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介護保険最新情報 厚生労働省 VOL.1086

元山 ゆず香

監修者

介護福祉士

元山 ゆず香

大学を卒業後、特別養護老人ホームにて現場業務に従事。その後、福祉系大手企業に入社し、エリアマネージャーとして、施設介護事業・居宅介護事業・障害福祉サービス事業でのエリアマネジメント・行政対応を経験。また、法人本部に異動し教育部門・監査担当部門の部長を歴任。現在は全国の介護・障害福祉事業所の支援やセミナーの開催、DXO株式会社での介護関連事業の支援などを実施。

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この記事では、令和4年6月 27 日に厚生労働省より通知のあった介護保険最新情報 Vol.1086についてご紹介してまいります。

介護保険最新情報Vol.1086令和4年6月 27 日

要支援の高齢者らを対象に全国の市町村がそれぞれ展開している介護保険の「総合事業」について、厚生労働省が令和4年6月27日にガイドラインの見直しを通知しました。

参考:介護保険最新情報Vol.1086令和4年6月 27 日

この詩の3月には、ガイドラインの見直しを実施する旨を自治体にアナウンスしていましたが、背景には『市町村に事業費の上限額を守らせるルールが形骸化している』などと財務省が運用の厳格化を繰り返し迫っていました。

参考:財政制度等審議会 財政制度等分科会(答申・報告書等)

今回のこような背景から、総合事業の効率化、事業費の適正化を徹底してもらう狙いがあり、原則として定められている市町村ごとの事業費の上限額を上回る場合の対応で、これを例外的に認める前提として、厚労省は上限超過の解消に向けた施策を盛り込んだ「費用低減計画」の策定を新たに求めることと改定されています。

事業費の上限額の超過を事後的に容認する場合の条件も変更され、翌年度の費用低減効果が明らかで同じ理由により上限額を超過しない場合に限る等の明記されています。

総合事業とは

総合事業とは「介護予防・日常生活支援総合事業」とも呼ばれ、高齢者が住み慣れた地域で生活していくために介護保険一部改正により平成27年よりはじまったサービスです。

総合事業(介護保険法では、「介護予防・日常生活支援総合事業」として定められています。)は、市町村が中心となって、地域の実情に応じて、住民等の多様な主体が参画し、多様なサービスを充実することで、地域の支え合い体制づくりを推進し、要支援者等の方に対する効果的かつ効率的な支援等を可能とすることを目指すものです。

訪問介護・通所介護以外のサービス(訪問看護、福祉用具等)には介護予防給付によるサービス提供が行われますが、 地域包括支援センターによる介護予防ケアマネジメントに基づき、総合事業(介護予防・生活支援サービス事業及び一般介護予防事業)のサービスが提供されることとなっています。

介護予防・生活支援サービス事業によるサービスのみ利用する場合は、要介護認定等を省略して「介護予防・生活支援サービス事業対象者」とし、迅速なサービス利用を可能に(基本チェックリストで判断)。※ 第2号被保険者は、基本チェックリストではなく、要介護認定等申請が行われます。

総合事業の目的

総合事業の目的は、自治体主導で地域の高齢者を支えていくことですが、地域の関係機関や住民が共同して支えていく地域包括ケアの基盤としての役割に期待されています。

2025年に向けて市町村が主体的に総合事業に取り組むこと、生活支援や介護事業の充実に努めることが推奨され、これまで介護保険による要支援認定が必要だった、介護予防・生活支援サービス事業の利用について、認定を省略することで早期にサービス利用につなげられることが狙いの一つです。

総合事業の種類

総合事業の種類には、「介護予防・生活支援サービス事業」と「一般介護予防事業」があります。

介護予防・生活支援サービス事業

介護予防・生活支援サービス事業では、介護保険による介護予防サービスの訪問・通所介護サービスに相当するサービスと民間事業者などによる訪問・通所介護サービスを提供します。要介護援状態になるリスクの高い方を積極的に支援し、要介護状態になるのを防ぐことも介護予防・生活支援サービス事業の目的の一つで、NPO団体、ボランティア、民間事業なども事業に参入でき、地域全体で高齢者を支える体制づくりの一つです。

主な介護予防・生活支援サービス事業

  • 訪問型サービス
  • 通所型サービス
  • その他生活支援サービス
  • 介護予防ケアマネジメント

 

総合事業対象者

介護予防・生活支援サービス事業の対象者

総合事業対象者のうち、介護予防・生活支援サービス事業の対象になるのは、介護保険制度による要支援1~2の認定を受けている方、または、要支援認定を受けていなくても基本チェックリストに該当する場合にも利用対象となります。基本チェックリストは25項目あり、身体状況から栄養状態、外出の頻度などが項目として盛り込まれています。

一般介護予防事業の対象者

総合事業対象者のうち、一般介護予防事業の条件は65歳以上であることです。地域に住む65歳以上の高齢者であれば要介護認定を受けている方でも対象となります。

総合事業サービス

訪問型サービス

訪問型サービスでは、従来の介護予防訪問介護に相当するサービスのほか、市町村が定める研修を受けた方によって提供される日常生活援助も行われます。地域住民等によるゴミ出しや電球交換等の支援、保健医療分野における専門職の訪問による運動機能トレーニングなども行われます。

通所型サービス

通所型サービスでは、介護保険同様の機能訓練を目的としたサービス提供や、運動機能訓練を中心とした短時間利用の通所サービスが提供されます。地域移住民が主体となって運営する体操・レクリエーション活動の場や、訪問型サービス同様に専門職の介入による運動機能トレーニングの提供もあります。

その他の生活支援サービス

その他の生活支援サービスとして位置づけられるのは、栄養状態の改善や安否確認を目的に食事を配達する配食サービスや、地域住民の協力のもと行われる見守りサービスなどがあります。

介護予防ケアマネジメント

介護予防ケアマネジメントでは、地域包括支援センターに所属するケアマネージャーが介護予防ケアプランを作成し、総合事業対象者が適切なサービスを利用できるよう支援が行われます。

まとめ

2040年にむけて地域包括ケアシステムの構築が急がれています。総合事業はその1つの施策ですが、多くの市町村が予算上限を超えており、今回のガイドラインは予算上限を守ることを徹底させるものです。

地域の企業や団体、NPOやボランティア、町会、そして住民などさまざまな立場の人たちが、このサービス事業に参画し、連携し合うことで、高齢者を支えていこうということが目的である事業のため、市町村には介護事業所以外の社会資源を有効活用することが求められています。