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2024年介護報酬改定通所介護の改定ポイントまとめ

【2024年介護報酬改定】通所介護の改定ポイントまとめ|改定のポイントや新設加算を詳しく解説

2024-03-01

元山 ゆず香

監修者

介護福祉士

元山 ゆず香

大学を卒業後、特別養護老人ホームにて現場業務に従事。その後、福祉系大手企業に入社し、エリアマネージャーとして、施設介護事業・居宅介護事業・障害福祉サービス事業でのエリアマネジメント・行政対応を経験。また、法人本部に異動し教育部門・監査担当部門の部長を歴任。現在は全国の介護・障害福祉事業所の支援やセミナーの開催、DXO株式会社での介護関連事業の支援などを実施。

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2024年1月の第239回社会保障審議会・介護給付費分科会にて、2024年度の介護報酬改定のポイントが公開されました。

本記事では第239回社会保障審議会・介護給付費分科会で公開されている情報を参考に、通所介護サービスの介護報酬改定に向けたポイントを紹介していきます。介護報酬改定に向けていち早く情報をキャッチアップし、事前の対策をおこなっていくようにしましょう。

通所介護の基本報酬は微増となる見込み

通所介護サービスにおける基本報酬は以下の通り微増となる見込みです。

通常規模型

区分現行の単位数改定後の単位数
要介護1655658
要介護2773777
要介護3896900
要介護41,0181,023
要介護51,1421,148

※単位数は1回あたり、また7時間以上8時間未満の場合

大規模型Ⅰ

区分現行の単位数改定後の単位数
要介護1626629
要介護2740744
要介護3857861
要介護4975980
要介護51,0921,097

※単位数は1回あたり、また7時間以上8時間未満の場合

大規模型Ⅱ

区分現行の単位数改定後の単位数
要介護1604607
要介護2713716
要介護3826830
要介護4941946
要介護51,0541,059

※単位数は1回あたり、また7時間以上8時間未満の場合

通所介護における2024年度介護報酬改定のポイント

2024年度の介護報酬改定における通所介護の変更ポイントは以下となります。

豪雪地帯等において急な気象状況の悪化等があった場合の通所介護費等の所要時間の取扱いの明確化

通所介護費などの所要時間の現行野区分について、計画上の所要時間よりサービスを提供した時間が短くなってしまった場合でも、サービス提供時の利用者の状況が優れないような事情があれば計画上の単位数を算定してもよいとされていました。

さらに2024年度の介護報酬改定では豪雪地帯におけるサービス提供を加味して、気象状況の悪化といった理由でも計画上の単位数を算定可能となります。

業務継続計画未策定事業所に対する減算の導入

感染症や災害が発生した場合でも必要な介護サービスを継続的に提供できる体制を構築することを目的に、業務継続計画(BCP)を策定をおこなっていない事業所は基本報酬の減算の対象となります。なお、通所介護における業務継続計画未実施減算の減算率は1%です。

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高齢者虐待防止の推進

サービス利用者への虐待を予防することを目的に、高齢者虐待防止措置未実施減算が設けられます。減算率は1%で減算要件は以下の通りです。

【減算要件】

虐待の発生又はその再発を防止するための以下の措置が講じられていない場合

  • 虐待の防止のための対策を検討する委員会(テレビ電話装置等の活用可能)を定期的に開催するとともに、その結果について、従業者に周知徹底を図ること
  • 虐待の防止のための指針を整備すること
  • 従業者に対し、虐待の防止のための研修を定期的に実施すること
  • 上記措置を適切に実施するための担当者を置くこと

身体的拘束等の適正化の推進

身体的拘束などを適正におこなうことを目的に、通所介護サービスにおいて緊急性を伴う場合以外の身体拘束ができないよう義務化されます。

また、やむをえず身体拘束する場合でも、身体拘束した際の様子や時間、利用者の状況について記録を残すことが必須化されます。

認知症加算の見直し

通所介護サービスにおける認知症加算について、事業所全体で認知症利用者に対応する観点から、従業者への事例検討会や技術指導に関する会議の定期的な開催が算定要件に盛り込まれます。なお、算定要件のうち利用者のうち認知症の方が占める割合に関する要件が緩和となります。

