ケアマネジャーは、要介護者などのケアプラン作成や介護保険の給付管理などを行う仕事です。ケアマネジャーの資格を取得するには、国家資格を保有した上で、一定の現場経験を積み、試験に合格する必要があります。
ケアマネジャーの資格を取得する方法や具体的な仕事内容について、詳しく知りたい方も多いのではないでしょうか。
この記事では、ケアマネジャー資格の取得方法や仕事内容について詳しく解説していきます。
目次
ケアマネジャーとは、要介護または要支援の認定を受けた方のケアマネジメントを担当する介護支援のことをいい、介護支援専門員とも呼ばれています。
介護が必要な方に対して可能な範囲で自立した生活が送れるように、個々のニーズに応じたケアプランを作成したり、利用者と介護事業所との連絡調整を行ったりします。
ケアマネジャーの中には、居宅介護支援事業所で働く職員の他に、老人ホームなどの施設に所属する施設ケアマネジャーもいます。
施設での相談援助は、悩みや問題を抱えている人から相談を受け、解決するためのサポートをすることが主な業務です。
利用者とその家族が直面する問題解決へ向けた相談援助を通じて、生活の質の向上を目指すことがケアマネジメントの目的です。
ケアマネジャーになるためには、介護支援専門員実務研修受講試験に合格する必要があります。
ここでは、ケアマネジャー資格を取得する流れをわかりやすく解説します。
ケアマネジャーの受験申し込みには、必要な書類を決められた期日までに提出する必要があります。受験申し込みに必要な書類は、以下の通りです。
他にも、複数の事業所に掛け持ちで勤務した場合には「従事日数内訳証明書」も提出が必要です。「従事日数内訳証明書」とは、同じ期間に複数の事業所に所属している場合に必要となる書類で、実務経験証明書と併せて提出します。
ケアマネジャーの受験申込書は都道府県や市区町村、健康福祉センターなどの窓口で入手できます。一部の地域では、郵送での受け取りも可能なため、各自治体のホームページも確認しておきましょう。
申し込み開始時期は6月上旬〜7月上旬です。万が一、書類に不備があると返送される可能性もあるため、書類の準備ができたら早めに公益財団法人社会福祉振興・試験センターへ郵送しましょう。
介護支援専門員実務研修受講試験の試験日や試験内容は以下をご参照ください。
概要 | 詳細 |
試験実施時期 | 10月中旬〜下旬/1年に1回 |
試験形式 | 筆記試験 |
試験範囲 | 介護支援分野 25問 計60問 |
試験時間 | 120分/60問 |
ケアマネジャーとして働くには、試験に合格した後に介護支援専門員実務研修を修了する必要があります。
介護支援専門員実務研修は、ケアマネジャーとして必要な知識や技能の養成を図ることを目的としています。研修内容は、介護サービス計画の作成やモニタリングの実施など、ケアマネジメントに関するさまざまな業務に関するものです。
カリキュラムは、基本的に前期と後期に分けており、研修時間は合計87時間以上です。研修の最後には、研修内容が身についているかを判断するために「修了評価」が実施されます。
介護支援専門員実務研修は、定員数が決められているため早めに実施時期を確認しましょう。
介護支援専門員実務研修を終えたら、3カ月以内に介護支援専門員資格登録簿に登録する必要があります。介護支援専門員資格登録申請に必要な書類は以下の通りです。
各都道府県によって申請先や書類様式が異なっている場合もあるため、間違えないように注意しましょう。
介護支援専門員資格登録簿に登録するだけでは、ケアマネジャーとして働くことはできません。介護支援専門員証の交付申請をすることで、晴れてケアマネジャーとして働けます。
申請してから1ヶ月後に交付されますが、有効期間は5年間で、満了日までに研修を受けて更新する必要があります。
ケアマネジャーの仕事は、要介護者や要支援者のケアプラン作成から介護保険サービスの給付管理まで多岐にわたります。
ここでは、ケアマネジャーの仕事内容をわかりやすく解説していきます。
ケアプランとは、介護サービス計画書とも呼ばれ、介護を必要とする方に対して個々のニーズに応じた介護サービスを提供するために欠かせない計画書です。ケアマネジャーが、アセスメントを実施し、どのような介護サービスが必要であるかを判断した上で、ケアプランを作成していきます。
