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訪問看護師になりたい方必見!仕事内容や年収、必要なスキルまで詳しく解説!

2024-08-09

元山 ゆず香

監修者

介護福祉士

元山 ゆず香

大学を卒業後、特別養護老人ホームにて現場業務に従事。その後、福祉系大手企業に入社し、エリアマネージャーとして、施設介護事業・居宅介護事業・障害福祉サービス事業でのエリアマネジメント・行政対応を経験。また、法人本部に異動し教育部門・監査担当部門の部長を歴任。現在は全国の介護・障害福祉事業所の支援やセミナーの開催、DXO株式会社での介護関連事業の支援などを実施。

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高齢社会を迎えた日本の看護師需要は高まり続けています。利用者の中でも、最期の時間は自宅で迎えたいという声があり、訪問看護師の需要は高まり続けています。病院やクリニックからの転職も増えていますが、訪問看護師と比べて業務や給料が変わることに不安を覚える方は多いです。

この記事では、訪問看護師の業務内容や給料に関して詳しく解説をしていきますので、ぜひ参考にしてみてください。

目次

訪問看護師とは?

訪問看護師は利用者の自宅に訪問して健康面や生活などで気になっていることを聞き出します。訪問先では血圧や脈拍などを測定して体調を観察して、医療や生活面から健康状態を管理することが主な仕事です。病状の悪化防止や生活障がいの体調悪化防止、健康管理など利用者が安心して生活を送れるように支援をおこないます。

また、医師の指示のもとで体調により、点滴や注射、傷や褥瘡の処置、胃ろうなどの栄養管理や吸引などの呼吸管理、服薬管理を含めた疼痛のケア、下剤の調整などもおこないます。医療的なケアは、かかりつけ医と相談をしたり、指示を受けておこないます。そのほかにも、介護予防や介護方法、在宅で必要な訪問介護などのサービスについての相談や助言をおこないます。

訪問看護師は、病気や障がいの状態を考慮しつつ、安心して生活をできる方法を利用者や介護者と一緒に考えます。生活全般を支えるために、医師やケアマネージャー、介護職員、リハビリ職員などの在宅ケアに関わる職種と協力して、生活を続けるための手伝いをすることが訪問看護師としての役割です。

訪問看護師の4つの役割

訪問看護師は利用者や介護者にとって信頼できる存在でないといけません。大切な家族を任せることは、介護者にとっても不安なことでもあります。

以下の4つは特に大切なことなので、ぜひ知っていただきたいです。

1.疾病予防・介護状況の悪化防止

訪問看護師は利用者の慢性疾患や障がいなどの悪化防止に努めなければなりません。看取りの後の遺族訪問は特に夫が遺族となった場合は、閉じこもりがちになったり、食事摂取が不十分になったりしがちです。訪問看護師は、自宅に訪問してブリーフケアをおこなうことで利用者を支えつつ、主治医に必要事項を伝え、介護予防や健康状態の悪化防止に努めることが役割です。

2.利用者や介護者らしい生活を支える支援

退院後、在宅療養へ切り替える際に、退院患者(利用者)も訪問看護師も安心して在宅療養をおこなう環境を整えるためには、医師同士で連携し、利用者の情報を正しく伝えることが重要です。
また、医療と生活の両方に関わることのできる訪問看護師が、24時間体制で在宅医療とケアをおこなうことで、利用者は安心して自分の生活を送ることができます。

しかし、在宅の訪問は「すぐに行きます」と言えないことが現実です。そのため、訪問看護師は普段から利用者、介護者の潜在能力を見つけて引き出し、発揮していただけるように自己管理力を支えることも大切な役割です。利用者が最期まで生ききれるように、多職種が重なり支援できるチームを作ることが重要になります。

3.利用者の状態等のアセスメントや看護計画の作成、緊急対応

在宅では慢性的な状態のマネジメントが主となりますが、癌末期、重症児など重症度の高い在宅利用者が多いです。訪問看護師は利用者の心身状態、病状、療養環境などアセスメントを徹底して課題を導き出し、看護計画を作成しなければなりません。

また、24時間体制の訪問看護事業所は携帯電話におけるオンコール体制がほとんどです。訪問してから主治医の指示を受けて対応することもあれば、救急車での搬送などもあります。特に看取りでは多職種がケアのプロセスを共有することが大切です。