改定後の算定要件は以下の通りです。

【算定要件】

  • 指定居宅サービス等基準第93条第1項第2号又は第3号・指定地域密着型サービス基準第20条第1項第2号又は第3号に規定する員数に加え、看護職員又は介護職員を常勤換算方法で2以上確保していること
  • 指定通所介護事業所・指定地域密着型通所介護事業所における前年度又は算定日が属する月の前3ヵ月間の利用者の総数のうち,日常生活に支障を来すおそれのある症状又は行動が認められることから介護を必要とする認知症の者の占める割合が100分の15以上であること
  • 指定通所介護・指定地域密着型通所介護を行う時間帯を通じて、専ら当該指定通所介護・指定地域密着型通所介護の提供に当たる認知症介護の指導に係る専門的な研修、認知症介護に係る専門的な研修又は認知症介護に係る実践的な研修等を修了した者を1名以上配置していること
  • 当該事業所の従業者に対する認知症ケアに関する事例の検討や技術的指導に係る会議を定期的に開催していること

リハビリテーション・個別機能訓練、口腔管理、栄養管理に係る一体的計画書の見直し

リハビリテーション・口腔・栄養を一体的に推進する観点から、一体的計画書について記載項目の整理やLIFE提出項目を踏まえた様式に変更されます。

入浴介助加算の見直し

入浴介助技術の向上や利用者の居宅における自立した入浴の取組を促進する観点から、入浴介助加算における算定要件が見直しとなります。

見直し後の算定要件は以下の通りです。

入浴介助加算(Ⅰ)の算定要件

  • 入浴介助を適切に行うことができる人員及び設備を有して行われる入浴介助であること
  • 入浴介助に関わる職員に対し、入浴介助に関する研修等を行うこと

入浴介助加算(Ⅱ)の算定要件

  • 入浴介助を適切に行うことができる人員及び設備を有して行われる入浴介助であること
  • 入浴介助に関わる職員に対し、入浴介助に関する研修等を行うこと
  • 医師、理学療法士、作業療法士、介護福祉士若しくは介護支援専門員又は利用者の動作及び浴室の環境の評価を行うことができる福祉用具専門相談員、機能訓練指導員、地域包括支援センターの職員その他住宅改修に関する専門的知識及び経験を有する者(以下「医師等」という。)が、利用者の居宅を訪問し、浴室における当該利用者の動作及び浴室の環境を評価していること
    この際、当該居宅の浴室が、当該利用者自身又は家族等の介助により入浴を行うことが難しい環境にある場合には、訪問した医師等が、介護支援専門員・福祉用具専門相談員と連携し、福祉用具の貸与・購入・住宅改修等の浴室の環境整備に係る助言を行うこと
    ただし、医師等による利用者の居宅への訪問が困難な場合には、医師等の指示の下、介護職員が利用者の居宅を訪問し、情報通信機器等を活用して把握した浴室における当該利用者の動作及び浴室の環境を踏まえ、医師等が当該評価・助言を行っても差し支えないものとする
  • 当該事業所の機能訓練指導員等が共同して、医師等と連携の下で、利用者の身体の状況、訪問により把握した居宅の浴室の環境等を踏まえた個別の入浴計画を作成すること
    ただし、個別の入浴計画に相当する内容を通所介護計画に記載することをもって個別の入浴計画の作成に代えることができる
  • 上記の入浴計画に基づき、個浴(個別の入浴をいう。)又は利用者の居宅の状況に近い環境*¹で、入浴介助を行うこと

*¹:利用者の居宅の浴室の手すりの位置や使用する浴槽の深さ及び高さ等に合わせて、当該事業所の浴室に福祉用具等を設置することにより、利用者の居宅の浴室の状況を再現しているものをいう

