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実務者研修とは?資格取得までの期日と費用

2023-10-05

実務者研修は、介護職として働くにあたって、介護系の技術はもちろんですが、それ以外にも医療的ケアの知識も取得できます。

また、将来的に働きながら介護福祉士を取得する際には、実務者研修の受講は必須です。

ここでは、実務者研修について詳しく紹介するだけでなく、資格取得までの期日と費用まで詳しく解説します。

ぜひ、最後までお読みください。

 

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実務者研修とは?

介護福祉士実務者研修とも呼ばれ、介護職員初任者研修の上位に位置づけられている研修で、「社会福祉士及び介護福祉士法等の一部を改正する法律(平成19年法律第125号)」によって設立されました。

改正前は「ホームヘルパー2級」、「ホームヘルパー1級」、「介護職員基礎研修」など、多くの研修や資格が存在していたため、国家資格である「介護福祉士」になるためのルートが分かりにくい状況でした。

今後、高齢化が進んでいく国内において、介護人材は貴重な存在です。そんな介護人材を安定的に確保して、介護現場を魅力のある職場にするためにも、介護の世界で働き続けることができるキャリアパスのルートを整備していく事が重要であるとの考えから、「介護職員実務者研修」が設立されました。

この改定をきっかけに、ホームヘルパー3級、2級、1級は2013年度をもって全ての見直しが行われ、ヘルパー3級は廃止、ヘルパー2級は介護職員初任者研修へ、ヘルパー1級は介護福祉士実務者研修として転換されました。

この転換によって、介護現場において介護福祉士国家資格を上位に位置づけ、その下に実務者研修・初任者研修という体系化にして、介護職員のスキルアップが明確化されたのです。

 

参考:厚生労働省

介護業界の今後

結論から言うと、介護業界の将来性は非常に大きいです。

その大きな理由として、「2025年問題」があります。

2025年問題とは、2025年以降、団塊の世代が75歳以上の後期高齢者となり、日本が超高齢化社会になることで生じる問題を指します。この団塊の世代は1947〜1949年に生まれた世代で、現在約800万人の人口を有しています。

実際、総務省が集計した結果、2022年での国内総人口は、2021年と比較して82万人減少している一方で、65歳以上の高齢者人口は、3,627万人と約6万人増加し、過去最多となりました。

また、総人口に占める高齢者人口の割合も29.1%とこちらも過去最高となっています。

 

参考:総務省

 

この状況は今後も継続し、2025年には、75歳以上の人口が全人口の約18%となり、2040年には65歳以上の人口が全人口の約35%となると推計されています。

 

参考:厚生労働省

 

これらの事から、介護を必要とする利用者さんは今後より増加するため、介護職の存在は重要になります。

 

要介護者は増加傾向

介護を必要とする方を「要介護者」といい、要支援1〜2、要介護1〜5の段階に分かれます。

国内における要介護者ですが、高齢化の影響もあり年々増加傾向です。

厚生労働省によると、2020年度の要介護(要支援)認定者数は約682万人となり、2019年度に比べ約2.0%増加しています。

また、介護保険制度が開始された2000年度の認定者数約256万人と比べると約2.66倍増加しています。

 

参考:厚生労働省

 

介護業界は人手不足

ここまでの説明から分かるように、介護職の重要性は増すものの、人手不足が深刻です。

厚生労働省が令和3年に発表した、「第8期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数」によると、必要人数と不足人数を下記のように発表しています。

 

介護職員の必要数

人手不足人数

2023年度

約233万人

約22万人

2025年度

約243万人

約32万人

2040年度

約280万人

約69万人

 

参考:厚生労働省

 

これらの問題が身近に直面しているため、早急に介護人材を安定的に確保して、介護現場を今まで以上に魅力的な職場にすることが重要な課題となり、「社会福祉士及び介護福祉士法等の一部を改正する法律(平成19年法律第125号)」で改定が行われました。

 

介護福祉士の試験を受けるには、実務者研修の修了が必要

介護福祉分野で唯一の国家資格である介護福祉士を取得するには、下記のルートがあります。

 

  • 実務経験ルート
  • 養成施設ルート
  • 福祉系高等学校ルート

 