4.多職種間との連絡調整やサービス調整マネジメント

訪問看護師の役割の一つとして、在宅支援チームの多職種間との連携が機能するように、必要情報の流通を助けることが挙げられます。保健・医療・福祉の領域を超えて在宅支援チームを作り、一堂に会しておこなうカンファレンスだけでなく、小規模な連絡会・電話やファックス・スマートフォン・タブレットを用いるなど様々な情報交換方法があります。昔ながらの方法では利用者のベッド付近に連絡ノートを置くなどもありますが、多様な方法を用いてチーム間の連絡や連携がスムーズにとれる環境を整えることが大切です。

また、介護支援専門員が介在しない医療保険での在宅療養では、訪問看護師は他職種間の連絡担当に加え、サービス調整を担当する事例もあります。多くの訪問看護師が、介護支援専門員の資格を持ちながら訪問看護師として働いており、サービス調整等マネジメントの役割も担っています。

訪問看護師の主な仕事内容

訪問看護師の看護内容は、介護度が高くなるにつれ「家族等の介護指導、支援」「身体の清潔保持の管理、援助」「排泄の援助」等の割合が高くなっています。

下記では訪問看護師の仕事内容について解説していきます。

病状(健康状態)の観察

訪問看護師は利用者の自宅に訪問し、医師の指示書のもとにケアをおこなうため、業務内容は医療機関での勤務とは少し異なります。

主な健康状態の観察でおこなうものは2つになります。

  • 呼吸、体温、血圧、脈拍、血糖値などのバイタル測定
  • 健康状態や持病の状態の確認

上記が必要な健康状態の観察になります。

バイタルチェックや問診を通じて、利用者の症状が落ち着いているかや、健康状態に変化がないかを観察し記録します。この記録は医師が今後の治療方針を決定する際の判断材料になるので詳しく記入することが大切です。

日常生活のケア

訪問看護師は利用者の日常生活のケアもおこないます。

  • 栄養管理や食事の援助(食事介助や経管栄養剤投与など)
  • 清潔ケア(清拭や足浴、入浴の援助など)
  • 排泄ケア(浣腸や摘便など)
  • 体位変換、移乗サポート(ベッド上の体位変換、ベッドから車椅子への移乗など)

場合によっては、爪切りや歯磨きなどのサポートも訪問看護師がおこないます。利用者が安心に生活ができるように、衛生面や安全面に注意しながら支援をおこないます。

医師の指示にもとづく医療処置

訪問看護師は医師の指示による医療指示をおこなう必要もあります。おこなうことは大きく分けて2つあります。

  • 点滴、カテーテル管理、インスリン注射、服薬管理
  • 在宅酸素や人工呼吸器等の医療機器の管理

この他にも、誤飲や飲み忘れを防ぐための服薬管理もおこなうことも訪問看護師の重要な役割です。

認知症のケア

訪問看護では認知症を抱える利用者のケアもおこなっています。

  • 認知症による事故防止
  • 認知症介護の相談やアドバイス

上記の2つが主なケアになります。

利用者だけのケアだけでなく、介護者の負担を軽減するための支援もおこないます。認知症ケアは今後も必要とされる支援になると予想されます。

リハビリテーション

訪問看護師のおこなうリハビリテーションは主に3つです。

  • 褥瘡予防のケア
  • 寝たきり予防のためのケア
  • 身体機能回復のためのリハビリ

他にも、寝返りや起き上がりをベッドの上で訓練をしたり、座位や立位の姿勢を保つ訓練などもおこないます。

エンドオブライフ・ケア

エンドオブライフ・ケアとは、最後までその人らしく生きることができるように支援するケアです。

エンドオブライフ・ケアをおこなう条件は以下のことが考えられます。

  • 利用者、介護者が自宅での療養や看取りを希望している
  • 利用者、介護者の心身の負担が増大せずに在宅医療を継続できる
  • 病院、診療所や訪問看護により、24時間の連絡体制がある
  • 利用者、家族の不安や揺れに寄り添ったサポートがある
  • 利用者や介護者も含めた在宅ケアチームの連携がある

利用者がエンドオブライフ・ケアを望まれた時に必要なケアをおこなえるようにチームとして機能することが大切です。

介護者への介護指導・支援

訪問看護師は介護者への介護指導や支援をすることも大切な役割です。介護者が在宅での看護や介護で困っていることを聞き取り、アドバイスや必要な支援を提供し、介護者の不安を払拭します。在宅での生活をしていくためには、介護者への支援は必要不可欠です。

