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社会福祉士と社会福祉主事の違いを徹底解説~仕事内容や資格取得方法など完全比較~

2024-07-03

元山 ゆず香

監修者

介護福祉士

元山 ゆず香

大学を卒業後、特別養護老人ホームにて現場業務に従事。その後、福祉系大手企業に入社し、エリアマネージャーとして、施設介護事業・居宅介護事業・障害福祉サービス事業でのエリアマネジメント・行政対応を経験。また、法人本部に異動し教育部門・監査担当部門の部長を歴任。現在は全国の介護・障害福祉事業所の支援やセミナーの開催、DXO株式会社での介護関連事業の支援などを実施。

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社会福祉士と社会福祉主事は、どちらも福祉分野で重要な役割を果たしますが、その役割や業務内容には大きな違いがあります。

今回は、社会福祉士と社会福祉主事の仕事内容や資格取得方法などの違いを徹底解説し、福祉分野でのキャリアアップを考えている方々にとって有益な情報を提供します。

ぜひ、最後までお読みください。

社会福祉士と社会福祉主事の違いとは?

社会福祉士と社会福祉主事はよく似た資格名になっていますが、下記のようにそれぞれは大きく異なります。

社会福祉士

厚生労働省が発表した「社会福祉士及び介護福祉士法」によると、社会福祉士は下記のように定義されています。

専門的知識及び技術をもって、身体上もしくは精神上の障害があること、または環境上の理由により日常生活を営むのに支障がある者の福祉に関する相談に応じ、助言、指導、福祉サービスを提供する者又は医師その他の保健医療サービスを提供する者その他の関係者との連携及び調整その他の援助を行うことを業とする者をいう。

参考:厚生労働省「社会福祉士及び介護福祉士法」

上記からわかるように、高齢者や障がい者・生活困窮者・ひとり親の家庭など、さまざまな理由によって日常生活を送るのが難しい利用者の相談業務を主におこないます。

社会福祉主事

都道府県や市町村の福祉事務所に配置されて、社会福祉によるサポートをおこなう職員のことです。

ただ、実際に社会福祉主事として働くためには「社会福祉主事任用資格」を取得して、公務員試験に合格して配属される必要があります。

そのため、社会福祉主事任用資格は取得しているものの、病院や介護施設などで働いている場合は、社会福祉主事とは呼ばず、医療ソーシャルワーカーや生活相談員として勤務しています。

