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【2024年介護報酬改定】処遇改善加算が一本化!変更点とポイントは?

元山 ゆず香

監修者

介護福祉士

元山 ゆず香

大学を卒業後、特別養護老人ホームにて現場業務に従事。その後、福祉系大手企業に入社し、エリアマネージャーとして、施設介護事業・居宅介護事業・障害福祉サービス事業でのエリアマネジメント・行政対応を経験。また、法人本部に異動し教育部門・監査担当部門の部長を歴任。現在は全国の介護・障害福祉事業所の支援やセミナーの開催、DXO株式会社での介護関連事業の支援などを実施。

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2024年の介護報酬改定では、処遇改善加算の変更に注目が集まっています。現在、3つある処遇改善加算をひとつに統合し、よりシンプルで柔軟に活用できる加算に変更される可能性があるため、多くの介護事業所経営者が注目しているのです。

この記事では、処遇改善加算の一本化について、2024年1月時点の最新情報をもとに解説します。この記事を読むことで、新たな処遇改善加算に関する内容や処遇改善加算の変更によって変化することを把握できます。

なぜ処遇改善加算が一本化されるのか

2024年度の介護報酬改定では、3つの処遇改善加算を一本化することが検討されています。

現行の制度では、処遇改善加算と特定事業所加算、ベースアップ等支援加算という3つの処遇改善加算があります。

この3つの処遇改善加算は、それぞれに算定要件や加算率が異なり、全て取得するためには各加算の算定要件等を正しく理解していなければいけません。また、取得する加算が増えれば事務作業の負担も大きくなるため、少人数で運営している事業所にとって大きな負担となります。

また、処遇改善加算が複数あることで施設利用者も加算の違いを理解しづらく、利用者の負担額が大きくなっていることも問題点のひとつです。

厚生労働省の資料では、処遇改善加算を一本化する理由として、複雑な制度や賃金の不均衡、煩雑な事務作業による事業所の負担増加、利用者負担の増加などを挙げています。

これらの問題により、処遇改善加算を取得しない事業所が多くなっている状況を改善するためにも処遇改善加算の一本化が必要です。

また、今後予測される介護職員不足を解消するためにも、処遇改善加算の改善が求められています。

介護職員の賃金が低ければ、介護職員になろうと考える人は減ってしまうでしょう。介護職の担い手を増やすためにも、より多くの介護施設が処遇改善加算を取得し、介護職員の処遇を改善していかなければいけません。

介護施設や利用者の負担軽減も重要ですが、介護保険制度の持続可能性を高めるためにも処遇改善加算の一本化が求められているのです。

 

処遇改善加算の一本化に伴うポイント

3つの処遇改善加算を一本化するにあたって、処遇改善手当の配分ルールや職場環境要件などが大きく変化する可能性があります。新たな処遇改善加算の詳細な内容については検討中ですが、現段階での情報を整理することで今後の方向性を把握できるでしょう。ここでは、処遇改善加算の一本化に伴うポイントについて解説します。

3つの処遇改善加算がひとつに

2024年の介護報酬改定では、3つの処遇改善加算をひとつにまとめ、4段階に構成することが検討されています。

現行制度における3つの処遇改善加算は、質の高い介護サービスを確保しつつ、今後ますます増大する介護ニーズに対応する目的で推進されてきました。

処遇改善加算の基本的な考え方として、基本的な待遇改善、ベースアップ等による介護職員の安定的な確保を図るとともに、更なる資質向上のためキャリアパスの推進が必要と考えられています。

3つの処遇改善加算を一本化する際にも、この考え方を踏襲していく予定です。現行の処遇改善加算の目的を細分化すると、以下の4段階に分類されます。

処遇改善加算の考え方

4段階

事業所内の経験・技能のある職員を充実

3段階

総合的な職場環境改善による職員の定着促進

2段階

資格や経験に応じた昇給の仕組みの整備

1段階

介護職員の基本的な待遇改善・ベースアップ等

参考:厚生労働省「介護人材の処遇改善等(改定の方向性)」

上記の4段階で処遇改善を進めることにより、介護職員の安定的な確保と更なる資質向上を図ります。新たな処遇改善加算でも、この要素を取り入れた4段階で構成される予定です。

 