これらのルートの中で「実務経験ルート」は、介護現場で働きながら国家試験を受験するルートとなっており、働きながら取得を目指せるだけでなく、他のルートよりも費用負担が少ないため多くの場合このルートを選択します。

ただ、注意点として、実務経験ルートから介護福祉士になるためには、下記の条件を満たしておく必要があります。

 

  • 従業期間3年(1095日)以上
  • 従事日数540日以上
  • 実務者研修の取得

 

これらの内容からも、介護職としてスキルアップするためには、実務者研修は非常に重要なことが分かるはずです。

なお、介護福祉士の資格を取得するにかかる各ルートの費用は下記です。

 

受験ルート・保有資格

費用

実務経験ルート

無資格者

10万円程度

介護職員初任者研修・ホームヘルパー2級

8万円程度

介護職員基礎研修

3万円程度

養成施設ルート

100~200万円

福祉系高校ルート

公立:年間50万円程度

私立:年間100万円程度

 

介護職員初任者研修との違い

「介護職員初任者研修」と「介護職員実務者研修」は、どちらも介護に関わる研修ですが、研修内容は異なります。

介護職員初任者研修は、2013年に廃止された「ホームヘルパー2級」の後継としてできた資格で、介護職として働くために必要な基礎知識と技術を習得する研修です。

この研修は、介護職としてのキャリアをスタートするために最適な研修となっており、現在は訪問介護事業所でホームヘルパーとして働くためには、介護職員初任者研修修了者の取得が必要です。

取得も、約5〜10万円程度の費用負担で、取得期間も最短1ヵ月で可能なため、介護資格の中で最も取得しやすい資格です。

取得方法は、初任者研修講座を開講しているスクールに通って、10項目で合計130時間のカリキュラムを修了し、最後に修了試験(筆記)で合格する必要がありますが、最近はカリキュラムの130時間のうち、40.5時間は自宅で通信講座として受講できるようになっています。

具体的なカリキュラムは下記です。

 

項目

時間数

職務の理解

6時間

介護における尊厳の保持・自立支援

9時間

介護の基本

6時間

介護・福祉サービスの理解と医療の連携

9時間

介護におけるコミュニケーション技術

6時間

老化の理解

6時間

認知症の理解

6時間

障害の理解

3時間

こころとからだのしくみと生活支援

75時間

講義の振り返り

4時間

合計

130時間

 

参考:厚生労働省

 

介護職員初任者研修は、カリキュラムを受講するにあたっての条件、受験資格はないため、未資格・未経験の方でも資格取得を目指すことができるだけでなく、合格率もほぼ100%と高くなっています。

 

実務者研修修了者の取得方法

介護職員初任者研修と同じく、受講資格はありませんが、資格を取得するためには20科目・合計450時間に渡るカリキュラムを履修する必要があります。

しかし、介護職員初任者研修を取得している方が、実務者研修を受ける場合は、450時間のうち合計9科目・130時間の受講が免除されます。

具体的なカリキュラムは下記です。

 

介護職員実務者研修のカリキュラム

科目

受講時間

介護職員初任者研修修了者が免除される科目

人間の尊厳と自立

5時間

社会の理解Ⅰ

5時間

社会の理解Ⅱ

30時間

免除されない

介護の基本Ⅰ

10時間

介護の基本Ⅱ

20時間

免除されない

コミュニケーション技術

20時間

免除されない

生活支援技術Ⅰ

20時間

生活支援技術Ⅱ

30時間

介護過程Ⅰ

20時間

介護過程Ⅱ

25時間

免除されない

介護過程Ⅲ(スクーリング)

45時間

免除されない

発達と老化の理解Ⅰ

10時間

免除されない

発達と老化の理解Ⅱ

20時間

免除されない

認知症の理解Ⅰ

10時間

認知症の理解Ⅱ

20時間

免除されない

障害の理解Ⅰ

10時間

障害の理解Ⅱ

20時間

免除されない

こころとからだのしくみⅠ

20時間

こころとからだのしくみⅡ

60時間

免除されない

医療的ケア

50時間

免除されない

受講時間合計

450時間

320時間

 

