この記事では、介護保険最新情報にて通知された喀痰吸引時の注意点についてご紹介させて頂きます。
目次
喀痰吸引は、予め医師や看護師と『ご利用者がどの様な状態のときに実施するか』を定め、これに従って実施することとなります。
本人が望んだ時、唾液・痰がたまってゴロゴロしている時、呼吸時にゼーゼーしていたり、異物の音がする時など、出来るだけ具体的な症状を示して定めておきましょう。
また、以下の項目を観察し1つでも異常があれば、吸引を実施せずに医師や看護師に報告を行い、指示を仰ぐことが必要です。
いつもの状態と違い、違和感があるという表現はとても曖昧に聞こえますが、普段接している介護士の皆さんの『違和感』は、とても大切な察知力であり、そのほとんどは間違っていません。
「いつもと違う」と感じたら、実施せずに医師や看護師の判断を仰ぐようにしましょう。
●無理に押し込まない
カテーテルを鼻に入れる時に、無理やり押し込むと粘膜を傷つけ出血する恐れがあります。無理に押し込まず、角度の調整、左右の鼻の穴を変えるなどしましょう。
●喉の奥をつつかない
口からの吸引の際、喉の奥をつつくと吐き気を催しますので、注意が必要です。
●気管内の吸引に口・鼻から吸引したチューブを使用しない
気管内は無菌状態であるため、口・鼻からの吸引よりも、より清潔に吸引をする必要があります。口・鼻から吸引したチューブをそのまま気管チューブからの吸引に使用することは、不潔であり、避けなくてはなりません。
●吸引時間に注意する
吸引時間が必要以上に長いと(特に状態が不安定な方)、息ができずに危険な状態になります。無理をしないようにしましょう。
●緊急連絡先は明確にする
状態が変化した際などの緊急連絡先(訪問看護、在宅医など)を確認しておきましょう。
●清潔を保つに行い、感染予防のために下記のような注意が必要です。
①吸引の前には手をよく洗う。
②使用後の吸引カテーテル、接続管は水をしっかり通してきれいにする。
③接続管内に水が残らないにする。
引用元:独立行政法人 国立長寿医療研究センター気管切開吸引パンフレットより
在宅にて喀痰吸引が必要なご利用者には、在宅用の人工呼吸器を使用している方もいらっしゃいます。
総務省が実施した実験で、携帯電話等(スマホ、タブレットを含む)から出る電波(Wi-Fi環境を除く)が、人工呼吸器等(成人用人工呼吸器や二相式気道陽圧ユニットを含む)の作動に影響を与えるおそれのあることが分かり、これを受け厚労省も令和2年7月10日に同リーフレットを都道府県に向け発行されています。
総務省が行った実験は極端な状況を想定したもので、臨床現場で必ず再現されるというものではなく、また臨床現場で同じ事象が実際に起きたという報告はなく、今回の実験を基に、患者さんや家族の携帯電話の利便を制限するものでは無いとしています。
しかしながら、実験の結果、携帯電話端末を極めて接近させた際に、成人用人工呼吸器や二相式気道陽圧ユニットが、携帯電話端末からの電波の発射を、患者の臩発呼吸であると誤って検知するといった事象が観察されました。(平成29年度・平成30年度)
携帯電話端末を人工呼吸器等から離す距離については、対象の医療機器の添付文書に記載がありますので、必ず確認を行い、近づけることの無い様徹底することが必要です。
喀痰吸引は、手順と留意点等、あらかじめ決められた注意点を守ることでご利用者様も介助者も安心して実施することが可能です。
障害者総合支援法も含め、需要が確実に伸びてきている中、介護の専門性を上げていくためにも実施の検討をしてみてはいかがでしょうか?