算定要件に関しては、処遇改善手当の配分ルール変更や職場環境要件の改善など、一部変更する内容が検討されています。

加算率に関しては、現行制度における3つの加算を組み合わせて合算した数値を採用する方向性で検討中です。

 

新処遇改善加算(Ⅳ)の1/2以上を月額賃金の改善に充てる

新たな処遇改善加算の大きな変更点として、配分ルールの見直しが検討されています。

厚生労働省の調査では、特定事業所加算の取得率が7割台にとどまっており、処遇改善加算やベースアップ等支援加算と比較して算定率が低くなっている実態が明らかになりました。

全国の介護施設で特定事業所加算の取得が進まない要因のひとつとして、処遇改善手当の配分ルールが複雑で活用しづらい点が挙げられます。現行の特定事業所加算における分配ルールは以下のとおりです。

特定処遇改善加算の分配ルール

  • 「経験・技能のある介護職員」は月額8万円、または役職者を除く全産業平均水準(年収440万円)を設定すること
  • 「経験・技能のある介護職員」は「その他の介護職員」より処遇改善額を高く設定すること
  • 「その他の職種」は「その他の介護職員」の処遇改善額の2分の1を上回ってはならない
  • 「経験・技能のある介護職員」とは、勤続10年以上の介護福祉士を基本とし、事業所の裁量で設定。

参考:厚生労働省「処遇改善に係る加算全体のイメージ(令和4年度改定後)」

現行の分配ルールでは、経験・技能のある介護職員に対する改善内容が細かく設定されており、要件を満たせない事業所が多くなっている可能性があります。

また、介護職員の賃金を向上させるためには、一時的に支給される賃金ではなく、月額賃金の改善が必要だとされています。しかし、現行の処遇改善加算では月額賃金の改善に繋がりにくいため改善が必要です。

新たな処遇改善加算では、より月額賃金の改善に繋がりやすいように分配ルールを見直す必要があるでしょう。

現在検討されている分配ルールとして、厚生労働省の資料では以下のように記載しています。

月額賃金の改善要件(案)

  1. 基本ルール
    新加算Ⅳの加算額の1/2以上を月額賃金の改善に充てる

  2. 新規取得事業所に関するルール
    【対象:新加算取得以前にベースアップ等支援加算を取得していなかった事業所】
    1.に加え、新加算の取得に伴い新たに収入が増加した部分のうち、現行のベア加算に相当する部分については、全額を新たに賃金改善に充てるとともに、その2/3相当を月額賃金により改善する(従前よりベア加算を取得していた事業者との公平性の観点)

参考:厚生労働省「介護人材の処遇改善等(改定の方向性)」

新たな処遇改善加算では、これまでの処遇改善加算と異なり、職種や経験年数に応じた要件を無くしています。また、月額賃金の改善を配分要件に加える方向性で検討中です。

ただし、まだ案の段階なので、詳細な条件が今後変更される可能性はあります。

 

新処遇改善加算では職場環境要件も変化する

現行の処遇改善加算を算定するためには、キャリアパス要件とともに6区分の職場環境等要件を満たす必要があります。

しかし、重複している職場環境等要件の必要性について疑問視する意見や、具体性がなくてわかりづらい要件が多い、などの意見が出されていました。
そのため、新たな処遇改善加算では職場環境要件を見直す方向性で検討しています。

具体的には、資質の向上やキャリアアップに向けた支援の対象拡大、両立支援・多様な働き方推進の条件を明確にする、などの内容が検討されているようです。しかし、まだ検討中の段階なので、最新情報を確認して今後の動向に注意しておきましょう。

 

新処遇改善加算への完全移行まで1年の猶予がある

新処遇改善加算への完全移行に向け、1年の猶予期間を設けることが検討されています。

猶予期間を設ける理由は、新旧加算の一本化による事務負担軽減を図り、新たな処遇改善加算を現場に浸透させるためです。ただし、その移行期間に関しては様々な意見があります。

処遇改善加算の一本化を急激に推し進めた場合、新旧の要件変更に伴う混乱や計画書の様式変更による事務負担増加を招く可能性もあります。そのため、経過措置を設けつつ、各事業所における早期の移行を支援する方針が提案されているのです。