*医療的ケアに関しては、講義50時間のほかに演習を受ける必要があります。

 

参考:厚生労働省

実務者研修修了者の期日

実務者研修は、資格を維持するための更新手続きなどは必要なく、研修を修了すると資格証(修了証明書)が発行され、一生ものの資格です。

しかし注意点があります。それは、実務者研修の資格に有効期限はないものの「受講期限」はあります。この受講期限は、各スクールによって異なりますが、多くの場合は3年が目安です。

ただ、受講期限の詳細については、異なる場合があるので必ずスクールに確認しましょう。

 

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実務者研修修了者の受講費用

通学講座・通信講座ともに費用はほぼ同額に設定されており、下記が目安の受講費用です。

 

取得している資格

受講費用

免許資格がない方

11~13万円程度

介護職員初任者研修 修了者の方

9~10万円程度

ホームヘルパー2級 修了者の方

9~10万円程度

ホームヘルパー1級 修了者の方

7~8万円程度

基礎研修 修了者の方

3~4万円程度

 

ただ、下記の公的制度を利用すると、受講費用の一部または全額が免除できます。

 

  1. ハロートレーニング(離職者訓練・求職者支援訓練)
  2. 教育訓練給付制度
  3. 介護福祉士実務者研修受講資金貸付制度

 

1.ハロートレーニング(離職者訓練・求職者支援訓練)

仕事を探している方を対象とした「無料の職業訓練制度」で、キャリアアップや希望する就職を実現するために必要な職業スキルや知識を習得できます。

受講料は国が行っている支援のため原則無料です。

実際に受講するためには、訓練の必要性等をハローワークが認めて、「受講あっせん」を受けることが必要なため、ハローワークで求職申込み・職業相談を行い、次に訓練の受講申込みをします。その後、面接・筆記試験等を受験し、合格したら受講あっせんが行われます。

また、ハロートレーニングには下記の2種類があります。

 

  • 公共職業訓練(離職者訓練)
  • 求職者支援訓練

 

参考:厚生労働省

 

公共職業訓練(離職者訓練)

主に雇用保険を受給している求職者の方を対象に、就職に必要な職業スキルや知識を習得するための訓練を無料(テキスト代などは自己負担)で実施しています。

また、原則的に有料ですが、在職者や高等学校卒業者の方などを対象とした高度な職業スキルや知識を習得するための訓練も実施しています。

 

求職者支援訓練

雇用保険に加入していない、または受給が終わったなどの理由で、雇用保険を受給できない求職者が対象で、就職に必要な職業スキルや知識を習得するための職業訓練を無料(テキスト代などは自己負担)で実施しています。

この制度は、再就職、転職、スキルアップを目指す方が月10万円の生活支援の給付金を受給しながら、無料の職業訓練を受講できます。

 

参考:厚生労働省

 

2.教育訓練給付制度

厚生労働省が指定している講座を受講した場合に、支払った学費の一部が支給される制度のことで、下記の3種類があります。

 

  • 専門実践教育訓練
  • 特定一般教育訓練
  • 一般教育訓練

 

参考:厚生労働省

 

専門実践教育訓練

労働者の「中長期的なキャリア形成」が主な目的となっており、教育訓練期間は最大で3年間となっています。

 

支給要件

在職者:

受講開始日現在で雇用保険の支給要件期間が3年以上ある。

はじめて支給を受ける場合は、雇用保険の支給要件期間が2年以上。

離職者:

上記の条件に加えて、離職日の翌日から受講開始日までが1年以内で、前回の教育訓練給付金受給から今回の受講開始日前までに3年以上経過している。

支給額

教育訓練施設に支払った教育訓練経費の50%。1年間で40万円が上限。(最大で120万円)4千円を超えない場合は支給なし。

受講修了後、定められた資格などを追加で取得し、1年以内に被保険者として雇用された場合にはさらに20%追加で支給される(最大で168万円)。

備考

受講の1ヵ月前までに「訓練前キャリアコンサルティング」を受ける必要がある。

 

なお、下記の医療・介護分野では下記の講座が対象です。

 

