ニュースを見れば「大企業が大幅賃上げ!」「初任給アップ!」という景気のいい話が聞こえてきます。でも、私たちの障害福祉業界はどうでしょうか? 「処遇改善加算で少しは上がったけど、世の中の物価上昇には追いついていない…」と感じている方も多いかもしれません。
実は、令和8年(2026年)4月に予定されている国のルール変更(報酬改定)で、障害福祉業界は「冬の時代」を迎えるかもしれないと言われています。 この事によって「現場で働く私たちに何が起こるのか」そして「どうすれば長く安心して働けるのか」をわかりやすく解説します。
私たちの給料の元となるのは、国や自治体から支払われる「報酬」です。
これが令和8年に減らされる案が出ています。この背景には大きく2つの国の考えがあります。
一つ目は、他の産業や医療・介護と比較して、一部の障害福祉サービス(就労支援やグループホーム等)の利益率が高いというデータ(経営実態調査)が出ていること。
二つ目は、社会保障費の増大を抑えるための「適正化」を図るとして、これまでは支援を行うだけで一定の利益を出ていたものを、「より質の良いサービスを、根拠をもって提供する事業所」を評価していく方向へ向かわせたいということ。
これらのことから令和9年の報酬改定を待たず、一部報酬の改定を令和8年の4月に行う案が出ています。
報酬が減ることによって影響を受けるのは会社ですが、単に会社の売上が減るだけではありません。私たち現場職員には、次のような「3つの波」が押し寄せる可能性があります。
基本報酬(利用者が来てくれるだけで入るお金)が下がると、会社はボーナスや基本給を上げる体力がなくなります。「処遇改善加算」以外の部分での昇給がさらに、厳しくなるかもしれません。
国は「ただ預かるだけ」のサービスにはお金を出さなくなります。「就労に結びついたか」「自立度が上がったか」といった成果に対して報酬を払う仕組みに変わってきています。そのため、現場では今まで以上に細かい記録や成果報告が求められ、事務負担への意識改革が必要になります。
これが一番怖いところです。報酬が下がれば、新しい人を雇う余裕がなくなります。でも利用者は減りません。つまり、「今いるメンバーで、いかに効率よく回すか」「ご利用者ひとりの単価を上げるために加算を取得できるか」が大きなポイントとなります。
令和8年の先には、もっと大きな壁が待っています。それが「2040年問題」です。 高齢者がピークに達する一方で、「働く人(現役世代)」が激減すると予想されている年です。
2040年には、福祉をはじめとする就労可能な人口がガクンと減ります。 福祉業界は今でさえ人手不足ですが、2040年には「求人を出しても誰も来ない」のが当たり前になります。 その時、生き残っているのは「報酬が下がっても経営できる体力があり」かつ「職員が辞めない(働きやすい)事業所」だけです。
私たちは、直近の報酬改定だけでなく、もっと未来の2040年に向けて「本当に必要な支援」を行える、「一定の質が確保でき、成果の出せる」支援を行えるようになっていなければいけません。
暗い話ばかりになってしまいましたが、諦める必要はありません。会社任せにするのではなく、現場の私たちが意識を変えるだけで、事業所を守り、自分たちの給料や働く環境や部下を守ることにつながります。
面倒な記録や研修が必要な「加算」ですが、これを「事務の手間」と思わず、「これを取ることで私たちの働く環境や給料が確保される」と考えましょう。
これからはご利用者も事業所をシビアに選ぶ時代です。「あそこに行くと楽しい」「あそこの職員さんは頼りになる」という評判(ブランド)を作るのは、経営者ではなく現場の皆さん一人ひとりの対応です。
人が採用できない未来では、機械ができることは機械に任せるしかありません。新しいシステム導入などに抵抗感を持たず、「どうすれば楽になるか」を一緒に考えて使いこなすことが、将来の自分の時間を守ることになります。
ほんの10年前は紙の記録が当たり前でしたが、ふと気づけば記録はスマホやPCで行うのが当たり前になっています。また、自分たちの孫、子供世代はネット通販が当たり前で、最近はAIという考えることさえもICTが行うようになってきました。
仕事だけでなく、この先生活していくうえでもこれらICTを活用できるのとできないのとでは、自分の生活の質が大きく変わってきます。
ぜひ新しい便利な「当たり前」をなるべく早く体験し、自分を楽にする手段を見つけてください。
令和8年の改定は、障害福祉業界にとって厳しいものになるかもしれません。 しかし、国が求めているのは「質の高いサービスを提供し、自立を支援できるプロの仕事」です。
「制度が変わるから仕方ない」と諦めるのではなく、「質の高い仕事をして、堂々と高い報酬をもらう」というプロ意識を現場全体で持っていただきたいと思います。