訪問看護報告書および計画書などの書類作成

利用者の自宅訪問が終われば訪問看護報告書や計画書などの書類を作成します。

主な業務は3つになります。

  • カルテの管理
  • 日常的な訪問記録の作成
  • 月次の訪問看護報告書の作成

訪問看護師は、1日の終わりに、その日実施した看護の内容や利用者の状態を訪問記録として残し、医師など利用者に関わるスタッフに伝えます。

訪問看護師の一日の流れ

訪問看護の1日の訪問件数は訪問看護ステーションによって異なりますが、およそ4〜5件です。訪問先まで車で時間がかかる場合は訪問件数が少なくなることもあります。あくまで一例ですが、以下では訪問看護師の1日のスケジュールについて紹介します。ぜひ、参考にしてみてください。

9:00|出勤・情報収集

訪問看護ステーションに出社して、電話やメールの確認をします。訪問する利用者のカルテを確認して、訪問に必要な物品などの準備をおこないます。全体ミーティングでは、1日の訪問の流れや、利用者の情報共有もおこないます。

9:30|午前の訪問開始

1件あたり1時間の訪問を1〜2件回ります。

12:00|休憩

事業所や次の訪問先付近で休憩をとります。

13:00|午後の訪問開始

3〜5件目の訪問をおこないます。訪問以外ではカンファレンスやサービス担当者会議などをおこなうこともあります。

17:00|訪問記録や申し送りの実施

全ての訪問が終わったらステーションに戻ります。訪問した利用者のカルテの記録や申し送りをして、計画書や報告書の作成、変更もおこないます。

18:30|帰宅

全ての業務が終わったら退社します。残業はほとんどない傾向です。

訪問看護師の年収は約556万円!年収1000万円を得るには?

訪問看護師の年収は約556万円になります。事業所によって年収、ボーナス、オンコール加算などにより差はあります。以下では月収や年収を上げる方法について解説しています。ぜひ参考にしてみてください。

参考:厚生労働省「令和5年度介護事業経営実態調査結果

訪問看護師(正看護師)の平均月収は46万3,927円

訪問看護師の平均月収は46万3,927円になります。月の月収の46万3,927円を12ヵ月の合計で年収は約556万円になりますが、ボーナスや加算などにより金額は異なります。

訪問看護事業所の開業で訪問看護師として年収1000万円を得られる可能性も

訪問看護師が独立開業をして年収1000万円を目指すことも可能です。雇用されている身分だと収入に限界がありますが、自分が法人代表になることで高収入を目指せます。ニーズも高まっており、高齢化が進む日本では大きなチャンスとも言えます。

訪問看護師の給料に影響する訪問看護事業所の特徴

訪問看護師は訪問看護事業所により給料に変動があります。特に事業所がどんな体制をとっているかによっても、もらえる給料に差ができます。例えば、以下の特徴があります。

オンコール制度

オンコールとは利用者が緊急を要する状態の時に、すぐ対応ができるように待機する勤務形態になります。緊急時に出勤した場合は時間外の手当が支給されます。緊急時訪問看護加算の取得率は約77%のため、オンコール制度のある事業所に就業することで給料を上げることができます。

参考:厚生労働省「訪問看護における主な加算等の算定状況 」

インセンティブ制度

インセンティブ制度とは出来高制の給与形態のことをいいます。訪問看護ステーションの場合は「訪問件数に応じて手当を支給する」になります。つまり、訪問すればするだけ手当が支給される、という認識になります。

ボーナス

ボーナスも訪問看護ステーションによって様々です。しかし、少人数でおこなっている訪問看護ステーションの場合は、ボーナスがないこともあります。

訪問看護師になるには?必要な資格やスキルを解説

訪問看護師は誰にでもできる仕事ではありません。訪問看護師になるために、以下では必要な資格やスキルについて詳しく解説をしていきます。ぜひ、参考にしてみてください。

訪問看護師に必要な資格

訪問看護師に必要な資格は、正看護師か准看護師の国家資格が必須になります。他に特別な資格はありませんが、正看護師か准看護師かで出来ることに違いがあります。以下では、2つの特徴について記載しています。

正看護師

正看護師は自分の判断で患者やケアをおこなえることが特徴です。利用者にとって最良のケアをおこなえることが強みになります。

准看護師

ここでは准看護師ができることと、できないことについてまとめています。

【准看護師ができること】

  • 血圧、脈拍、体温の測定
  • 点滴の作成、投与採血、点滴路の確保
  • 食事や排泄、入浴の介助、薬の管理
  • 処置の補助
  • 褥瘡防止のための体位変換
  • カンファレンス参加
  • カルテ入力業務

