヘルパーの特徴は以下の通りです。
- 同行援護従業者…視覚障がい者の方の外出時におけるサポートをする人
- ガイドヘルパー(移動支援従業者)…身体的・知的・視覚・聴覚障がい等の様々な障がいを持つ方の移動をサポートする人の総称
よって、ガイドヘルパー(移動支援従業者)のなかの1つに同行援護従業者があるということになります。
ガイドヘルパーには同行援護従業者の他に、行動援護従業者(知的・精神障がい者を対象)と、全身性障害者移動介護従業者(全身性障がい者を対象)という2つの資格があります。
移動支援サービス(地域生活支援事業)を提供するにあたっては、ガイドヘルパーの資格を必須とする自治体もありますので確認をしましょう。
まとめ
今回は、同行援護についてご紹介しました。同行援護は障害者総合支援法におけるサービスの中でも新しく出来たサービスです。専門性が高いその役割を理解したうえで支援に従事することが大切です。
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