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科学的介護推進体制加算の見直し

科学的介護推進体制加算の算定要件におけるLIFEへのデータ提出頻度や初回データ提出時期について見直しとなります。

変更点は以下の通りです。

  • データ提出頻度を少なくとも「3ヵ月に1回」に変更する
  • 入力項目の定義の明確化や、ほかの加算と共通する項目の選択肢を統一する
  • 複数の加算を算定する場合に、データ提出のタイミングを統一可能にする
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ADL維持等加算の見直し

自立支援・重度化防止に向けた取組をより一層推進する観点から、ADL維持等加算(Ⅱ)の算定要件が見直しとなります。また、ADL維持等加算(Ⅰ)(Ⅱ)ともに、ADL利得の計算方が簡素化されます。

見直し後の算定要件は以下の通りです。

ADL維持等加算(Ⅱ)の算定要件

  • 利用者等(当該施設等の評価対象利用期間が6ヵ月を超える者)の総数が10人以上であること
  • 利用者等全員について、利用開始月と、当該月の翌月から起算して6ヵ月目(6ヵ月目にサービスの利用がない場合はサービスの利用があった最終月)において、Barthel Indexを適切に評価できる者がADL値を測定し、測定した日が属する月ごとに厚生労働省に提出していること
  • 評価対象利用者等の調整済ADL利得を平均して得た値が3以上であること
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介護職員処遇改善加算・介護職員等特定処遇改善加算・介護職員等ベースアップ等支援加算の一本化

介護職員の処遇改善がなるべく多くの事業所に適用することを目的に、介護職員処遇改善加算・介護職員等特定処遇改善加算・介護職員等ベースアップ等支援加算の3つが一本化されます。

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テレワークの取扱い

居宅療養管理指導を除いた全介護サービスにおいて、テレワークについての具体的な考え方が今後示されるとのことです。

なお前提に個人情報の管理や利用者へ支障が生じないことへの課題を解決したうえで、将来的に積極的な導入がおこなわれていく見込みです。

外国人介護人材に係る人員配置基準上の取扱いの見直し

EPA介護福祉士候補者及び技能実習生(以下「外国人介護職員」)について、現在では就労開始から6ヵ月未満の場合、人員配置基準への参入が認められていませんでしたが、外国人介護職員の日本語能力や業務の習熟度によっては事業者の判断によって人員配置基準に参入できるようになりました。

なお、算入する場合、以下の要件を満たすことが必要になります。

  • 一定の経験のある職員とチームでケアを行う体制とすること
  • 安全対策担当者の配置、指針の整備や研修の実施など、組織的に安全対策を実施する体制を整備していること
    併せて、両制度の趣旨を踏まえ、人員配置基準への算入の有無にかかわらず、研修又は実習のための指導職員の配置や、計画に基づく技能等の修得や学習への配慮など、法令等に基づき、受入れ施設において適切な指導及び支援体制の確保が必要であることを改めて周知する

個別機能訓練加算の人員配置要件の緩和及び評価の見直し

個別機能訓練加算(Ⅰ)ロにおいて、現行ではサービス提供時間を通じて機能訓練指導員を配置する必要がありますが、今回の改定によって配置時間の定めがなくなります。これにより機能訓練指導員としての配置時間以外に別の職務への配置が可能になりますが、個別機能訓練加算(Ⅰ)ロの単位数は85単位/日から76単位/日へと変更になります。

その他の変更点

その他の変更点として、通所系のサービスを通して送迎に関する取扱いが明確化されたり、介護サービス全体を通して特別地域加算などの対象地域の明確化や見直しなどがおこなわれたりされています。

まとめ|ポイントを抑えて報酬改定への準備をはじめましょう

2024年度の介護報酬改定は本記事の執筆日時点で残り1ヵ月ほどを残すところとなりました。詳細な情報公開を待ちつつも、介護報酬改定への対応を徐々に行なっていくようにしましょう。

けあタスケルでは今後も介護報酬改定にともなう情報発信をおこなっていきますので、ぜひ参考にしてください。

お役立ち資料:介護報酬改定に備えたい方に

介護事業所向けに2024年の介護報酬改定に関する情報をまとめました。
2024年の介護報酬改定に向けて、事前に準備をしておきたいという方は、ぜひご一読ください。
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