介護サービスが開始されたら、定期的に自宅を訪問して利用者の状況をモニタリングします。その際に、サービスが思うように成果を上げていない場合や利用者の状態が変化した際には、ケアプランを見直した上で支援の方向性を修正していくこともケアマネジャーに求められる重要な役割です。
サービス担当者会議とは、介護サービスを提供するための関係者が集まり、情報を共有し、ケアプランの内容について話し合い、検討する会議です。
一般的には、ケアマネジャーが会議を進行して、ケアプランの内容を関係者の意見を聞きながらまとめます。
介護保険サービスは要介護度に応じて月ごとの給付限度額が設けられています。そのため、給付限度額の範囲内に収まるようサービス量を調整することも、ケアマネジャーに求められる役割の1つです。
毎月10日までに前月に利用したサービス内容をまとめた書類を作成し、国民健康保険団体連合会に請求する必要があります。
ケアマネジャーになるためには、まず受験資格を得るために必要な実務経験を満たさなければいけません。また、資格の有無によって、求められる実務経験の年数も変わります。
ここでは、ケアマネジャーになるために必要な実務経験の年数を保有する資格ごとに解説していきます。
介護福祉士を取得している場合、ケアマネジャーの受験資格を得るためには5年間の実務経験と900日以上の従事日数が必要です。実務経験には、正社員やパート、派遣なども含みます。
介護福祉士資格を取得する前の実務経験や休業期間は、日数としてカウントされないため注意しましょう。
介護職員初任者研修を修了している場合は、最短5〜8年でケアマネジャーを目指せます。
まず、介護職員初任者研修終了後には、3年間の実務経験と介護福祉士実務者研修を修了して介護福祉士の資格を取得する必要があります。
さらに介護福祉士を取得後、5年間の実務経験が必要です。その後、ケアマネジャーの受験資格が得られるため、これらの過程を踏まえると5〜8年は必要となるでしょう。
無資格からケアマネジャーになるためには、3年で介護福祉士の資格を取得後、その後5年の実務経験を積む必要があるため、最短でも8年が必要です。
ケアマネジャー資格取得を検討している人の中には、平均年収や合格率などを気にしている方も多いでしょう。
ここでは、ケアマネジャーに関するよくある質問について解説します。
ケアマネジャーは、利用者やその家族、医療・介護の専門職と頻繁に連携をとるため、コミュニケーション能力が求められます。
また、介護保険制度は5年ごとに改正されるため、常に最新の情報を把握して、利用者の支援に役立てられる方が向いています。
家族や利用者に寄り添うための共感力やケアプランを立てる計画性などが求められるため、それらの能力を生かしたいとお考えの方は、ケアマネジャーとして活躍できるでしょう。
ケアマネジャーは国家資格ではありません。
ケアマネジャーの受験資格には国家資格を保有していることが含まれていますが、各都道府県ごとに登録し、管理されている公的資格です。国家資格と勘違いされる場合も多いため、間違えないように注意しましょう。
就業者統計データによると、ケアマネジャーの全国の平均年収は405.8万円です。ただし、働く職場や地域によっても大きく変動するため、全国平均はあくまで目安と考えるとよいでしょう。
ケアマネジャーの合格率は、開催年度によって合格率が多少変動していますが、過去5年間の合格率は約20%前後です。
開催年度 | 合格率 |
第22回(令和元年度) | 19.5 % |
第23回(令和2年度) | 17.7 % |
第24回(令和3年度) | 23.3 % |
第25回(令和4年度) | 19.0 % |
第26回(令和5年度) | 21.0% |
引用:厚生労働省「第26回介護支援専門員実務研修受講試験の実施状況について」
介護職としてのキャリアアップに悩んでいる方は、ケアマネジャーを検討するのも選択の1つです。
ケアマネジャーは、利用者やその家族、医療・介護の専門職と連携し、支援計画を策定、管理する重要な役割を担います。
ケアマネジャーが作成したケアプランを元に、介護サービスが実施されるため、要介護者や要支援者に寄り添ったケアを提供できる充実感を感じられます。
介護分野での経験を生かしながら、新たな挑戦をしたい方には、ケアマネジャーとして活躍することをおすすめします。