ケアマネジャーは利用者や家族が必要とする介護のサービスを把握し、ケアプランを作成しながらサービス提供をサポートする仕事です。利用者と家族、サービス提供者をする事業者との橋渡しを担うケアマネジャーの年収がどの程度なのか、興味を持つ人も多いでしょう。
そこで今回はケアマネジャーの年収から年収アップを目指す方法について紹介します。この記事を参考にケアマネジャーの資格を取得し、年収アップを目指していきましょう。
目次
ケアマネジャーの平均年収は以下の通りです。
- 平均月収:29万7,100円
- 平均賞与額:65万1,000円
- 平均年収:(月収×12ヵ月分)+賞与=421万6,200円
この金額と日本の平均年収を比較してみましょう。国税庁発表の「令和4年分 民間給与実態統計調査」によると、日本の平均年収は約458万円です。そのためケアマネジャーの平均年収は日本の平均年収よりもやや低い事が分かります。
ケアマネジャーの月収の総額は約29万円です。ケアマネジャーの平均年齢である52歳(独身)の月収を例に算出します。
- 平均月収:29万6.300円
- 健康保険料:14,970円
- 介護保険料:2,400円
- 厚生年金保険料:27,450円
- 雇用保険料:1,778円
- 所得税:6,530円
- 手取り額:24万3,172円
計算結果から、ケアマネジャーの平均手取り額は約24万円であることが分かります。
短時間勤務のケアマネジャーの平均時給は、1,801円です。その他の社会福祉専門職業従事者の平均時給は、1,369円です。このことから、ケアマネジャーの平均時給は、ほかの社会福祉従事者と比較しても高い事が分かります。
ここではケアマネジャーの賞与についてみていきます。表でまとめてみましたので、参考にしてみてください。
勤務年数 | 0年 | 1~4年 | 5~9年 | 10~14年 | 15年以上 |
賞与他特別手当(千円) | 237.3 | 504.3 | 625.1 | 654.2 | 750.2 |
このように勤続年数があがるにつれて、賞与があがっていくことが分かります。賞与があがることで年収も上がっていくため、長く勤めることが重要です。
ここではほかの介護職員とケアマネジャーの平均年収を比較していきます。
今回比較するのは介護職員と訪問介護従事者です。この2つの職種とケアマネジャーの平均年収を表で比較していきます。
職種 | 平均月収(円) | 平均賞与(円) | 平均年収(円) |
ケアマネジャー | 29万7,100 | 65万1,000 | 421万6,200 |
介護職員 | 26万3,600 | 55万600 | 371万3,800 |
訪問介護従事者 | 26万4,800 | 49万300 | 366万7,900 |
このように同じ介護職ではあるものの、年収を比較するとケアマネジャーの方が高い事が分かります。このことから、介護職で収入をあげるにはケアマネジャーを目指すのがよいでしょう。
ここではケアマネジャーの年齢別の年収を、表にして紹介していきます。なお、今回紹介するのは企業規模計が10人以上のデータを参考にしています。(金額は全て「千円」単位で記載)
まずは30代のケアマネジャーの平均年収をみていきましょう。
年齢 | きまって支給する現金給与額 | 所定内給与額 | 年間賞与・その他特別支給額 | 平均年収 |
30~34歳 | 259.3 | 251.8 | 421.1 | 3,532.7 |
35~39歳 | 289.8 | 279.9 | 643.7 | 4,121.3 |
このように同じ30代であったとしても、前半と後半かでも大きく差がでます。特に賞与が大きく影響を受けています。これには平均勤続年数も関係しており、30代前半は約5.5年、30代後半は7.4年と差があるため、それが給与にも影響を与えています。
次に40代のケアマネジャーの平均年収をみていきましょう。
年齢 | きまって支給する現金給与額 | 所定内給与額 | 年間賞与・その他特別支給額 | 平均年収 |
40~44歳 | 311.2 | 302.0 | 695.7 | 4,430.1 |
45~49歳 | 299.4 | 286.8 | 744.9 | 4,337.7 |
40代では賞与その他の額は40代後半の方が額が大きいですが、月給に関しては40代前半の方が多い事が分かります。これには平均勤続年数がかかわっていると考えられます。40代前半の平均勤続年数は11.1年であるのに対し、40代後半は10.7年です。この差が平均年収に影響を与えていると考えられます。