より詳細な内容については、下記の記事にて解説をおこなっています。

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働く場所と仕事内容

実際に、社会福祉士と社会福祉主事の働く場所と仕事内容は下記のように異なります。

社会福祉士の働く場所と仕事内容

主な社会福祉士の働く場所と仕事内容は下記です。

働く場所

仕事内容

医療機関

例)病院、クリニック

患者や家族と向き合い、通院や入退院、転院などの相談に対応したり、精神的・社会的・経済的問題を解決するために、さまざまな支援をおこなう。

児童分野

例)助産施設や乳児院、保育所、母子生活支援施設、児童養護施設などの児童福祉施設

子どものケア、子どもの保護者と今後についての相談や支援をおこなう。

地域包括支援センター

各市町村に設置されている地域包括支援センターに在籍し、地域の高齢者を支えている。

教育分野

例)小・中・高校

子どもたちが抱えている、不登校やいじめ、虐待、自虐行為などの悩みに関する相談に乗り、問題解決を図る。

高齢者分野

例)介護老人保健施設、特別養護老人ホームなど

利用者や家族に対する相談援助だけでなく、入所前の説明や契約手続き、利用者の金銭管理、退所時の手続きなどを担当する。

障がい者分野

例)身体障害者更生施設、知的障害者更生施設、精神障害者生活訓練施設など

利用者の相談対応や、施設の入所手続きなどを中心とした業務に携わる。

地方自治体の福祉事務所

相談員として、地域住民の福祉に関しての相談に対応する。

社会福祉主事の働く場所と仕事内容

続いて社会福祉主事の働く場所と仕事内容を紹介します。

働く場所

仕事内容

福祉事務所

地域の福祉の窓口として、下記の内容を担当している。

  • 生活保護やひとり親家庭、身体障がいや知的障がいのある人に関する業務
  • 要保護児童の発見と援護
  • 民生委員活動の指導や援助
  • 災害援助など

身体障害者更生相談所

身体障害のある人の更生援護を目的に、下記の内容を担当している。

  • 相談支援や判定業務
  • 補装具の支給や修理
  • 自立支援医療の給付
  • 身体障害者手帳の等級審査 など

また、身体障がいのある方や高齢者の身体機能の維持・向上を目的とした自宅への訪問指導など、地域リハビリテーションの推進を目的とした事業もおこなっている。

知的障害者更生相談所

18歳以上の知的障害のある人に対して、下記の内容を担当している。

  • 障害区分の認定
  • 療育手帳の判定や発行

また、相談所内以外でも市町村と連携して、専門的な技術援助や職員を対象とした研修・巡回相談もおこなう。

児童相談所

原則として、18歳未満の子どもが抱える困り事に対して、問題解決に取り組むだけでなく、学校の先生や地域住民などから虐待、発達の遅れ、非行、里親の希望などの相談を受けている。 

民間の介護福祉事業所や医療機関

医療機関のソーシャルワーカーとして、外来・入院治療や訪問診療を受ける患者への相談対応に携わる。

資格の取得方法

社会福祉士試験と社会福祉主事の取得方法は、それぞれ下記のように異なります。

社会福祉士試験の受験資格取得ルートは大きく3種類

社会福祉士試験の受験資格取得ルートは大きく下記の3種類にわかれます。

1.福祉系の大学・短大での指定科目履修により受験資格を得る場合

最も短い受験資格取得ルートは、福祉系の4年制大学を卒業した場合で、在学中に社会福祉士に関する科目を履修した場合はそのまま国家試験を受験できます。

次に3年制・2年制の大学や短大を卒業し、指定科目を履修した場合は、相談援助の実務経験を1年・2年積むことで受験資格が得られます。

  • 4年制の福祉系大学で指定科目を履修・卒業
  • 3年制の福祉系短大で指定科目を履修・卒業+相談援助実務経験1年以上
  • 2年制の福祉系短大で指定科目を履修・卒業+相談援助実務経験2年以上

2.短期養成施設等での修学によって受験資格を得る場合

このルートは、短期養成施設に6ヵ月以上通う必要がある場合の区分です。

  • 4年制の福祉系大学等で基礎科目を履修・卒業+短期養成施設等6ヵ月以上
  • 3年制の福祉系短大で基礎科目を履修・卒業+相談援助実務経験1年以上+短期養成施設など6ヵ月以上
  • 2年制の福祉系短大で基礎科目を履修・卒業+相談援助実務経験1年以上+短期養成施設など6ヵ月以上
  • 2年以上の社会福祉主事養成機関を修了したあとに、2年以上の相談援助実務を経験し、短期養成施設等で6ヵ月以上必要な知識及び技能を修得する
  • 指定資格の実務を経験4年以上経験し、短期養成施設等で6ヵ月以上必要な知識及び技能を修得する

3.一般養成施設等での修学によって受験資格を得る場合

今までに福祉に関わる経歴を持っていない場合や、大学や短大を卒業していないが相談援助の実務を4年以上おこなっていた場合は、このルートになります。

  • 4年制の福祉系大学以外の大学を卒業+一般養成施設など1年以上
  • 3年制の福祉系短大以外の短大を卒業+相談援助実務経験1年以上+一般養成施設など1年以上
  • 2年制の福祉系短大以外の短大を卒業+相談援助実務経験2年以上+一般養成施設など1年以上
  • 相談援助実務経験4年以上+一般養成施設など1年以上

社会福祉主事の受験資格取得ルートは5種類

社会福祉主事の受験資格取得ルートは大きく下記の5種類にわかれます。

1.大学・短期大学卒業ルート

大学または短大で、指定された社会福祉関連の科目を3科目以上履修している場合は、学校を卒業することで社会福祉主事の資格を取得できます。

なお、指定科目は時代によって科目名が異なるため、自分自身が大学・短大を卒業した年度において規定されていた指定科目名に基づいて該当するか確認する必要があります。

また、指定科目を3科目以上履修していた場合でも一部の大学を除くと、資格取得を示す証明書の発行はないため、取得していることを示すためには、大学や短大の成績証明書や卒業証明書が必要です。