【准看護師ができないこと】

  • 指示されていない看護業務
  • 看護計画の立案
  • 他の看護師への指示
  • 管理職への昇進

准看護師の特徴は看護師と大きく変わりませんが、自身で判断して看護業務を遂行できないことが大きな違いになります。

訪問看護師のスキルアップができる資格

訪問看護師は他の資格がなくても業務に支障なくケアが可能ですが、資格を取得することでスキルアップをおこなうことが可能です。下記で詳しく解説をしているので、参考にしてみてください。

在宅ケア認定看護師

現在は病院から早期に退院して在宅医療へ移行する動きが強まっています。治療が必要な状況でも「住み慣れた自宅で過ごしたい」という利用者の希望から「在宅ケア認定看護師」のニーズは高まっています。また、訪問看護事業所の増加に伴い、病院やクリニックで勤めていた看護師の転職が増えたため、在宅ケア認定看護師の需要は高まりつつあります。

地域看護専門看護師・在宅看護専門看護師

地域看護専門看護師・在宅看護専門看護師は訪問看護ステーション、行政機関、教育機関、地方議会など様々な場所で、地域の人々の生活に沿った看護を提供できます。地域全体を見回すことで、利用者にとってどんな看護が必要か、訪問看護師の育成、在宅看護に関わる他職種との連携をおこなうことができます。

認知症ケア専門士

介護、医療、福祉などの場で認知症ケアのプロフェッショナルとして認知症に関する様々な知識や技術を伝えることができます。認知症の利用者の対応に困ったり、悩んだりしている介護職員にアドバイスをおこなうことや、介護者に対してもアドバイスをおこなえます。また、要介護1以上で20%の利用者に対して認知症ケアがおこなわれています。訪問看護分野は認知症ケア専門士が活躍できる場とも言えます。

参考:厚生労働省「要介護度別の訪問看護の実施状況1(看護内容)

訪問看護師に必要なスキル

訪問看護師は資格だけでは、業務をおこなうことは難しいです。以下では、身につけた方がいいスキルについて解説をします。ぜひ、参考にしてみてください。

コミュニケーションスキル

利用者から信頼を得るためには、コミュニケーションが大切です。訪問看護師はあらゆる場面で高いコミュニケーション能力が求められます。しかし、訪問看護師が一方的に話すだけでは必要な情報は得られません。まずは、しっかり利用者や介護者の話を聞きます。その上で、できることを利用者と考えていくことが必要になります。訪問看護師は、利用者がどう症状と向き合っていくのか、利用者にとって最善の方法を考えていくことが重要です。

社会人としてのマナー

訪問看護は病棟やクリニックの看護業務と異なり、利用者の自宅に入る、という視点を忘れてはいけません。社会人としてのマナーを守ることで信頼における訪問看護師としてみられることができます。以下のポイントはぜひ参考にしてください。

  • 清潔感のある服装、化粧、整髪、香りを心がける
  • しっかりと挨拶をする
  • 言葉遣いには気を付ける
  • 訪問時の自身の振る舞いには気を付ける
  • 遅刻はしない

以上が特に気を付けるポイントになります。もしマナーができていなければ、看護業務がしっかりできていてもマイナスイメージにも繋がるため、しっかり意識しておくことが大切です。

アセスメントスキル

訪問看護で大切なことは、利用者の自宅で過ごしたい気持ちを尊重することです。利用者や介護者の希望を正確に評価し、自宅で安全に生活をしていくための健康状態や身体状態のアセスメントができる必要があります。

普通車運転免許

地方なら運転免許は必須になります。電車やバスなど移動機関が使えない場所では車は絶対に必要になります。

訪問看護師は特別な資格は不要!利用者らしい生活を支えよう

訪問看護師は国家資格を持っていれば、それ以外に必要な資格は不要です。病院やクリニックで従事することとは違い、責任感は伴いますが自由度の高い職種になります。訪問看護師は高齢社会になるにつれ、今後社会では、より必要な職業になります。

最後まで利用者が自分らしく生活ができるように寄り添うためには、自身のスキル向上や資格取得は利用者にとっても自身にとっても安心できるものになります。もし、訪問看護師になりたいと思う方はぜひ、記事を参考にして一歩を踏み出して見ることが大切です。

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