  • 看護師
  • 准看護師
  • 助産師
  • 保健師
  • 介護福祉士実務者研修
  • 社会福祉士
  • 柔道整復師
  • 精神保健福祉士
  • 言語聴覚士
  • 理学療法士
  • 作業療法士
  • 視能訓練士     など

特定一般教育訓練

「速やかな再就職と早期のキャリア形成」が主な目的となっており、教育訓練期間は最大で1年間となっています。

 


支給要件

在職者:

受講開始日現在で雇用保険の支給要件期間が3年以上ある。はじめて支給を受ける場合は、支給要件期間が1年以上。

離職者:

上記の条件に加えて、離職日の翌日から受講開始日までが1年以内で、前回の教育訓練給付金受給から今回の受講開始日前までに3年以上経過している。

支給額

教育訓練施設に支払った教育訓練経費の40%(最大で20万円)。4千円を超えない場合は支給なし。

備考

受講の1ヵ月前までに「訓練前キャリアコンサルティング」を受ける必要がある。

なお、下記の医療・介護分野では下記の講座が対象です。

 

  • 介護職員初任者研修
  • 介護支援専門員実務者研修
  • 喀痰吸引等研修
  • 福祉用具専門相談員     など

 

一般教育訓練給付金

「安定した雇用と再就職の促進」が主な目的となっており、教育訓練期間は最大で1年間となっています。

 

支給要件

在職者:

受講開始日現在で雇用保険の支給要件期間が3年以上ある。

はじめて支給を受ける場合は、支給要件期間が1年以上。

離職者:

上記の条件に加えて、離職日の翌日から受講開始日までが1年以内で、前回の教育訓練給付金受給から今回の受講開始日前までに3年以上経過している。

支給額

教育訓練施設に支払った教育訓練経費の20%(最大で10万円)。

4千円を超えない場合は支給なし。

なお、下記の医療・介護分野では下記の講座が対象です。

 

  • 介護福祉士
  • 介護支援専門員(ケアマネジャー)
  • 調理師
  • 保育士     など

 

3.介護福祉士実務者研修受講資金貸付制度

介護福祉士の人材確保を図るため、各都道府県の社会福祉協議会が、20万円を上限に無利子で受講費用を貸付する制度です。

対象となる条件は下記です。

 

  • 該当の都道府県内に在住している
  • 養成施設に在学中もしくは入学手続きが済んでいる
  • 卒業後は介護福祉士として登録し、介護業務に従事する意思がある

 

条件は各自治体により多少異なるため、在住の都道府県ホームページに確認しましょう。

 

参考:厚生労働省

 

実務者研修を修了するまでのスケジュール

研修の受講時期は人によって異なるものの、なるべく早く受講を検討しましょう。

特に介護福祉士の取得を目指している場合は、国家試験が1月にあるため、その年度の12月には取得しましょう。

研修期間は初任者研修の有無によっても異なりますが、下記の日程が1つの目安です。

 

初任者研修修了の有無

受講時期

初任者研修修了がない場合

研修時間が450時間になるため、6ヵ月程度の期間が必要。そのため、遅くても6月頃から受講をスタートしましょう。

初任者研修修了がある場合

研修時間が130時間免除され、合計320時間になるため、受講スケジュールによっては最短2ヵ月程度で取得できるため、遅くても11月〜12月頃から受講をスタートしましょう。

 

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まとめ

今回は、実務者研修についてと、資格取得までの期日・費用について紹介しました。

実務研修は、介護職員初任者研修の上位に位置づけられている研修で、実務経験ルートから介護福祉士の取得を目指す場合には必ず研修を受講しておく必要があります。

実務者研修は、資格を維持するための更新手続きなどの必要性はないため、一生ものの資格ですが、実際に取得するには最短でも2ヵ月、最長で6ヵ月程度の期間が必要です。

実務研修後に介護福祉士の資格受験を目指している場合は、介護福祉士の試験が1月に実施されるため、逆算して実務者研修を受講することが重要です。

今後、国内は今まで以上に高齢者人口の割合が高くなるため、実務者研修を含めた介護系資格の重要性は高くなると予測されます。

 

 

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