2.通信教育課程ルート(1年)

通信教育課程ルートの場合は、下記に示す学校の通信課程を1年学ぶことで資格を取得できます。

  • 中央福祉学院 社会福祉主事認定通信課程
  • 日本社会事業大学 通信教育科

1つ目の通信教育課程ルートである、中央福祉学院の社会福祉主事認定通信課程は、令和6年度からスクーリングが変更されています。

今までのスクーリング期間は、集合研修5日間を含む1年間でしたが、この集合研修が2日分配信の講義動画視聴と、3日間の集合研修となり、最後に修了試験があります。

ただ、この通信課程は個人での申し込みはできません。

受講者が公務員の場合は、都道府県・政令指定都市・中核市社会福祉研修主管課が申し込みをおこない、受講者が一般的な社会福祉事業所で働いている場合は、勤務する事業所や団体の所属長が受講の申し込みをおこなうことが定められています。

2つ目の日本社会事業大学の通信教育科は、毎年4月から1年間開講される通信教育で、5日間の集合研修を含む1年間の受講期間のなかで、19本のレポート提出が求められます。

日本社会事業大学の通信教育科も、中央福祉学院の社会福祉主事認定通信課程と同じように、講座の申し込みは働いている福祉事業所の所長のみだけでき、個人での申し込みはできません。

3.養成機関ルート(1〜4年)

指定を受けた養成機関(専門学校)で、全22科目を1,500時間かけて履修することで、卒業とともに社会福祉主事任用資格を取得できます。

4.講習会ルート

講習会ルートは、都道府県か市町村の職員を対象としており、都道府県などが開催する19科目・279時間の指定科目を受講することで社会福祉主事の任用資格を取得できますが、受講対象者は下記の条件に該当する必要があります。

  • すでに公務員として社会福祉事業に従事している人
  • 民間の社会福祉施設に出向している公務員、一般事務組合職員

また、申し込みも個人ではおこなえず、受講希望者が勤務する施設や団体の所属長が申し込みをおこなう必要があります。

5.国家資格取得ルート

社会福祉士もしくは精神保健福祉士の国家試験に合格している場合は、条件なしで社会福祉主事任用資格を取得できます。

そのため、公務員試験に合格して福祉事務所や市役所に配属されることで、そのまま社会福祉主事として勤務できます。

 

社会福祉士と社会福祉主事の合格率の違い

社会福祉士主事になるための試験は特に設けられておらず、決められた科目や講習を履修すれば誰でも資格を取得することができるため、合格率はほぼ100%です。

一方、社会福祉士は取得資格の中でも難易度が高く、下記のような、受験者数・合格者数・合格率となっています。

受験者数

合格者数

合格率

第36回
(令和5年度)

34,539人

20,050人

58.1%

第35回
(令和4年度)

36,974人

16,338人

44.2%

第34回
(令和3年度)

34,563人

10,742人

31.1%

第33回
(令和2年度)

35,287人

10,333人

29.3%

第32回
(令和元年度)

39,629人

11,612人

29.3%

社会福祉主事から社会福祉士へのステップアップがおすすめ

社会福祉主事・社会福祉士はともに福祉の現場で重要な役割を果たしますが、社会福祉主事から社会福祉士へのステップアップは、多くのメリットをもたらします。

社会福祉主事は多くの現場で活躍できますが、社会福祉士の資格を取得していれば、条件なしで社会福祉主事任用資格を取得できます。

また、社会福祉士の資格を持つことで、医療機関や児童福祉施設、地域包括支援センター、教育機関など、さまざまな職場で活躍できるはずです。

ぜひ、今回の内容をきっかけに、社会福祉主事としての経験を土台に、さらなる専門知識とスキルを身につけるために、社会福祉士へのステップアップを目指しましょう。

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