生活相談員配置等加算は、障害福祉制度において重要な役割を果たす制度で、高齢者や障がい者が地域で安心して生活できるように、生活相談員が支援し他職種と連携して包括的なサポートをおこなうことで取得できる加算項目です。
今回は、生活相談員配置等加算の内容だけでなく、算定要件や単位数まで詳しく紹介します。
ぜひ、最後までお読みください。
目次
生活相談員配置等加算とは、障害福祉制度において、生活介護事業所や短期入所事業所などの指定を受けた事業所が、共生型通所介護、共生型短期入所生活介護の事業を行う場合に、算定要件を満たした際に算定が可能な加算のことです。
生活相談員配置等加算の生活相談員の仕事内容は、主に高齢者の生活で困っていることなどの相談に乗り、他職種と連携を取り、生活を支援することです。
平成30年度度介護報酬改定にて、生活指導員を配置して申請をすることで、生活指導員配置等加算を算定することが可能となりました。
なお、生活相談員になるには以下のいずれかの資格が必要です。
この他にも、都道府県によっては、介護福祉士や介護支援専門員(ケアマネジャー)の資格保持者や、介護施設での実務経験を生活相談員の資格要件として認めている場合もあります。
生活相談員配置等加算の単位数は、1日あたり13単位です。
通所介護・短期入所生活介護における、生活相談員配置等加算の算定要件は下記です。
通所介護にて、生活相談員配置等加算の算定要件は下記です。
- 共生型通所介護費を算定している
- 生活相談員を、共生型通所介護の提供日ごとに、当該共生型通所介護を行う時間帯を通じて1名以上配置している
- 当該生活相談員が、地域に貢献する活動を行っている
参考:杉並区公式ホームページ「生活相談員配置等加算に係る届出書」
短期入所生活介護にて、生活相談員配置等加算の算定要件は下記です。
- 共生型短期入所生活介護費を算定している
- 生活相談員を、常勤換算方法で1名以上配置している
- 当該生活相談員が、地域に貢献する活動を行っている
参考:杉並区公式ホームページ「生活相談員配置等加算に係る届出書」
なお、地域に貢献する活動は下記のように提示しています。
地域に貢献する活動は、「地域の交流の場(開放スペースや保育園等との交流会など)の提供」、「認知症カフェ・食堂等の設置」、「地域住 民が参加できるイベントやお祭り等の開催」、「地域のボランティアの受入や活動(保育所等における清掃活動等)の実施」、「協議会等を設けて 地域住民が事業所の運営への参画」、「地域住民への健康相談教室・研修会」など、地域や多世代との関わりを持つためのものとするよう努め ること。
参考:全老健介護保険制度情報サービス「生活相談員配置等加算」
生活相談員配置等加算を算定するにあたり、生活相談員配置基準については下記のポイントがあります。
加算をおこなう際は、生活相談員の配置状況について確認するようにしましょう。
共生型サービスとは、地域包括ケアシステムを強化する取り組みの一環として、障害児・障がい者と高齢者が同じ事業所でサービスを受けやすくするためのサービスです。
介護保険と障害福祉の双方がともに利用できる、共生型サービスを利用することで、下記のようなメリットがあると厚生労働省は紹介しています。
- 障害者が65歳以上になっても、同一事業所を継続利用できるようになる。
- 高齢者・障害児者とも、利用できる事業所の選択肢が増える。
- 「介護」や「障害」といった枠組みにとらわれず、多様化・複雑化している福祉ニーズに臨機応変に対応することができる。
- 地域共生社会を推進するためのきっかけとなる。
- 人口減少社会にあっても、地域の実情に応じたサービス提供体制整備や人材確保を行うことができる。
介護保険法の指定を受けた事業所が、障害者総合支援法や児童福祉法の指定も同時に受けて運営している事業所のことを「共生型通所介護」といいます。
共生型通所介護の事業所であれば、障害福祉サービスの利用者が高齢者となった場合でも、介護保険サービスとして事業所を変えずに、サービスを受け続けることが可能です。
在宅で生活している障がいのある利用者が、短期間宿泊できるサービスのことを「共生型短期入所生活介護」といいます。
共生型短期入所生活介護をおこなうことで、障害福祉サービスを受けていた利用者が65歳になって介護保険の被保険者となっても、同じ事業所で継続してサービスを利用できます。
生活相談員配置等加算は、生活介護事業所や短期入所事業所などが、共生型通所介護や共生型短期入所生活介護を提供する際に取得できる加算で、利用者の生活に関する相談に乗り、他職種と連携して支援する役割があります。
今後は、今まで以上に高齢化が進むため、障害福祉サービスを受けていた利用者が引き続き介護保険でのサービスに引き継ぐケースが多くなると予測されます。
そのため、利用者のさまざまなニーズに応え、地域包括ケアシステムをより強化するために、今回をきっかけに生活相談員等加算の取得を検討しましょう。