介護保険サービスと障害者支援サービスはそれぞれ成り立ちや目的が異なります。しかし、障害者自立支援法から介護保険法へ移行する65歳の壁と呼ばれる問題や、障害サービスや社会資源が十分にない地域、介護人材の全体的なリソース不足など、様々な要因から双方が連携することも増えています。
国も共生型介護として、介護保険サービスでも障害の利用者へのサービス提供ができる仕組みを整えるようになりました。
今回紹介する障害者等支援加算は、障害を持つ利用者を支援する介護保険事業所を評価するための加算となっています。特定施設入所者生活介護の障害者等支援加算について正しく理解が進むよう、わかりやすく解説します。
目次
障害者等支援加算は、特定施設入所者生活介護の加算です。介護保険の特定施設に入所している精神障害者や知的障害者など、特別に配慮を必要とする利用者にサービスを提供した場合に算定される加算となります。
障害者等支援加算は特定施設入所者生活介護に位置付けられた加算です。ただし、どの施設でも算定できるわけではありません。算定施設は、「養護老人ホームである外部サービス利用型特定施設」と限定されています。
特定施設入所者生活介護は施設の形態によって、以下の2つのタイプに分かれます。
- 一般型
介護サービスをすべて特定施設である事業者が自らおこなうタイプ。月額固定の包括報酬。介護付き有料老人ホームがこの形態- 外部サービス利用型
介護サービスは自らおこなわず、外部サービスに委託する形態。特定施設では、ケアプランの作成・生活相談・安否確認などのサービスを提供する。特定施設の定額報酬と、外部サービスの出来高報酬が発生する。養護老人ホームなどがこの形態
養護老人ホームには、社会的事情や経済的事情など、様々な事情で自宅での生活が継続できなくなった入所者が生活しています。その中には、精神障害や知的障害などによる生きづらさを抱えている方もいます。そのような方々の特殊なニーズに対応するために必要な加算となっています。
障害者等支援加算の単位数と算定要件について解説します。
障害者等支援加算の単位数は、20単位/日です。外部サービス利用型特定施設である養護老人ホームに入所している利用者のうち、精神障害などの理由により、特に支援を必要とする者に対して基本サービスをおこなった場合、1日につき20単位の加算が算定できます。
障害者等支援加算の算定要件は以下の通りです。
養護老人ホームである外部サービス利用型特定施設において、精神障害等により特に支援を必要とする者に対して基本サービスをおこなった場合
詳しく解説すると、3つの要件に分かれます。
- 施設要件:養護老人ホームである外部サービス利用型特定施設であること
- 対象者要件:精神障害などにより特に支援を必要とする者
精神障害者だけでなく、知的障害者に関しても対象となる- サービス内容:基本サービスをおこなう
外部サービス利用型の特定施設入所者生活介護における基本サービスは、生活相談・ケアプラン作成・安否確認の3つ
これらの要件を確実に満たしているかを確認しましょう。
障害者等支援加算について解説しました。介護保険と障害者自立支援法はまったく異なる制度であり、目指すべき理念も異なります。その前提に立った上で、必要に応じて相互補完し、サポートをし合うことが求められます。
精神障害などに関する支援を正しく理解することはもちろん、制度についても理解を深め、適切な支援につなげましょう。