本記事では、介護報酬の分配の見直しについてご紹介していきます。
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岸田内閣の発足後、たびたび介護従事者の賃金引上げが話題になっています。
このことについて、国の財政を議論する「財政制度等審議会」の8日の会合で、岸田政権が重点施策の1つに位置付ける介護職の賃上げが俎上に載せられました。
財務省は介護報酬の引き上げには触れておらず、介護報酬の配り方を見直すことで具体化する案を提示しています。
既存の「処遇改善加算」にも言及し、「事業者の収入にはなっても、必ずしも介護職の賃上げにつながらなかったとの指摘もある」と説明したうえで、「実際の賃上げにつながる実効的な仕組みを模索する必要がある」と主張しています。
この議論の中で、産業別・雇⽤形態別・性別に雇⽤者数を⾒ると、「医療・福祉」分野では雇⽤者全体に占める⼥性雇⽤者の割合が76.9%と⾼い特徴があり、また、男性雇⽤者総数より⼥性⾮正規雇⽤労働者の⽅が多いのが特徴であるとし、 このような成⻑の恩恵を必ずしも受けられていない⼥性・⾮正規の⽅々が多い分野において、国による分配機能を強化し、処遇の改善を図ることは意義があるとしています。
このことより、産業別の労働分配率を国際⽐較すると、我が国の医療・福祉分野における労働分配率は他国に⽐べて相対的に低く、分配機能を強化する観点から、診療報酬・介護報酬をはじめ、分配のあり⽅を⾒直す必要があると資料には明記されています。
介護分野における処遇改善の取組は、平成21年介護報酬改定による効果が限定的であったことを踏まえ、同年の補正予算で介護職員処遇改善交付⾦が措置されたものの、⼀時的な財政措置であったため、⼀時⾦や諸⼿当等により対応する事業者が多く根本的な処遇改善にはつながりませんでした。
そこで、平成24年介護報酬改定では、根本的な処遇改善につなげるべく、介護職員処遇改善加算を新設したものの、平成24年度介護報酬改定についても、事業者の収⼊にはなっても必ずしも介護職員の賃⾦引上げにつながらなかったとの指摘もあります。
直近では、全産業平均の賃⾦と遜⾊ない⽔準を⽬指し、更なる処遇改善加算を進めるために、特定処遇改善加算が創設されました。
こうした経緯を踏まえつつ、介護職員の実際の賃⾦引上げにつながる実効的な仕組みを模索する必要があるとしています。
今回の介護では、介護分野以外に医療や保育の分野についての処遇改善の必要性にも触れており、女性や非正規雇用の職員が多い分野における処遇改善が期待されることとなりました。
新型コロナウイルスが落ち着きを見せており、徐々に町に人が戻ってきています。
今回の介護分野における処遇改善の話は、人材不足である介護業界にとって、人材確保のために大きな意味を持ちます。
一方で、処遇改善加算や特定処遇改善加算は『すべて職員の賃金改善に支払うべきお金』であり、安定した経営を行っていくためには使うことができません。
いくら従業員のために支払える賃金のお金の確保ができても、安定した運営を行っていくための資金がなければ、従業員は生活をすることができないことを忘れてはいけません。
安定した運営を行っていくためには、賃金の確保だけでなく売り上げや収益の確保は必要不可欠です。