最後に50代の年収をみていきましょう。
年齢 | きまって支給する現金給与額 | 所定内給与額 | 年間賞与・その他特別支給額 | 平均年収 |
50~54歳 | 310.6 | 297.0 | 734.5 | 4,461.7 |
55~59歳 | 290.5 | 280.3 | 626.4 | 4,112.4 |
50代は前半の方が、給与等を比較しても多い事が分かります。50代前半の勤続年数の平均は11.3年であるのに対し、50代後半は9.1年と短いです。経験を積んでからケアマネジャーを目指す人が多いことが、勤続年数に現れていると考えられます。
ここまで年代別のケアマネジャーの年収をみてきましたが、男女で違いはあるのでしょうか。ここでは男女別のケアマネジャーの年収をみていきます。(金額は全て「千円」単位で記載)
ここでは男性のケアマネジャーの平均年収をみていきます。
年齢 | 勤続年数 | きまって支給する現金給与額 | 所定内給与額 | 年間賞与・その他特別支給額 | 平均年収 |
47.8歳 | 11.4年 | 323.7 | 310.6 | 742.4 | 4,626.8 |
先ほど見た40代後半の平均年収よりも、男性の平均年収の方が高い事が分かります。このことから女性の平均年収が低いため、男女合計の平均年収が男性のみよりも低くなると推察されます。
ここでは女性のケアマネジャーの年収をみていきます。また、合わせて男性よりも年収が低いのかを確認していきます。
年齢 | 勤続年数 | きまって支給する現金給与額 | 所定内給与額 | 年間賞与・その他特別支給額 | 平均年収 |
53.8歳 | 10.5年 | 288.3 | 278.7 | 620.8 | 4,080.4 |
先ほど見た50代前半の年収と比較して、平均年収が低い事が分かります。また、男性と比較しても年収が低いです。日本の平均年収は男女で差がありますが、同じケアマネジャーの年収を比較しても、女性の方が低い事が分かります。
ここまでケアマネジャーの平均年収をみてきましたが、ケアマネジャーの年収は全国平均と比較すると、やや低い事が分かりました。それでは、年収をアップさせることはできないのか、考える人も出てきます。
結論から言うと年収アップの方法はあります。ここでは年収アップ方法を4つみていきましょう。
先ほどの平均年収から、ケアマネジャーの年収は実務経験や勤続年数が長くなることで増えていきます。特に定期的な給与査定をおこなっている職場であれば、給与アップが望みやすいです。また、実務経験を積むことで主任ケアマネジャーの受講資格も取得でき、より給与アップが見込めるようになります。
ケアマネジャーとして長く勤務していると、主任や管理者などの役職に就くことがあります。それぞれの役職には役職手当が出るほか、経験年数に応じた基本給昇給が見込めます。
役職手当と経験年数により基本給の昇給が期待できるため、ケアマネジャーとして経験を積み昇給を目指すことがモチベーションの維持にも貢献します。
同じケアマネジャーでも居宅ケアマネジャーと施設ケアマネジャーとでは、施設ケアマネジャーの方が給与が高い傾向にあります。また、多くの介護施設では慢性的にケアマネジャーが不足しているため、待遇の良い施設へ転職しやすい傾向にあります。
転職する際は基本給だけではなく、昇給制度や福利厚生がしっかりしているかも確認したうえで検討するとよいでしょう。
ケアマネジャーが独立を検討する際は、経験年数や個人のスキル、提携する企業により年収アップが見込めます。しかし、新規に立ち上げる場合は初期費用や新規顧客獲得などのマーケティングコストがかかるため、収入が安定するまで時間がかかります。
そのため開業したての時期は収入が見込めない可能性が高いため、費用も含めある程度の貯蓄はしておいた方がよいでしょう。
ケアマネジャーの年収は、現在は全国平均の年収よりもやや低い現状です。しかし、介護関係の職種と比較すると、高い年収を得ています。さらに介護業界の年収アップやケアマネジャーの人材確保のために、処遇を改善する動きがみられています。
このことから将来的には年収500万円を上回ることができると考えられます。ケアマネジャーの年収は勤続年数などで増加していくため、今のうちにケアマネジャーを目指し将来高額な年収を得る準備をしていきましょう。