処遇改善加算一本化による混乱を防ぐ対応案として、説明会の開催や相談窓口の設置など、事業所に対する丁寧な周知が行われる予定です。さらに、完全移行まで以下の要件を緩和する案も検討されています。

  • 「月額賃金改善(新加算Ⅳの1/2以上)」
  • 「ベア加算相当の2/3以上の新たな月額賃金改善」(現行のベア加算の要件)
  • 「昇給の仕組みの整備」(現行の処遇加算Ⅰの要件)
  • 「賃金体系の整備等及び研修の実施等」(現行の処遇加算Ⅱの要件)

特に月額賃金の改善には、各法人の賃金規程等を改定する必要があるため、時間と手間が必要です。

新たな処遇改善加算の完全移行までに猶予期間があることで、事業所は新加算への移行に備える準備期間を確保し、円滑に移行しやすくなるでしょう。また、一本化に伴う混乱や事務負担を最小限に抑えることもできます。

 

新処遇改善加算への移行後に変化すること

新たな処遇改善加算では、算定要件の緩和と分配ルールの緩和が検討されています。これにより、処遇改善加算を算定しやすくなり、処遇改善手当を柔軟に活用しやすくなるでしょう。
ここでは、新処遇改善手当への移行後に変化することについて解説します。

 

算定要件が見直され処遇改善加算を算定しやすくなる

新たな処遇改善加算では、事務負担の軽減や算定要件の簡素化が実施される予定です。これにより、多くの事業所で処遇改善加算を算定できる可能性があります。

特に、介護職員不足に悩んでいる事業所は積極的に処遇改善加算を算定するとよいでしょう。新たな処遇改善加算によって、職員の賃金が改善されれば、求人においても有利に働く可能性があります。

今回の報酬改定は、これまで処遇改善加算を算定できなかった事業所にとって、新たに処遇改善加算を算定できるチャンスになるかもしれません。採用力を強化するためにも、積極的な処遇改善加算の算定をおすすめします。

 

柔軟に処遇改善手当を支給しやすくなる

現行の処遇改善加算は、配分ルールが複雑で活用しづらい一面がありました。新たな処遇改善加算では、分配ルールを見直し、柔軟に処遇改善手当を支給できる可能性があります。

事業所判断によって柔軟に処遇改善手当を支給できることで、現場の実態に合わせて活用しやすくなるでしょう。

現場の実態に合わせて処遇改善手当を支給できることで、介護職員の職場満足度が向上する可能性があります。さらに、介護職員の満足度向上は、離職率の低下にも繋がります。

処遇改善加算の一本化によって柔軟に処遇改善手当を支給できることも、事業所運営における大きなメリットのひとつです。

 

まとめ:処遇改善加算が算定しやすくなるが移行の手続きに注意

今回は、2024年介護報酬改定で注目されている処遇改善加算の一本化について解説しました。

現行制度では、処遇改善加算と特定事業所加算、ベースアップ等支援加算という3つの処遇改善加算があります。

3つの処遇改善加算はそれぞれ算定要件や加算率が異なるため、現場の実態と異なる要件や事務負担の増加が問題視されていました。また、現行の処遇改善加算では、月額賃金は改善しづらく、介護職員の処遇改善に繋がりにくい点も指摘されています。

そこで、現場の実態に合わせた算定要件で、より多くの事業所が算定しやすくなることを目的に、3つの処遇改善加算を一本化する方針が検討されているのです。

しかし、処遇改善加算の内容を急激に変更した場合、介護現場の混乱と事務負担の増大を招く可能性もあります。そのため、現段階では1年間の猶予期間を設けることが検討されています。

特に、処遇改善手当によって月額賃金を改善する場合、賃金規定等の変更が求められる可能性もあります。

処遇改善加算の一本化によって、より処遇改善加算を算定しやすくなるメリットがある一方で、移行の手続きを慎重に進めなければいけない点には注意しましょう。

参考資料:
厚生労働省「介護人材の処遇改善等(改定の方向性)」
厚生労働省「処遇改善に係る加算全体のイメージ(令和4年度改定後)」

お役立ち資料:介護報酬改定に備えたい方に

介護事業所向けに2024年の介護報酬改定に関する情報をまとめました。
2024年の介護報酬改定に向けて、事前に準備をしておきたいという方は、ぜひご一読ください。
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